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28. 【マンダン地下二階】イライラさせる天才、現る

 全力疾走作戦でいけないなんて⋯⋯! どうしてこの作戦でいけないのかって? それは⋯⋯。


 生物がいないから! 何やら森のようだから! それに、次の階へと繋がる通路がないから!


 そりゃ、全力疾走しようにも目的地がないんならどこに向かって走ればいいのかわからんもん!! 行けんに決まっとるやんか!!


 私達が困っていると、脳内にピコンという電子音のような音がなる。電子音⋯⋯この世界にないよね!? どういうこった⋯⋯。まあ、今はそんなことよりも、脳内に表示された文の意味を考えないとね。


 “この階には、凶暴な生物が潜んでいます。その生物を倒せば、地下三階への道が開かれるでしょう”


 ん〜と⋯⋯。とにかく、生物を倒そう! ってことね。そうすればいいのね! 私は、今脳内で表示された文について、ライム達に伝えた。


 どうやら彼らにも文が表示されたらしく、あまり驚いてはいなかった。


「それじゃ、その生物とやらを探そうぜ!」


「そうですね。そうしましょう」


「は〜い!!」


 さあ、始まりました! 生物探しという名のダンジョン探索! えっ? 何だそれはって? その通りの意味だよ! ダンジョンに来たなら、レベル上げの他にやるべきこと! それは、ダンジョン探索!!


 絶対に楽しいに決まってるもんね! 勿論、例の生物も探すけど、正直探索の方を楽しもうと思っている。あ、大丈夫。安心して? きちんとライム達にはバレないようにするから!



 ――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――



 もう二時間が経ったんだけど〜〜!! 全っ然見つからない!! もうこの階、全て見た! 探索も飽きた! さっさと出てきてくれよ、生物さん⋯⋯。


 そう思っているのは私だけではない。ライムはまだ真面目に探しているけど、フィアルなんてもうそこら辺にいたバッタと追いかけっこをして遊んでいる。私も遊びたいなぁ⋯⋯。


 そう思って、フィアルとバッタの様子をじっと見つめていると⋯⋯。


 ⋯⋯あれれ〜? なんか、脳内に数字が出てきたんだけど⋯⋯? どういうこと?


 も、もしかして。もしかしなくても。今、出てきた「32」っていう数字、レベルを表している⋯⋯?


 と、いうことはだよ? このバッタが、この階にいる凶暴な生物とやらでは? 


「フィアル、そのフィアルが追いかけているのって⋯⋯」


「ん? ああ、こいつか? こいつは例の生物だと思うぜ。さっきから追いかけているのに捕まらないんだ! 時折土魔法打ってくるし! いい加減捕まれよ!!」


「あ、やっぱりそう? というか、フィアルでも捕まえられないバッタって⋯⋯。よし、私も手伝うよ!」


 私とフィアルは二人でバッタを追いかける。だが、少しして私はイライラしてきた。


 おい。そこのバッタ。煽るのやめろ。腹立つのだが!? 


 なんと、このバッタは、たまにわざと速度を落としてこちらをからかってくるのだ。煽ってくるのだ。私とフィアルの周りをぴょんぴょん跳ねるという気持ち悪いことをしてくる。


 捕まりそうで捕まらないという、こちらのストレスがめちゃくちゃ溜まることをしてくるのだ。私は、勿論ストレスが溜まっている。マジでふざけるな。取り敢えず、殴っていいか?


 おっと、少々言葉遣いが荒くなってきた。ここで言っておく。イライラするごとに心の声の言葉遣いが汚くなってしまっても許してほしい。私は昔からこういう人なのだ。よろしく!


 そんなことをしている間に、ライムに気付かれた。絶対に勘違いするよね? これ、私とフィアルが遊んでいると勘違いされるよね?


「二人とも、真面目に探してください!!」


 ほらきたぁ! 今、私、相当苛ついているから、そんなふうに言わないでほしい。こちとら真面目に生物を倒すために行動していますが!? 


「ライムも手伝って。こいつ、一回締めたほうがいいと思う」


「俺も。ぶん殴りたい⋯⋯!!」


「はぇ!? どうしたんですか!? それに、“こいつ”って一体⋯⋯?」


 ライムは、突然イライラオーラ全開で口が悪くなった私達に驚いている。


「そこにいるやっていることが気持ち悪いバッタ野郎のことだよ」


「ああ、今もぴょんぴょん跳ねているのが腹立つな⋯⋯! さっさと地獄に落ちちまえ!」


「あっ! いました。この子ですね? わかりました、早く捕まえてしまいましょう!」


 そうして、私、フィアル、ライムVS.性悪最低バッタの戦いが火蓋を切った。



 ――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――



 マジでふざけんな。このバッタめ⋯⋯! いい加減捕まれぇえ! バッタと全然楽しくない鬼ごっこが始まってからもう三時間経過したんだぞ! お前如きにこんなに時間を割いてやったんだから、もう命をくれ!!


 バッタは、疲れというものをしらないのか、もうずぅ〜っとぴょんぴょん跳ねている。その楽しそうな様子が無理なんですけどぉお〜!!


「くっ! この⋯⋯! 本当にさっさとくたばってほしいですね」


「ライム、さっきから言葉遣いが汚いね。やっぱそうなるよね」


「当たり前です! 何なんですか、このバッタは!」


 私達三人とも、もうくたくたのイライラである。


 本当に良くないと思う。もうバッタ嫌いになったわ。ごめん、善良なバッタ。君たちのことも嫌いになってしまったよ。この性悪バッタのせいで。どうぞどうぞこいつを恨みたまえ。


「⋯⋯ふぅ〜〜。⋯⋯よし、一度冷静になりましょう。このままでは埒が明きません。はい、二人とも、深呼吸してください」


「「スゥ〜⋯⋯ハァ〜⋯⋯」」


 ありがとう、ライム。ストレスは溜まったままだけど、冷静になることはできたよ。このバッタを懲らしめるためにも、頭を使わないとね。


「作戦会議です。さて、あの気持ち悪いバッタをどうしばきましょうか?」


「そうだね。私としては、ライムの無情攻撃(水の塊)で溺死させたいなぁ⋯⋯」


「おっ、いいな。火で炙るのも中々だと思うぞ」


 確かに、フィアルの意見もいい! どっちにしようかな⋯⋯? 


「それでは、火でギリギリ死なない程度に炙って動けなくしてから溺死させましょう」


「「賛成!!」」


 ライム、天才か!? それがいい! 是非ともそうしよう!


 それから、私達は順調に作戦を立てていった。ふっ、おい、性悪バッタ。ぴょんぴょん跳ねていられるのも今のうちだぞ。これから地獄を見せてやる。楽しみだなぁ。


 その後、私達は作戦通りにバッタを炙り、溺死させることに成功した。どうやってやったのか、詳しく知りたいって? やめたほうがいいよ。結構⋯⋯いや、相当残酷なことをしたから。


 まずは、バッタに私達の三重の盾を仕掛けて、閉じ込めて、それから圧死させない程度に⋯⋯ゴホンゴホン。すみませんでした。あいつを苦しめた時は、ストレスが解消されて、とってもスッキリしたから、うっかり思い出しかけてしまった。


 あっ、これは、あいつだからやったことだよ? 勿論、私を怒らせなければ、イライラさせなければ、こんなこと思わないし、やらないし。私、そういう嗜好の持ち主じゃないんで。


「“癒やし(ヒール)”」


 私は、本日何十回目かわからない回復魔法を使う。あいつを追いかけている時、疲れたらこの魔法を使っていたから。あ、やばい。思い出したら腹が立ってきた。一回深呼吸しよう。


 私達全員が回復したら、フィアルのお腹がぐ〜っとなる。


「腹減った⋯⋯。お昼にしないか?」


「私もお腹空いた!」


「もう三時ですね⋯⋯。お昼にしましょう」


 わ〜い! 私達はランチタイムにすることにした。


 あのバッタ野郎のせいでめちゃくちゃ疲れたし、お腹が空いたからご飯が美味しい⋯⋯。私達のご飯は、食料庫さん特性のサンドイッチ。野菜の卵もハムも全部美味しい!! 最高っ!


 ランチタイムを終えた私達は、少し休んでから地下三階へと続く通路を歩き始めた。

あのバッタ、超性悪です。実は、リズム達を煽っている時に、ずっとバッタ語で挑発していました。


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

次回更新予定は9/13(日)です。m(_ _)m

次回予告:マンダン地下三階にて。 (/ω・\)チラッ

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