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6. いじめの現場を見てしまった……!

 え〜っと……? なに、これは……?


 私は今、困惑中である。とても困っている。そして驚いてもいる。とてもシュールなこの光景のせいで。


 私が見た光景――それは簡単に言うといじめの現場である。頭の上に「レベル1」と表示されている、ラムネ色のかわいいスライムが、「レベル3」と表示されている恐い真っ黒な熊に追いかけ回されているのだ。


 これはいじめだろう! 絶対に! か〜わいいスライムちゃんを、こわ〜いつよ〜い熊さんが追いかけている。この場面はアウトだ。完全にアウトだ。弱い物いじめはダメ! 絶対!!


 でも、どうしよう……。熊さん絶対強いし! 私、いきなり「レベル3」の生物と実戦なんてできないよ!? 不安〜! でも行動するしかないよね? スライムちゃんを見捨てるのは私もいじめてることになっちゃうし……。そんなつもりはなくてもね!? 傍観者もいじめている側だそうで。


 さて、どうしよう。どうやったら助けられるかな? う〜ん……。


「ぷにぷに……ぷにぷに、ぷにぷに、ぷにぷに! ぷにぷに〜!!」


 ん? なんか声が……? 振り向くとスライムがこちらに向かって走ってきているではありませんか!?


 うぉ〜い!? ちょ〜っと待て!! 近づいて来てるし! 私の存在に気付くの早すぎない!? 今助ける方法考えてたのに!!


 なんとなくだけど、「助けて、助けて〜!」って言ってる気がする……。


 いや、どうやって!? 私のレベルわかりますよね!? お〜い、スライムちゃん! 私、普通に戦ったら無理だよ? 負けるよ? だから作戦練ってたの! わかりますか?


 そんなこと心の中で解説しても伝わらないけどね!? どうせ、言葉にしても人間の言葉は伝わらないし!


 ちょっとちょっと、更に近づいて来てるんですけど〜!! やばい、やばい! と、とにかく逃げろ〜!!


「スライムちゃん!! ちょっ、ストップ! ストップ〜! こっちに来るのは後にしてもろて!!」


「ぷにぷに〜!!」


 駄目だ、きっと伝わってない。仕方ない、覚悟は決めた! 無理やりだけど! 助けてやろうじゃないの!!


 私は深呼吸して、手に力を込める。


「えい!!」


 私の手に魔法陣が浮かんで、鋭い葉が熊に向かっていく。


 お願い、当たって! …………わ! よし、当たった! お? 意外と攻撃が通用する! これはいけるかも。私の攻撃が当たり、熊は怪我を負った。


 ……いや、結構まずいかも。熊が私のことをロックオンした! やばい!! 熊は口に魔法陣を出しているし! そしてその口からはなんと強風が! 魔法は口から出すんかいっ!! それ以外に出すところがなさそうだからそうするしかないのかもしれないけど!


「……え!? ちょっと待って! わっ!」


 私はギリギリで木のシールドを張って身を守った。あ、危ない……!! あれが風魔法!? 初めて見た! すごい! 普通に強いじゃん!! 使ってみたいなぁ〜。


 …………じゃなくて! 反撃しないと! 最初に攻撃が通用したし、これはいけるのでは? よし、次で決める!!


 手に力を込めて……。


「それ! 特大の木の葉砲(リーフカッター)だ! 『レベル1』だからといって、いじめちゃだめだよ! そして、『レベル1』を舐めるな〜!!」


 技術は私の方が上なんだから! 一週間神様とした特訓の成果を見せてやる!!


 私は思い切り、大きな鋭い葉を熊にお見舞いしてやった。私の攻撃があたり、熊の体がバラバラになり、消えていく。


 ふう、危なかった〜! というか、熊の倒れるところ、グロすぎでしょ! 普通に血を吹き出してここらへん汚していったし! もっと綺麗に倒れなさ〜い!! こんなの小さい子が見たらトラウマ確定だよ!?


 私が心の中で熊に文句を言っていると、スライムが話しかけてきた。


「ぷにぷに! ぷに〜!!」


 何を言っているのかは分からないけどね!


 私は神様から貰った知識を思い出す。


 なんかお互いに言葉を理解できるようにする方法とかないかな……? …………あっ! あった! これならいけるんじゃない!?


 私が思い出した方法はこうだ。ズバリ、スライムちゃんと仲間になろう作戦!! この世界では、仲間という存在になったら違う種類の生物とでもお互いに言葉が分かるようになるという。


 つまり、今スライムちゃんと仲間になることで、会話が成立するようになるのだ。しかも、スライムという種類の生物全員と会話ができるようになるというおまけ付き!


 よし、仲間になろうじゃないか、スライムちゃん!!


「ステータス!」



 私がそう唱えた途端、私とスライムちゃんの前にステータスが表示される。すると、スライムちゃんの方も私が何をしようとしているのか分かったようで、「ぷに〜!」と言ってステータスを表示した。察しのいいスライムで助かるよ〜!


 どれどれ……? スライムちゃんのステータスは……。


 ―――――――――

 〈類〉スライム


 〈名前〉なし


 〈レベル〉1

 次のレベルまであと30EP


 〈魔法属性〉水


 水魔法:水を操る力


 〈称号〉なし


 〈仲間〉いない

 ―――――――――


 おお〜! 水魔法属性!! 水魔法、見てみたいな〜!! って、あれ? 名前なしって、どういうことなんだろう……? 名前がまだついていないのかな?


 スライムちゃんのステータスの感想を心の中で呟きながら、私は自分のステータスを見てみる。


 ―――――――――

 〈類〉人間


 〈名前〉リズム ムラカミ


 〈レベル〉1

 次のレベルまであと5EP


 〈魔法属性〉光、草、音


 光魔法: “癒し(ヒール)

      “浄化(サンクチュアリ)

      “灯り(ライト)


 草魔法:植物を操る力


 音魔法: “滅びの断末魔(ルインメロディー)

      “想いの歌(フィーリングメロディ)


 〈称号〉なし


 〈仲間〉守護神ルカ

 ―――――――――


 え!? 次のレベルまであと「30EP」だったのがあと「5EP」まで減ってる! きっと、さっき「レベル3」の熊を倒したからだよね! 熊さん、倒されてくれてありがとう!!


 隣を見てみると、スライムちゃんも私のステータスを見て驚いているようだった。だよね! 神様でさえ驚いたんだもん! そうなるよね〜!!


 もうすぐで「レベル2」になれることに対して喜びを噛み締め、スライムちゃんに同情しつつ、私は仲間になるための方法を思い出す。


 え〜っとまずは……確か、ステータスの仲間のところを押すんだっけ?


「えい」


 取り敢えず、私は仲間のところをポチッと押してみる。すると、私の足元と、そこから一メートル程離れたところに魔法陣が現れた。おお! 知識のとおりだ! すごい!!


 それで、そこにスライムちゃんが入ってくれれば仲間になれるんだよね……? 確か。


 スライムちゃんは、バウンドして魔法陣の方へ向かっていった。


 落ち着いて見ると、スライムって移動するの大変そうだよね。逐一ジャンプしないといけないんでしょ? よくあの恐い熊さんから走って逃げてこられたものだ。本当にすごいと思う。


 ……そして、スライムちゃんには絶対に言わないけれど、スライムの歩き方、普通に面白い。だって、想像してみてよ。しずく型のつるつる、ピカピカ、プルプルのスライムが、ジャンプしてえっちらおっちら移動しているんだよ? 本人にその気はなくても、笑いを起こせると思うのよ! 


 現に私は笑ってしまいそうになるのを全力で耐えているのだから! この状況で笑い出さない私を誰か褒めてほしい……。


 私がそんなことで笑いを我慢しているとはつゆ知らず、スライムちゃんは魔法陣の中へ無事到着したようだ。すると、私とスライムちゃんを眩い光が包みこんだ。私はその眩しさに目を閉じる。


 再び目を開けると、もう魔法陣はなくなっていた。え〜っと……これでスライムちゃんと仲間になれたのかな? というか、何あれすごすぎでしょ!! 魔法陣が出て、光に包まれて……。本当にすごかった。


 毎回思うけど……私って興奮すると語彙力がなくなるのはなぜ……? まあ、そんなことよりも! 私は自分のステータスをもう一度確認してみた。


 〈仲間〉守護神ルカ、スライム無名


 おお! 仲間のところ、スライムちゃんが増えてる!! やった〜! ということは、仲間になれたんだ! よし、話し合いだ!!


「こんにちは、スライムちゃん。私はリズム。これからよろしくね!」


「こんにちは、リズムさん。僕はスライムです。こちらこそよろしくお願いします」


 私が簡単な自己紹介をすると、スライムちゃんも返事をしてくれた。うわぁ! かわいい!! 「僕はスライムです」って、やっぱり名前がないってことなのかな……?


 私が考えていると、スライムちゃんはおずおずとしながら言った。


「あの……勘違いしていそうなので訂正しますが、僕、男ですよ?」


「え……? ……ええぇ!?」


 え!? この子、男の子だったの!? やばい、すごい勘違いしていた。スライムちゃん……いや、スライムくんのその可愛らしい見た目からてっきり女の子なのかと思っていた。本当に申し訳ない。ごめんね、スライムくん。


「ごめんなさい! 私、勘違いしてた! スライムくんがあまりに可愛らしくてつい女の子なのかと……」


「いえ! 大丈夫です! 僕の方こそすみません……。助けてもらいたい一心で、あなたに迷惑をかけてしまいました……」


「ううん。確かに私の方に向かって来たときは驚いたけど、結局はいい経験になったし、スライムくんも助かったじゃない。それに、こうして私達が巡り会えたのだから、熊さんにも感謝だね。あっ、でも弱いものいじめをしていたのは許してないけどね!」


 私がそう言うと、彼はふっと笑ってくれた。「こちらこそありがとうございます」という感謝と一緒に。可愛い!


「じゃあ、取り敢えず私の家に来る? ここはいつ魔物が襲ってくるかわからないし、危険だから」


「あ、ありがとうございます! そうしましょう」


 そうして、私達は家に向かって歩き出した。

リズム、スライム語を習得する。


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

次回更新予定は5/31(日)です。m(_ _)m

次回予告:次回はスライムとの話し合いです。(/ω・\)チラッ

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