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38. 【マンダン地下五階⑤】回復からの、ダメージ×3

「リズムちゃん、リズムちゃん!」


 あれ? 誰かに呼ばれている⋯⋯? 誰だろう? 


 疑問に思いながらゆっくりと目を開けてみると⋯⋯。何か、見たことがあるような景色が目の前に広がっていた。


 目覚めるとそこは、草原だった。そして、すぐ近くでさらさらな金髪と青緑色の瞳を持つ可愛い少女が私の顔を覗き込んでいる。この子は確か⋯⋯。


「し、シルビアちゃん!?」


「リズムちゃん、目が覚めたのね! よかった⋯⋯!」


 うん、この高くて可愛らしい声はシルビアちゃんのだ。なんだか久しぶりだけど、相変わらず可愛いっ! 輝いているね、物理的にも! 


 シルビアちゃんは、私たちの家がある国、ダイア王国の第一王女様なんだ。とても身分が高いお方だから、本来なら私なんかが会えるわけがないんだけど⋯⋯。なんか、夢の中では会えるんだよね。現実では、住む世界が違いすぎて会えないだろうけど。


 シルビアちゃんに会えたということは、ここは夢の中の世界? この草原らしきところも、この前シルビアちゃんと会ったときにいた場所だし。


「久しぶりだね、リズムちゃん。元気にしてた?」


「うん、久しぶり! めちゃくちゃ元気だよ! シルビアちゃんは?」


「私も、元気だよ。ありがとう」


 そう言って、シルビアちゃんはにこっと微笑んだ。うわぁ〜っ! 可愛い、可愛すぎる! 最近会ってなかったから、なおさら。現実では、人外イケメンたちに攻撃されている私の目だけど、シルビアちゃんを見て回復していくのがわかる!


 この子は、天使だ! これほどの可愛さを持ったお方を、私は知らない! ライムは可愛いけど、最近は格好良いっていう面が増えてきたからなぁ。シルビアちゃんが、一番可愛い!


 でも、中々会えないんだよね。そこが苦しい。なんで、夢の中でしか会えないんだろう? それも、会えたのは今回で二回目だし。現実世界でも会いたいなぁ。まぁ、私のような平民がシルビアちゃんのような地位の高いお方に会うのは、ほぼ不可能なんだろうけど。残念。世の中、厳しいなぁ。


「今日も、お城から抜け出してきたの。先生ったら、私が第一王女だからって一気にいろんなことを教えてくるのよ。そのせいで、毎日がとっても忙しいの! もう、嫌になっちゃったから、抜け出してやったのよ!」


 可愛い! さっきから可愛すぎるよ、シルビアちゃん! 前よりも可愛さが増してる!


 お城から抜け出してきたって⋯⋯。シルビアちゃん、第一王女だもんね。そりゃ、当然色々と学ぶことがあるだろうし、こうなるのもわかるなぁ。私がシルビアちゃんの立場でも、多分こうなっている。


「シルビアちゃんは、この国を支えるために、色々勉強してくれているのかぁ。すごいね。私も、見習わないと」


「そんなこと、ないよ。私なんかより、お兄様の方がずっとすごいもの」


「シルビアちゃんのお兄さんって、第一王子様?」


「うん! 私よりもお勉強ができて、頭がよくて、魔法もいっぱい使えるのよ! 自分も忙しい筈なのに、いつも時間を作って私と遊んでくれるの! 私、お兄様のこと、大好き!」


 私がシルビアちゃんのお兄さんについて聞くと、シルビアちゃんは目を輝かせながら、すごい勢いで話した。可愛いっ! お兄さんのことが大好きなんだっていうのがダイレクトに伝わってくるよ!


 お兄さん、第一王子様っていうことは⋯⋯将来、このダイア王国の王様になるお方ってこと? うわぁ、すごいな。それこそ、私が一生会うことのないお方だろう。遠目に見ることはあるかもしれないけど、直接話すことはなさそう。


「そっか。じゃあ、お兄さんを心配させないためにも、早くお城に帰らないとね。今頃、シルビアちゃんのことを探しているかもよ?」


「で、でも⋯⋯お城に帰ったら、お勉強しないといけないから⋯⋯」


「お兄さんも、お勉強とか、お仕事とか頑張っているんだよね? だったら、シルビアちゃんも頑張らないと! 大きくなって、お兄さんを支える人になるんだよ。私も、頑張るから!」


「リズムちゃん⋯⋯。そっか、お兄様を支える人⋯⋯。私、そんな人になりたい! ありがとう、お城に帰ることにする。お互い、頑張ろうね」


「うん、頑張ろう!」


 私がそう言うと、シルビアちゃんはぎゅっと私に抱きついてきた。突然のことだったから、私は一瞬驚いてしまったけど、すぐに私の方からもシルビアちゃんを抱きしめ返した。


 数秒ほど抱き合って、シルビアちゃんはゆっくりと私から離れる。


「じゃあね、リズムちゃん。また、ここで会おうね」


「うん。あ、でも、抜け出してきちゃダメだよ。ちゃんと、ご両親かお兄さんに言ってから来るんだよ」


「う〜ん、どうしよっかな」


 シルビアちゃんは、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。いや、可愛い! 可愛いんだけどさ⋯⋯。もしかして、家族に内緒でここに来ようとしてる? 初めて会った時、シルビアちゃん、ここのこと“私の秘密の場所”って言ってたし。


 シルビアちゃんは、パタパタと走って、帰っていく。一度、振り返って手を振ってくれたから、こちらも振り返した。いや〜、久しぶりに会ったシルビアちゃん、可愛かったなぁ⋯⋯。


 私は、シルビアちゃんの可愛い行動を振り返りながら、彼女が見えなくなるまで手を振り続けた。



 ――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――



 ザッバ〜ン! ザッパ〜ン!


 ん? 何の音、これ? なんか、水が激しく流れているような音だけど⋯⋯?


 私は、ゆっくりと目を開ける。すると、目の前にいる、種類の違うイケメンが三人、私の顔を覗き込んでいた。


「⋯⋯うわっ!!?」


 意識が大分はっきりしてきた私は、三人の顔面攻撃を直撃したため、寝起きで大声を上げる羽目になった。


 ぐぁぁあ! 目が! 目がぁぁあ! 何、この総攻撃は!? みんな、とうとう本気で私の目を潰しにかかってきた感じ!? くっ! それなら負けてたまるか! こっちにはシルビアちゃんパワーがあるんだからな! そんな攻撃、効かな、い⋯⋯筈、だけど⋯⋯。結構効いてるかも。不味い、不味い。早く距離を取らねば! 目がやられるぅ!


 私がこんなになって頑張っているのに対して、三人は心底安心したかのようにほっとした顔をしている。


 なるほどね!? そういう顔で私の目を攻撃するつもりなんだね!? そういうこと!? このヒトたちが中々顔を離そうとしないのは、そういうことなのね!?


「くぅっ⋯⋯!! この、イケメン集団め⋯⋯!! 早く離れんかいっ!!」


 そろそろ目の健康状態を保つのが難しくなってくるのでは、と思った私は、思わずそう口に出してしまった。


 ルカ様とライムは少し赤くなって、フィアルはキョトンとする。心配してくれるのは嬉しいけど、それと同時に目を潰そうとするのは違うよね!? 


「ご、ごめん⋯⋯。その、リズムが心配で、思わず⋯⋯っ!」


「すみません⋯⋯っ! リズムさん、体調は、いかがですか?」


「なんか、ごめんな? リズム、起きてくれてよかったぜ!」


 みんな、それぞれ違う反応をする。どうやら、本気で心配してくれたようだ。なんか、申し訳ない。私は本気で目を潰しにきたのかと、勘違いしてしまった⋯⋯。ごめんね。


 まあ、それは置いといて⋯⋯。さっきから私は、周りの光景が気になりすぎて仕方がない。


 何故にイカが水と一緒に私たちの周りをすごいスピードで回っているのか!? そして、どうして私たちはこんな地下五階の真ん中に浮いているのか!?


 きっと、ルカ様の仕業だ。こんなことができるのは、彼しかいない。


 はい、ルカ様、説明お願いしま〜す!!

今回のイケメン攻撃を食らった後、目のトレーニングをする時間を増やそうと考えるリズムであった。


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

次回更新予定は10/18(日)です。m(_ _)m

次回予告:マンダン地下五階にて。イカに反撃開始!(/ω・\)チラッ

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