リズムが異世界転移する少し前の話②(ルカ視点)
リズムの異世界転移についての説明part2です!
僕が大神様に説明を終えたとき、彼女は暗い顔をした。
「そんなに大変なことになっていたなんて……。ごめんなさい、気付かなくて」
「お気になさらないでください。あなたがお忙しいのは重々承知しておりますので」
「ありがとう。……フィール星に、光魔法所持者はいないのよね?」
「はい。今はいませんね」
「そう。光魔法所持者がいれば、フィール星が闇の星となることは防げるけれど……」
そう言って、大神様は黙り込む。何か解決策を考えているようだ。確かに、光魔法だったら闇に対抗できる。光魔法所持者の力を使えば、闇の量を減らせるだろう。
しばらくして、大神様は明るい声で言った。
「いい方法を思いついたわ! フィール星に光魔法所持者がいないのであれば、他の所から光魔法所持者を連れて来ればいいのよ」
「他の所からですか……? 確かに良い方法だとは思いますが、そのようなことが可能なのですか?」
「ええ、可能よ。早速、フィール星に連れて行く者を探しましょう!」
なるほど。その発想はなかったな。でも、どうやって連れて行くのだろう? まあ、大神様ならその方法を知っているらしいから、恐れ多いけれど任せることにしよう。
「フィール星と種族や文化などが似ている星か世界から探したほうがいいわね。フィール星と一番似ているのは…………地球だと思うわ。創造神も同じだし」
「地球……先程、あなたがおっしゃっていたあの星ですね」
「そうよ。地球の生態系はフィール星とほとんど同じだし、文化も……まあ、うん。ちょ〜っと違うけど大丈夫よね」
「(お茶や畳についての)先程の話からすると、ちょっとどころではないのでは?」と思わなくもないが、大神様が大丈夫と言うのであれば大丈夫な範囲なのだろう。僕がそう思っていると、大神様は大声を出した。
「チキューさん! ちょっと来てくださらない?」
それから、彼女は僕を見て「地球の守護神を呼んだだけだから」と説明してくれた。
なんだ……。突然大声を出すから驚いた。今の大声、チキューさんのところには届いているのだろうか?
「お呼びでしょうか、母上」
届いていたらしい。「母上」って……。あぁ、そういうことか。このヒトは大神様に創り出された存在。ということは、大神様を母上と呼ぶのも当然である。
チキューさんは、青と緑が混ざったような碧の長い髪に、同じ碧の瞳を持つ少年だ。長い髪は、後ろで一つに結ばれている。宝石のようにきれいなヒトだなぁ……。
……こんなこと思ったらとても失礼だろうけれど、僕にはさっきからその髪が滝にしか見えない。水の色だし、何より一つに結んでいるから……めちゃくちゃ滝に見える。
「頭から床に向かって水出してますか?」って聞いてしまいそうになる。勿論、聞かないけれど。魚の髪飾りを付けたらいよいよ本格的に滝になるかもしれない。付けてみてほしい。勿論、これも言わないけれど。
僕が(とても失礼な)チキューさんの感想を心のなかで言っている間に、大神様はチキューさんに僕のことやフィール星のことを説明してくれていた。
「そういうことだから、あなたの星に光魔法所持者はいるかどうか調べてもらいたいの」
「なるほど。わかりました。少々お待ち下さい」
そう言って、チキューさんは瞬間移動で家に戻った。僕、まだ彼に挨拶とか何もしていないのだけれど……。いいのかな?
待っている間、大神様に地球のことについて少し教えてもらった。
どうやら、地球にいる人達は魔法が使えないらしい。「ならば光魔法所持者はいないのでは……?」と思い、聞いてみたところ、地球人は魔法が使えなくても一応、魔法属性は持っているらしい。違う世界(星)にいる者でも、フィール星に移動したらなぜかその魔法属性が使えるようになるのだとか。不思議だなぁ……。
数分後、チキューさんが戻って来た。
「私の星に存在する光魔法所持者は現在二名です。どちらも人間ですが、片方は病気に罹っているため、転移は難しいかと」
「そう。なら、移動させるのは病気ではない方の方がいいわね。もう一人は大丈夫なの? 何か問題はない?」
「はい。至って健康です。彼女は地球での生活を退屈に思っており、更に冒険のような楽しいことがしたいと願っております。そのため、転移の話を持ち掛けたら、きっと頷いてくださるでしょう」
「それなら好都合ね。ルカさん、この子にしてはいかが?」
確かに、その人の方がこちらとしては好都合だろう。病気に罹っている人の方は……難しいかな。病気に罹っている中で魔物がいる異世界に連れて行くのは可哀想だ。それに、話を持ち掛けても頷いてくれないだろう。
「そうですね。その人にしましょう。ちなみに彼女の名前は?」
「名前は……ムラカミリズム。日本人です」
その名を聞いて、大神様は目を見開いた。小さな声で「え、ムラカミリズムって……まさか」と呟いていたけれど、知り合いなのだろうか。いや、そんなこと……。大神様と普通の人が知り合うことはまずない筈だ。
僕が不思議に思っていたことを、チキューさんが聞いてくれた。
「母上は、ムラカミリズムという者をご存知なのですか?」
「……あ、いえ。珍しい名前だなって思って……。少し気になっただけよ」
彼女は微笑んでそう言ったが、何やら考えているようだった。
「と、とにかく! フィール星に連れて行くのはリズムさんでいい?」
「はい。よろしくお願いします」
「わかったわ。それじゃあ、近いうちにルカさんの家の近くに彼女を移動させるわね」
「ありがとうございます」
よし! これでフィール星が闇の星となることは防げるだろう。あとは彼女を説得して、フィール星に転移させるだけだ。こんなにすぐ解決策を見出してくださった大神様には本当に感謝している。すごいなぁ……。
僕なんて、今まで解決出来なかったのに。……あ、危ない。また負の感情が生まれてしまうところだった。それよりも、これからのことを考えよう。
まず、彼女にはどうやって説明しようかな……? 僕の直感だと、まず彼女は僕が神様だということを信じないだろう。僕、直感は結構当たるんだよね。う〜ん、どうしたら信じてもらえるかな……? 少し考えて、僕はチキューさんに力を貸してもらうことにした。早速、彼に話しかける。
「チキューさん。協力してくださり、ありがとうございます」
「僕はただ、母上の言う通りにしただけ。お礼なんていらないよ」
「助けてもらってすぐにこういうことを言うのは少々あれなのですが……その、また力を貸してもらえませんか?」
「……いいけど。何してほしいの?」
「ありがとうございます。彼女に説明する際、僕が神様だということを信じてもらうために地球の一部の天候を少し変えたいのです」
「……わかった、いいよ。それは僕が何とかするから」
「重ね重ねありがとうございます」
僕はチキューさんにお礼を言って、大神様に挨拶をして家に戻った。
チキューさん、本当に良い人だったな。初めて会った僕にここまでしてくれるなんて。大神様とチキューさんのおかげで「フィール星が闇の星になってしまう問題」は解決しそうだ。あとは、僕が頑張らないと。
大神様から貰ったオチャを飲みながら、僕はこれからすべきことを考えた。
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
数日後、大神様によって、村上理澄が神世界に招かれた。
これが、ルカがリズムは光魔法を使えると知っていた理由になります。
神様にも人手ならぬ神手が足りない問題が発生しております。そして、リズムが選ばれた理由はまさかの消去法でした。
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
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次回更新予定は5/24(日)です。m(_ _)m
次回予告:本編に戻ります。リズムに新たな出会いが……!?(/ω・\)チラッ




