26. お化け村とはなんぞや!?
「はい、できた。どうぞ」
ルカ様に杖を返してもらった私達は、それぞれの杖を見てみる。⋯⋯変わっていない気がするのだが?
そう思ったのは私だけではないようだ。ライムもフィアルも不思議そうな顔をしている。
「あの、これはどこか変わったのでしょうか?」
「ん? ああ、変わったよ。“地図”って唱えてみて」
「「「“地図”」」」
私達がそう唱えると、目の前にフィール星の地図が表示された。その地図には、今、私達が居る場所と、全ての村の場所、更に全てのダンジョンの場所も表示されていた。
「「「おお!」」」
私とライムとフィアルの声が重なった。みんな、驚くよね。ルカ様は、私達を驚かす天才だからね。未だにルカ様の不意打ちには慣れていない。
それよりも、杖さん! 進化したよね!? うわぁ、どんどん進化していくね、杖。これ、チートレベルがまた上がったよ。
私は、一番近いダンジョンを探す。え〜っと⋯⋯。あった! これかな⋯⋯? 私は一番近いかもしれないダンジョンのところをポチッと押してみた。
すると、そのダンジョンの情報が私の地図画面に表示された。
“ここから五十三キロメートル。地下室マンションのような構造になっている。挑戦するならレベルは三十以上あった方がいいだろう。地下一階〜地下五階まであり、そこに魔物や凶暴な生物がいる。地下に行くほどレベルの高い魔物が住んでいる。最寄り村はお化け村”
ふむふむ。なるほど〜! 地下室マンションダンジョンか⋯⋯。長いから、これからはマンダンと呼ぶことにしよう。他のところも見てみたけど、ここが一番近いね。五十三キロメートルって遠いけど⋯⋯。
私達のレベルなら適切だし、ちょうどいいや! それよりも一番、お化け村が気になる⋯⋯。お化け村ってなんやねん!? お化けがいる村だったりして⋯⋯。怖そうっ!
取り敢えず、ここの事をみんなに言おう。
「ねえ、みんな。このダンジョンに行かない?」
私は、みんなに私の考えを説明した。
「いいですね。そこにしましょう」
「面白そうだな!」
「うん。そこなら大丈夫そうだね」
みんな、頷いてくれた。よし、ここに行こう! 楽しみ!!
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
皆さん、こんばんは。私は、ライムとフィアルとお化け村にいます。怖いです。雰囲気が非常に怖いです。
どうやってここまで来たのか、それはね⋯⋯。村を巡ってきたんだ〜! 今、「はい?」って思った人! それが正常な反応です。私もルカ様から説明された時は「はい?」って思ったから!
五十三キロメートルというのは遠い距離だけど、どうやってダンジョンに行けばいいのかルカ様に聞いてみたら。
『村を巡っていけばいいんだよ。この星の村はどの村にも、転移門っていうのがあるんだ。転移門は、村と村を繋いでいる門のこと。転移門をくぐれば、他の村へひとっ飛び! まあ、地球でいう“電車”みたいなものかな』
とのこと。この星における村は、電車の役目もしていたらしい。なんて斬新な⋯⋯。
ルカ様の言った通り、私は村から村へ、転移門を使って巡って、ついに例のお化け村に到着したのだ。
「⋯⋯ねえ、本当にこの村を抜けないとマンダンには行けないの?」
「マンダンって、何ですか? もしかして、これから僕達が挑戦するダンジョンのことですか?」
「そうそう。地下室マンションダンジョンの略称。私が命名しました!」
「はぁ……、取り敢えず言っていることは理解できました」
ライムは呆れたような視線を私に向ける。その視線やめてくれ。私が変な人みたいじゃないか!
「まあ、そうですね⋯⋯。この村を抜けなければダンジョンには辿り着けないでしょう」
「うっ! そう、なの⋯⋯。怖いから入りたくないんだけど」
「頑張ってください! 応援してます!!」
「他人事みたいに言わないで〜!」
平気そうにしているライム、何か腹立つ! わざとらしく応援されても全然勇気が出ないんですけど!!
「って、あれ? フィアル、いなくなってない?」
私はフィアルがいつの間にかいなくなっていることに気が付いた。
「フィアルさんなら、目を輝かせて村に突っ込んで行きましたよ。きっと先にダンジョンに着くと思います。後で合流しましょう」
「突っ込んでいった⋯⋯!? 何故、目を輝かせられるのか、ちょっとよくわからんわ!」
「フィアルさんのことがわからないなんて、いつものことじゃないですか。さあ、早く僕達も出発しましょう」
ライム、もうフィアルのことを理解するの、諦めてない? 諦めたい気持ちは、わからなくもない。フィアルはよくわからん狼だからね。でも、私は諦めないよ! フィアルのことを、理解してみせる!!
閑話休題、この村に行くの、嫌だ! 行きたくない。怖いもん!!
絶対に昼のはずなのに、暗いし! 夜ですか!? いや、昼だね! 私の時計が狂っているわけがない!
家、不気味だし! ボロボロの家、あれ、住めるんか!? そう見せているだけ? 取り敢えず、怖い!
何より一番怖いのは、人が全くいないこと!! 村人さん、どこいっちゃったの!? 人の気配なし、人の声なし。これ、超怖いからね!!
うぅ⋯⋯。怖いけど、行くしかない! ダンジョンが待っているんだから!! 先に進め、私の足!!
私は、勇気を出して村に入っていった。周りを見渡しながら、恐る恐る村を歩く。ライムも、隣を歩いているけど、涼し気な顔をしている。どうしてこんなに平気でいられるんだ!? こんなに人がいない村なんて、怖いと思わないの!?
そんな事を考えながら歩いていると、突然バサバサッという音が耳の近くで鳴った。
「わああ!!」
私は悲鳴を上げて、隣にいるライムの腕を掴む。何、何〜〜!?
パニック気味の私に、ライムは少し上擦った声で言った。
「あ、安心してください! ただのコウモリですからっ!!」
「え? 本当?」
私は、恐る恐る前を向いてみる。すると、小さいコウモリが私の近くを飛んでいるのを見つけた。よ、よかったぁ⋯⋯! 怖かったぁ⋯⋯!
「〜〜っ、り、リズムさん。その、腕⋯⋯!」
「え? あ、ごめん。でも、その⋯⋯ライムが嫌じゃなかったら、このままでいい? 怖いから」
ライムは真っ赤な顔で私に言ってきたけど、この腕を放すなんて、無理! 怖いもん! 怖すぎるもん!! 流石にライムが嫌だって言ったら放すけど⋯⋯。
「うっ、ずるいですよ⋯⋯! 嫌な訳がないじゃないですか!!」
ふぅ、ライムが優しい人でよかった。ここで放してって言われても放せていたかはわからないから。こんな村で、一人で走って行ったフィアルを尊敬するよ。
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
「やっと抜けられた⋯⋯! 怖かったぁ〜!!」
なんと、私は村人に一度も会わずに村を抜けたのだ。何度か物音がして、その度にライムの腕を強く掴んじゃったけど、彼はいいですよって言ってくれた。優しい!
「ライム、ありがとう!」
「え、あ、はい。っ、その、こちらこそ、ありがとうございました」
「え? 私、ライムに何もしてないよ」
「いえ、僕にとっては最高の時間だったので」
マジか⋯⋯。ライム、怖いお化け村が楽しかったの!? あそこが最高だったの!? 信じられない⋯⋯。ライムもフィアルも、すごいなぁ⋯⋯。
「お〜い!! 二人とも! ダンジョンあったぞ〜!!」
私達が地図を見ながら歩いていくと、見知ったエルフが前方から駆けてきた。
「この先、進んだらでっかい入口があった! すごかったから、二人とも早く来てくれ!」
そう言われたので、私とライムは、フィアルに着いていった。フィアル、足速い⋯⋯! 着いていくの、大変だよ〜。
頑張って走って、もう休憩しようって言おうとした時。急にフィアルが止まった。
「わっ!? どうしたの!?」
「着いたぜ! 見ろ! でっかいだろ!」
フィアルに言われて前を向いてみると⋯⋯。
なんと、大きくて古そうな建物がドンッと構えていた。
「わぁ〜!!」
「ぷわぁ〜!!」
迫力満点! 雰囲気も満点! ついにダンジョンに着いた!! さあ、早速入ろう!!
「お化けとか幽霊とかいるかな? 一度は見てみたいぜ!」
⇧フィアルが全力疾走していった理由。
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
次回更新予定は9/6(日)です。m(_ _)m
次回予告:マンダン地下一階にて。 (/ω・\)チラッ




