29. 【マンダン地下三階】ペンギン団子とペンギン饅頭とペンギン焼き
地下三階へと続く通路を歩き、二階の時と同じような扉の前まで来た。三階も扉のせいで中が見えないようになっている。
「入る前に、一応三重の盾を用意しておきましょう」
ライムがそう言ったので、私達は三重の盾を用意した。それからバンッと扉を開ける。
いざ、出陣!!
「わぁ⋯⋯。何ここ⋯⋯」
「ここ、本当に地下ですか⋯⋯!?」
「もう可愛いには騙されないからな!」
勢いよく飛び込んだのはいいのだが⋯⋯。またもやよくわからない光景が目の前に広がっていたため、私達は足を止めて一瞬フリーズ。
一言で表すと⋯⋯ペンギンの大群大発見!!
なんと舞台は南極です!! 氷の島です!! 寒いです!! そこにペンギンがたくさんいます!! 可愛いです!! なんだこの光景は!?
スライム、バッタときて今回はペンギン!? すごい組み合わせだな!? こんなの、誰も予想できないでしょうよ!
私が色々と突っ込んでいると、脳内にピコンと電子音が。
“この階には、凶暴な生物がたくさんいます。ペンギンを三羽以上倒してください。そうすれば、地下四階への道が開かれるでしょう”
なるほど⋯⋯! この階は凶暴なペンギンがたくさんいるのね〜!! こんな可愛いペンギン達を三羽倒せと。さらにこのペンギン達、レベル三十五くらいあるんですよね〜。私よりも上。色々な意味でキツくない!?
「鬼畜⋯⋯!」
「ペンギンさん、普通にレベル高いじゃないですか!」
ほら、フィアルもライムもうわ〜っていう顔してるし! やっぱりキツいのかな⋯⋯。嫌だなぁ、やりたくないなぁ⋯⋯! でも、やらないとこの先に進めない!
私達がどうしようと思いながら周りを見渡してみると⋯⋯。
「うわぁ!?」
「ふへぇ!?」
「うおっ!?」
三人同時に驚く羽目になった。なんと、ペンギン達は、私達に向かって攻撃をしてきているのだ! 雪の塊を投げつけてきたり、中には勇敢に体当たりしてきたり。勿論、私達は三重の盾を張っているから攻撃を食らっていないけど。
ほ、本当に凶暴だった⋯⋯! こんなに可愛いのに!
「「「見た目詐欺⋯⋯」」」
私達の声が重なる。みんな、思ったことは同じだったようだ。
どうしてダンジョンには、可愛いくせして凶暴な生物がこんなにたくさんいるの!? 見た目詐欺すぎだよ⋯⋯!
「このまま自滅してくだされば、楽でいいんですけど⋯⋯」
ライムがさらっとすごいこと言った。
「そうもいかねぇよな」
それにフィアルがそう返す。
確かに、盾に体当たりし続けてくれればペンギン達の体力は減っていき、最終的に勝手に倒れてくれるけど⋯⋯。ペンギンもそこまで馬鹿ではないようだ。みんな、こちらを睨みつけてくるだけでもう攻撃はしてこないようになったもん。
「どうやって倒す?」
「そうですね⋯⋯。それでは、このまま盾で防御しながら魔法を出して攻撃しましょうか?」
「そうしようぜ! ほいっ!」
フィアルはそう言うや否や、すぐに炎を出してペンギンに火傷を負わせる。おおっ、フィアル、行動が早い!
ライムもお得意の無情攻撃で、ペンギンを三羽、饅頭にした。さっすがライム! 命中率が高い!
二人とも、ペンギンを三羽倒すのなんて楽勝なんだろうなぁ⋯⋯。すごい、すごすぎる。
さて、私も頑張るぞ〜!!
う〜ん⋯⋯。一発できれいに倒しちゃいたいな⋯⋯。できればグロい倒れ方もしてほしくないし。そのためには⋯⋯。
「“木製槍”!」
一思いに、突き刺しちゃう! これが、いいよね! 大丈夫、苦しまずに天に昇ることができるよ! 痛いのは一瞬だから。それに、出血量も少ない方だし! このやり方が、一石二鳥なんです。許して! ライムに比べたら優しいから!
私は、槍を盾の中から飛ばして、操る。そして、ペンギン目掛けて⋯⋯。
ブスッ! おお、ヒットした⋯⋯。可哀想だけど、これが私の中では最善なんだ⋯⋯。手紙は書いたから!
これをあと二回繰り返して、合計三羽、串刺しにした。うぅ⋯⋯胸が痛む。本当に、ごめんなさい!
木の棒にペンギンが三羽突き刺さっているところ⋯⋯。なんだか団子みたいだと思ってしまったこともすみません⋯⋯。本当に団子に見えてしまったのだ。ライムの饅頭と並ぶと和菓子を思い出す。和菓子、食べたいなぁ⋯⋯。
そんなことを考えていると、奥の方に次の階への通路が出現したのが目に入る。おっ、これは、もうペンギンを倒せたってことだよね!
「通路が出現しました。ですが⋯⋯ペンギンさんたち、攻撃はやめてくれませんね」
そう言われてみて周りをぐるりと見渡すと⋯⋯。色とりどりな魔法がこちらにぶっ放されているではないか!? 炎魔法に水魔法、土魔法に風魔法に草魔法に⋯⋯電気魔法まで!? うわぁ⋯⋯! すごい! 電気魔法、初めて見た!! ビリリッていう音とかバチッっていう音とか迫力満点!!
って、そうじゃなくて! 電気魔法に感動している場合じゃない! この魔法の嵐の中、どうやって通路まで行くのか、考えないと!
「よっしゃ! じゃ、盾が壊される前に全力疾走で通路まで行きますか!」
「そうですね!」
「!? う、嘘でしょ⋯⋯! またぁぁあ⋯⋯!?」
フィアル、なんて恐ろしい提案をするの⋯⋯。ライムもそれにさっとのらないでよ⋯⋯。確かにそれが一番効率が良いけどさぁ⋯⋯。ダメだ、効率重視のライムには何を言ってもダメなんだった⋯⋯。
やる気満々な二人を見て、もうこれは覚悟を決めるしかないな、と思ったので、無理矢理覚悟を決めた。
もう、やるしかない! 例え超超超疲れたとしても、こんなところで可愛いペンギンにやられて死ぬよりかはマシだもん!
「では⋯⋯三、二、一、はい!」
ライムの掛け声で私達は一斉に走り出す。
うおぉぉぉお!
頑張って、本当に頑張って走って私達は無事に通路に辿り着くことができた。
はぁぁぁあ。めちゃくちゃ疲れた! もうダメ! もう動けない!
隣で、ライムも息を切らしている。でも、さっきよりかは余裕そうなのが不思議。体力ってこの短期間で増えるものなのだろうか。ライム、すごい!
そして、フィアルは相変わらずとっても元気! 息も切らさずにピンピンしている。フィアルの体力、本当にどうなっているんだろう⋯⋯? ちょっと怖いわ。
そして、「どうしてこのくらいで疲れるんだ?」っていう顔やめて! これが普通だから! そっちが異常なんだって、いい加減気付いて!
「“癒やし”」
はい、本日何十回目かわからない回復魔法を使用しました。本当に毎回、この魔法にはお世話になってます。感謝の気持ちでいっぱいです⋯⋯!
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
休憩して、通路を歩いて階段を降りて、地下四階の扉の前まで来た。そして私達は今、扉を開けようとしている。勿論、三重の盾は用意してるよ。扉を開けた途端に攻撃されても防げるようにね。
準備万端にして、私達はバンッと扉を開ける。そして、またもやフリーズ。これもお決まりだね。もう毎回固まっている自信があるよ⋯⋯。どうしてこのダンジョンはこんなにも個性的なのだろうか?
私達は今、なぜか観客席らしきところに立っている。目の前にはなにやら戦う場所があるのだけど⋯⋯。これはどういうこっちゃ? 敵は、まだ見当たらないけど⋯⋯。
すると、アナウンスが聞こえた。
『ようこそ、ダンジョンコロシアムへ! これから、一人ずつ凶暴な生物と対戦してもらいます。どんな生物が出てくるのかはお楽しみ! 生物に勝つことができたら、最下階に進んでくださいね〜!』
なんだ、この陽気な声は⋯⋯!? 言っていることが全然楽しいことではないんだけど!? どうしてそんなに明るい声で言えるんだろう⋯⋯?
それはともかく、ダンジョンコロシアム? ここが? 四階は一人ずつ生物と戦うってこと!? 仲間に助けてもらうことができないってこと!? 完全なる実力勝負だ⋯⋯。そうきたか。
「おおっ! 楽しみだな!」
「なるほど。生物に勝てばいいんですね。望むところです!」
「どうしてそんなにやる気なの!? 不安とかないの!?」
なんだかやる気に満ちている二人に聞いてみたら、今までのよりもやりやすいじゃんって返ってきた。それはそうだけど⋯⋯。
『さぁ、気になる最初の挑戦者は⋯⋯⋯⋯そこの可愛い青年!』
「はい? 僕ですか?」
『そうですよ〜! 観客席から降りて、対戦する準備をしてください!』
なんと! もう始めるの!? トップバッターはライムか。まあ、ライムなら、大丈夫だよね。私よりも強いし。
「ライム、頑張って!」
「大声で応援するからな!」
「はい! 頑張りますね! では、行ってきます」
そう言って、ライムは会場の方へ向かっていった。
グロいペンギン饅頭とペンギン団子を見て和菓子を食べたいと思えるリズム、精神面でも成長(?)しました。
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
次回更新予定は9/16(水)です。m(_ _)m
次回予告:ライム、対戦開始! (/ω・\)チラッ




