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リズムが異世界転移する少し前の話➀(ルカ視点)

タイトルの通り、リズムが異世界転移する少し前のお話です。どうしてリズムが転移することになったのかをルカ視点でお送りいたします!

「はあ…………」


 神世界のルカの家にて。フィール星の闇が広がっているのを確認した僕――ルカ・フォンデミオンは大きなため息をついた。


 本当にこれ、どうしたらいいのかな?


 日に日に広がっていく闇を見ながら考える。


 この闇は、僕の負の感情から来るものである。どうしてこうなっているのかを簡単に言うと、この星の神様である僕の負の感情が闇属性の魔法によって自動変換されて、フィール星に影響しているからである。僕の中にある負の感情はおそらく寂しさがほとんどだろう。


 この世界に来て神様になってからというもの、誰かと話すことはほとんどなかった。神様同士が話したり干渉したりするのは禁止という暗黙のルールがあるためだ。だから、寂しいと思うのは仕方がないことだと分かっている。


 本当は、話し相手がいないことの他に、もう一つ寂しいと思ってしまう理由はあるけれど……今は、思い出さないほうがいいだろう。


 自分のせいでこの星が悪くなっていくのは、フィール星の創造神に申し訳ない。なんで僕は、自分の役目をきちんとこなすことも出来ないんだろう。そう考えてしまい、また闇がほんの少し広がっていくのが分かった。


 ……駄目だ。落ち込んでいても何も解決しない。解決方法を考えないと。


 神世界にいるヒト達は勿論全員が神様である。神様の種類(役職)は全部で三つ。


 一つ目は、その星または世界を守る神――守護神。


 神世界にいるほとんどの神様はこの役職に就いている。僕も守護神だ。「守護神」と言っても、「守る」よりかは「管理する」と言うほうが正しいだろう。実際に環境や生物の管理が仕事の基本だから。


 二つ目は、星または世界を創り出す神――創造神。


 創造神は世界や星を量産してはそれらを守護神に託していくのが仕事。現在、創造神は十人と極小数である。でも最近、彼らは世界を創りすぎていて、守護神が足りないという問題が起きている。そのうち僕が守護する所は二つに増えるかもしれない。……それは嫌だな。今より大変なのは遠慮したい。


 三つ目はこの神世界を含む全ての世界&星を守り、神々の相談役も担っている神様の神様という存在――大神様。彼女は淡い桃色の長い髪を持っており、その顔はベールに包まれていてよくわからない。現在の大神様は三代目らしい。


 閑話休題(それはともかく)、今、僕が思いついている解決策は三つ。


 一つ目は、闇の原因である僕自身を何とかすること。


 ……これは難しいかな。「何とか」っていっても、僕にできるのは感情を殺すか負の感情を出さないようにするかの二択だけだし。この二つ、僕には難しくてできないし……。


 他の守護神を参考にしよう! って思ったときもあったんだけど、他の守護神はそもそも闇のことで悩んでないのだ。大神様が創り出したヒト達は、感情の制御・管理ができるから。


僕は、守護神になる前、普通に人間としてフィール星で暮らしていたからなぁ……。そういうわけにはいかないんだよね。よって参考にならない。


 二つ目は、フィール星にいる勇者と女神にきちんと役目をこなしてもらうようにすること。


 勇者と女神はフィール星の副守護神みたいな存在で、僕の闇を止めることが仕事なんだけど……。ここ百年、何故か仕事をせずに引きこもっているんだよね……。


 何があったのかは知らないけれど、仕事はきちんとしてほしい。今まで、彼らが仕事をしてくれていたおかげでフィール星はこの闇の影響を受けずに済んでいたのだ。

 

 前に彼らの所に行って「きちんと仕事してください!」って言ったことはあるけれど、「放っておいてください」としか言ってくれないから困っているんだ。結構しつこく言ってるんだけどなぁ……。この調子だと、きっとあと五百年くらいは仕事してくれないだろうな……。よってこの方法も難しい。


 三つ目は、大神様に相談して、解決策を見出すこと。


 大神様は僕ら神々にとっての相談相手とも言える存在である。僕よりもフィール星のことを知っているだろうし、きっと解決策を見出してくれるだろう。


 ただ、彼女はとても忙しいらしい。それもそのはず。何せ、全世界を管理しているのだから。僕のせいでもっと忙しくさせてしまうのは嫌だな……。だから、できれば僕が全て解決させたかったのだけれど。


 僕はもう一度フィール星を見る。フィール星には所々、黒くなっている部分がある。そこが、闇に侵食されている部分だ。その範囲は少しずつだけれど広くなってきている。フィール星が闇の星となってしまうのも時間の問題だろう。


「大神様の所に行ってみるか……」


 これは、もう僕だけでは解決できない問題だ。彼女を頼るしかない。忙しくさせてしまうのは申し訳ないが、フィール星がこれ以上悪くなるのは耐えられない。


 僕は大神様の所に移動することを決め、彼女の家の前に瞬間移動する。そして、そのドアをノックして言った。


「大神様。フィール星の守護神、ルカです。ご多忙中とは存じますが、ご相談に乗っていただきたいことがございます。誠に恐縮ですが、お時間を頂きたく……」


 僕が話している途中にドアが開き、大神様が出てきた。


「あら、ルカさん。久しぶりね〜。そんなに堅苦しい言葉、使わなくていいわよ。何、相談? わかったわ! さあ、中に入って。『お茶』を出さなくちゃね」


 僕を部屋に招きながら彼女が言った。


「い、いえ。そんな、すぐに帰りますので」


「そんなこと言わずに、飲んでいって。私が最近ハマっている飲み物の感想を聞かせてほしいもの」


 大神様がハマっているのは先程おっしゃっていた「オチャ」というものなのだろうか……? 聞いたことがない飲み物だ。彼女もこう言っているのだから、飲まないほうが不敬だ。有り難くいただくとしよう。


 大神様に招かれた部屋は僕が今まで見たことがない風変わりな所だった。床は……なんだろう。若草色の、何かで編まれた感じのもの? 壁も、部屋の中も、初めて見るものだらけだ。


 僕の驚いている姿を見て大神様は言った。


「ふふ、この部屋、つい最近模様替えしたのよ。いくらルカさんでもこんな部屋は見たことがないでしょう? これはね、『地球』という星の『日本』という国の文化なのよ。私は今、日本文化にハマっているの。この部屋は『和室』っていうの。床は『畳』、壁にかけてあるこの絵は『掛け軸』、この戸は『障子』……全部説明したいところだけれど、この辺にしておくわね。さあ、座って。これは『座布団』っていうのよ。この上にこうやって……『正座』してね」


 僕は言われた通りにセイザする。へぇ〜、こういう座り方もあるんだ。タタミとかカケジクとか、ニホンの文化はフィール星とは全く違う。興味深いな。それに、この部屋はなんだか落ち着く。大神様が気に入るのも納得だ。


 僕が部屋を見渡していると、大神様は黄緑色の飲み物が入った、少し変わっているコップを机に置く。これは、「オチャ」というものだろうか……? 今までの話からすると、これもニホンの文化なのかもしれない。


「これは『お茶』といって、『中国』という所から日本に伝わった飲み物よ。私が行っている、この入れ方は日本の伝統文化『茶道』というものなの。そして、これからルカさんに飲んでもらうのはお茶の中でも『煎茶』という種類のものね。私の一押しのお茶だから、感想を聞かせてほしいわ」


「ありがとうございます。では、いただきます」


「熱いから気をつけてね」


 僕は入れ物を持ってゆっくりとセンチャを飲んでみる。少し熱いが、これくらいなら大丈夫だ。一口飲んでみて、驚いた。なんだこの美味しいものは! 初めて飲んだ。


「どう?」


「とても、美味しいです! 甘味と苦味がいい感じに混ざっていて、深みのある味ですね。このようなものは初めて飲みました」


「気に入ってもらえて嬉しいわ! とても美味しいでしょう? よければ少し分けるわよ。たくさんあるし」


「ありがとうございます」


 大神様から『チャバ』とオチャについての説明書を貰い、それらを僕の部屋に瞬間移動させた。


 嬉しいな、センチャが家でも飲めるなんて。あれは本当に美味しかった。早速、家に戻ったら飲むとしよう。


「あ、相談に来てくれたのよね。ごめんね、話を逸らしちゃって」


「いえ、お気になさらず。むしろこんなに美味しいものに巡り合わせてくださったので感謝していますよ」


 そう伝え、僕は彼女に今のフィール星の問題について話し始めた。

日本文化にハマっている大神様と日本文化に感動している守護神。( ゜д゜)


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

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