32. 【マンダン地下四階③】怖さ満点、お化けとの対決! 鬼も見つけました
私は歩いて、会場に到着した。そこから見る景色は意外に緊張するものだったから、驚いた。
な、なんか、広いし真ん中だし結構落ち着かないのだが⋯⋯!? それに何より、観客席が見えるっていうのがやばい。観客はライムとフィアルだけだからまだいいかもだけど。ここに私達以外の挑戦者がいなくて本当によかった⋯⋯!!
私が会場で色々と考えていると、それを吹き飛ばすような陽気な声がホールに響いた。
『さて、最後の挑戦者が会場に到着しました! 挑戦者さん、あなたのお名前を教えてくださ〜い!』
「はいっ! リズムです」
『リズムさんですね! ありがとうございま〜す! それでは早速、始めていきましょう! リズムさんと対戦するのは〜⋯⋯!』
声がそう言うと、またまたポンッという音とともに敵が数匹召喚される。
「ひぇっ!?」
召喚された敵を見て、私は小さく悲鳴を上げてしまう。観客席にいた時は、呑気にどういう仕組みになっているんだろう⋯⋯? って考えていられたけど、戦場にいる今はそんなこと考えられない。現実では見たことがないこの敵を観察するので精一杯だ。
『こちらの怖〜いお化けさん一体で〜す! このお化けさん、見た目は怖いし性格は凶暴だしで、お世話をするのが大変だったんですよね〜』
こ、こ、怖いんだけど〜!? とっても、めちゃくちゃ、怖いんだけど〜!!
お化けを見た途端に思ったことは“怖い”である。それ以外に思ったことはない。さっきからそれくらいしか考えられない。
お化けは白くて宙にふよふよ浮かんでいる。見た目はスーパーマ○オに登場するテ○ンに似ていて、三角っぽい形で、真っ黒な目と口がついている。
イラストとかでこういうお化けを見ても、可愛いな〜、としか思わなかったけど、実際にいるとそんな風には思えないらしい。普通に怖いから! ゾンビとか来なかっただけマシかもしれない。まだ可愛いお化けかもしれない。でも、怖いもんは怖い!
というか声さん! あなたはこの怖いお化けをお世話していたんですか!? そんなことできるなんて、すごいな。私は勿論無理。
それに、この世界ではお化けが見えるのね!? 霊力とかそういうんがなくても見えるのね!? なるほど!? そんなこと一生知らなくてもよかったのにぃ〜!
『レベルは三十六で〜す! 魔法属性は水!』
レベル高い〜! 怖くて凶暴でレベルが高いとか、もうこちらを殺す気ですね!? 殺害宣言していますよね〜!? 声さん、そんな明るい声で説明しないで!
『対決を開始する前に、リズムさん! なにか言いたいことはありますか?』
「怖い! 精神的に無理かも!! でも負けたくないから頑張るね!」
『頑張ってください! 敵は手強いし怖いですがね』
「追い討ち掛けないでくれません!?」
ひどいよぉ! これから前向きに考えようとしていたのに! 立ち向かおうと覚悟を決めていたのに! そんなことを言うなんて、あなたは鬼ですね! 実は人の精神を抉る鬼だったのですね!
「リズム、そんなお化けさっと倒して夕飯にしようぜ! 頑張ってくれよな!」
「リズムさん、勝つことを第一に考えてくださいね! あなたなら大丈夫です!」
「フィアル、ライム⋯⋯!」
ありがとう! 鬼の声さんとは違って二人は仏だよ! 私、二人のために勝つからね!
『準備は良いですか〜? そろそろ戦闘開始しますよ』
「は、はい!」
『は〜い! それでは、観客席にいらっしゃるお二方も一緒に開始の合図をしましょう! 私の声に合わせてくださいね〜! 五、四⋯⋯』
『「「三、二、一⋯⋯」」』
『始め!』
声さんがそう言うと、お化けがすぐに水を掛けてきた。でも、それは今まで見てきた戦いから予想していたから、すぐに“木の葉盾”で防いだ。それにしても、動きが速い! 普通にギリギリだったもん。
「“木の葉砲”!」
私は盾を展開しながら更に“木の葉砲”でお化けを攻撃する。
⋯⋯うん? あ、あれ? 今、確かに攻撃が当たったよね? なのに、お化けはダメージを受けた様子はない。どうして? 理由を見つけるために、もう一回攻撃してみることにした。
“木の葉砲”をもう一度お化けに向かって放つ。攻撃は、当たった⋯⋯? いや、当たってない!? お化けを貫通してる!?
「やっぱり⋯⋯攻撃が効いてない!」
そりゃそうだ。相手はお化けじゃん! 確かに、お化けに向けて攻撃をしても透けて当たらないに決まってる。
攻撃をするには、どうすれば⋯⋯? 私はカミキソに手伝ってもらいながら、頭をフル回転させる。
私が考えている間にも、お化けは容赦なく水を放ってくる。時々氷も放ってくるから、本当に危ない。早く対処法を考えないと、盾が壊れてしまうかもしれない。
私は焦りながらもなんとか頭を働かせる。しばらく考えて、私は一つの仮説に辿り着いた。
お化けなら、もしかして⋯⋯? でも、これも効かないかもしれない⋯⋯。いや、取り敢えずやってみよう! ダメだったらダメで、他の方法を考えればいいし。
「“灯り”!」
私は、光魔法“灯り”を使って指先に明かりを灯す。でも、それだけじゃ足りない!
私は指先に力を込めて、会場中を照らすように念じる。これで明かりが強くなるのかはわからないけど。お願い、もっと明るくなって!
私の願いが天に届いたのか、それともこれがそういう魔法なのか。それはわからないけれど、私の指先の灯りはどんどん強くなってくれた。それこそ、会場中をより一層明るくする程に。
「っ!? %#*”’;:>j:fl@;k⋯⋯.[:[⋯⋯hw¥⋯⋯⋯⋯」
お化けから、なんかよくわからない呪文みたいなものが聞こえるけれど、それもだんだん聞こえなくなっていく。これは、お化けなりの悲鳴だろうか⋯⋯? お化け語とか?
お化けは少しずつ小さくなっていき、消滅した。やっぱり、この攻撃なら効いたんだ!
実は、お化けが召喚されたとき、会場が少し暗くなったんだ。それで、もしかしたらお化けは強い光に弱いのかなって考えたの。私が持っている、明るくする系の魔法は、“灯り”だから、それで攻撃すればいいんじゃないかなって。
それでやってみたら、見事に的中! お化け退治に成功した。ふぅ、怖いのがいなくなって一安心だよ。
『なんとリズムさん、お化けの弱点を見つけ、それを利用して倒しました! すごい観察眼です! おめでとうございま〜す! リズムさんの勝利です!』
やったぁ! 不安だったけど、なんとか勝てた! ライムやフィアルよりかは時間がかかってしまったけど、勝てたから嬉しい!
私がライムとフィアルのところへ戻ると、二人は「流石、リズムさんです!」「すごかったぜ!」と褒めてくれた。嬉しくて頬が緩んでしまう。表情はお化けの登場からずっと強張っていたと思う。それを一気に緩めてくれる二人はすごいな。
『これにて、地下四階の試練は終了で〜す! 皆さん見事に勝利しましたので、地下五階へお進みください!』
声さんがそう言うと、今までなかった筈の地下五階への通路が出現する。よし、行くぞ〜! っと、その前に、夕飯を食べて睡眠を取りたいな⋯⋯。
それをライム達に言うと、「勿論です」と返ってきた。このまま行こうとか言われなくてよかった。
「あの、ここで一泊しても宜しいでしょうか?」
ライムが声さんに向かってそう聞いた。
『どうぞ〜! 地下五階へ進むのはいつでもいいですからね〜!』
「「「ありがとうございます」」」
私達がみんなで声を揃えてお礼を言うと、『いえいえ〜』と返してくれた。意外と鬼ではないのかも⋯⋯?
『私が暇なので、たまに凶暴な生物をそちらに送りますね。きっと襲われると思いますが、それでもよろしければここに泊まってください!』
前言撤回。やっぱり鬼だわ。普通、暇だからっていう理由で凶暴な生物を送りつけないでしょうよ!
結局、私達は地下五階へと続く通路で野宿をすることになったのだった。
『リズムさん達がここに泊まってくれたら、私も暇にならないのになぁ⋯⋯』
⇧リズム達が去った後の声さんのつぶやき。
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
次回更新予定は明日、9/27(日)です。m(_ _)m
次回予告:通路にて、ドキドキのお泊り!? (野宿ですがね⋯⋯)(/ω・\)チラッ




