↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
28/42

24. 自覚した気持ち(深夜の男子会にて)

 フィアルと一緒に暮らすようになってから三日後の夜のこと。ライムは中々寝付けないでいた。


(……う〜ん。どうしても眠れません。こういう時は、ホットミルクを飲むといいかもですね)


 ライムはベッドから出て、ホットミルクを飲みに、リビングにある食料庫の方へ向かう。リビングに着いて、食料庫の方を見ると……。


「ぷわぁああああ!!?」


 何か黒い影が動いているのを見たライムは、悲鳴を上げた。その影も、ライムの大声に驚いたようだ。びくっと大きく跳ねた。


「わぁああああ!!?」


 そして、ライムの悲鳴に負けない程の声量で悲鳴を上げた。


「えっ!? ライムにフィアル、どうしたの!?」


 二人の悲鳴を聞いて、ルカがやってくる。二人の部屋にある、ルカがあげた杖にまで悲鳴が届いたようだ。二人が叫び、ルカを呼び出すことができるという機能が発動したため、ルカがやってきたというわけだ。(ep.5参照)


 ということで、ライムが見た黒い影というのは狼姿のフィアルである。


「はい!? こ、この声はフィアルさんですか!? それにルカ様も……! すみません、驚かせてしまいましたね……」


 ライムは、影の正体に気付き、謝罪した。


「いや、こっちこそごめん。驚かせたのは俺もだし。腹が減ったから、何か食べるためにここに来たんだが……。まさかライムも来るとは思わなかったな」


 フィアルは、ライムと同じく眠れずここに来たのだ。ライムと違い、眠れなかったのは、お腹が空いたからだが。ライムがいるとは思ってもみなかった。


「二人とも、何かあったわけじゃなくてよかったけど……。フィアル、次からは、ちゃんと電気をつけようね」


 ルカは、二人の悲鳴に慌てて来たが、何事もなく安心する。だが、悲鳴の理由がこれだというのは……なんだか気が抜ける。きちんと電気は点けてほしいものだ。


「……リズム、この悲鳴で起きないんだ。すごいな」


 ルカはこの悲鳴で起きない、リズムの眠りの深さに驚く。今の悲鳴は、ルカが今まで聞いた中でも結構大きな方だというのに。


「今日は、格上の魔物を三体も倒しましたから。きっと疲れたんですよ」


(三体とのレベルの差は絶望的ではないものの、全て厄介な相手でしたからね……。いつも以上に魔法を使い、いつも以上に体を動かしたため、疲れたのでしょうね)


 ライムは、今日倒した魔物たちのことを思い出す。鳥に鼠に猪……どれも倒すのが大変だった。リズムが疲れるのも当然である。


「そうか! だから、俺はこんなに腹が減っているのか! よし、早速何か食べよう」


 フィアルはライムの話を聞いて空腹の原因を見つけたようだ。納得したような顔をして食料庫から骨付き肉を取り出した。それを咥えてさっとテーブルに着き、エルフ姿に変わる。


「いただきま〜す!」


 ガブガブと食べ始めたフィアルに、二人は驚く。


(フィアルって、こういう狼なんだ……。なんか、リズムと似ているような……? 突然突拍子もないことをやりだすところとか)


(三日も一緒にいたのに、まだこの狼のことはよくわかりません……。この雰囲気でこの行動をしますか、普通? 珍しい思考の持ち主ですね)


 ルカもライムも、フィアルの脳天気なところに呆れ気味である。このようなやり取りも、この三日で十回はやっている。


「あ、ふぉふぉふぉふぇ、ふぁいふふぁふぉうふぃふぇふぉふぉひひふぁ〜ふぁ?」


 フィアルはライムの方を向いて、口いっぱいに肉を詰めながら聞いてきた。


「口の中を空にしてから話してください!」


「こんなに何を言っているのかわからないのは久しぶりだよ! いや、もしかしたら、こんなにわからないのは初めてかもね」


 そのフィアルの言葉にライムは即注意し、ルカは驚きながらも可笑しそうに笑う。ライムに注意されたフィアルは、数秒掛けて肉を味わいながら飲み込むと、再び口を開く。


「ところで、ライムはどうしてここに来たんだ?」


 先程の訳のわからない言葉、解読できた人はいただろうか。答えはこれである。


「そんなこと言っていたんですね……。僕は、眠れないのでホットミルクを飲みに来たんですよ」


「そうなのか。そういえば、眠れない時にはホットミルクを飲んだらいいよって俺の母さんも言っていたなぁ〜!」


 フィアルは納得したように言った。そして、また肉を口いっぱいに詰め込んで食べ始める。ライムは、食料庫からホットミルクを出して、フィアルの隣に座った。フィアルの今の言葉が気になったルカは、フィアルに質問をする。


「フィアルのお母様って、どんな狼なの?」


「ふぉふぇふぉふぁ〜ふぁふふぁふぇ〜」


 フィアルはまた訳のわからない言葉を話し始めた。それを聞いたルカは失敗したと思った。今のフィアルの言葉はライムの時と同じくらいわからなかったのだ。そして、それを聞いたライムは「ぶふっ!?」とホットミルクを吹き出しかけた。


「ごめん。今話しかけるべきじゃなかったね。飲み込んだらもう一度答えてほしいな」


 ライムはこのやり取りがツボに入ったらしく、声を殺して爆笑している。フィアルがまた数秒掛けて肉を味わいながら飲み込んだ時、ライムも笑い止んだ。


「俺の母さんはね〜」


 フィアルは話し始める。先程の答えはこの言葉である。


「優しくて、なんでもできる自慢の母さん!」


 フィアルはふふんと得意げに言った。フィアルの母は冒険者だから、今はエルフの村におらず、世界中を旅しているらしい。


「そういえば、どうしてフィアルは村に帰らなかったの?」


 ルカが不思議そうに聞くと、フィアルは何かを思い出したのか、少し暗い顔になって答える。


「……ちょっと色々あったもんだから。まあ、少ししたら帰省はするつもりだ」


 ルカは、何かがあったことを察した。だから「そうなんだ」と言ってそれ以上は追求しない。


 そこまではよかったのだが、フィアルは何を思ったのか、急にこんな事を言う。


「まあ、安心しろよ! 俺、ここに住むだけでお前らの恋敵になるつもりはないからな!」


「うん!?」


「ぶふっ!?」


 ルカは急に「恋敵」という単語が出てきたことに驚き、目を瞬いた。ライムは、今度はホットミルクを吹き出してしまった。今度のその理由は笑ってしまったからではないが。ライムは慌てて拭くものを持ってきて、掃除し始める。


「恋敵って……? どういうこと?」


 ルカは、どうしてそんな単語が出てきたのかわからないとでもいうように聞く。対する、それを聞いたフィアルは信じられないというように声を上げた。


「マジか! え、ルカもライムもリズムのこと好きなんじゃねぇの!? まさか、無自覚!?」


「は!?」


「はい!?」


 フィアルのさらなる衝撃の言葉を聞いた二人はフリーズする。


(え、好きって……ああいう意味のだよね!? 僕が、リズムのことを……。いや、でも、そんなことは……)


 ルカは考え始める。ないとは言い切れない。むしろ、あると思ったほうが腑に落ちる。リズムのふとした言葉や行動に、急に顔が熱くなったり、心臓が大きく跳ねたり。ライムとリズムがデートしたと聞いて胸に霧がかかったように、モヤモヤしたのも。


(僕が、リズムを好きだから……?)


 その答えにたどり着いた時、ルカの顔がぶわっと熱くなる。


(僕が、リズムさんを好き!?!? そうなんですか!? 確かに、そうかもしれないと思っていましたが! やっぱり、そうだったのですね……!?)


 ライムは、村でデートした時から、なんとなくそうかもしれないと思っていた。デートが終わった後、自分をコントロールできなかったことについて、宿屋で色々考えたのだ。どうして、リズムに「僕のことだけを考えてくれませんかっ?」などと言ってしまったのか。


 その夜はたくさんの事を考えて、一つの可能性に辿り着いた。自分がリズムのことを好きなのではないか。でも、確信はなかった。今まで通りに接すれば、そんな迷いなんてすぐに消えるかもと思って、これまで接してきたのだ。でも、迷いは消えずに、確信に変わってしまった。


 改めて自分の想いに気付かされたライムはボンッと赤くなる。


「「僕は、リズム(さん)のことが、好きなの(です)か……!!」」


 ルカとライムは二人して真っ赤に染まっていた。その様子を見たフィアルが驚いたように言う。


「今!? 気づくのおっそ! あんな目を向けていたくせに、自覚なかったのかよ……!?」


 フィアルは、最初から気付いていた。ルカもライムも、リズムに好意を持っていると。


(あんなに優しく、愛おしいという想いを隠そうともしない目で見つめていたら、気付かない方が異常だろ。まさか、無自覚であの目をしていたとは思いもしなかったが……)


「ま、あんなに素敵な子、滅多にいないよな。二人が惚れるのもわかるぜ」


「「惚れっ……〜〜っ!?」」


 二人は更に赤くなった。初心だなぁ、とフィアルは思う。


「でも、俺は敵にならないから安心しろ! 約束するぞ」


 そう言って、フィアルは再び肉を食べ始めた。



 ――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――



「おはよう〜! ライム、フィアル!」


「おっ、リズム! おはよう!!」


「あ、お、おはよう、ございます……」


 早朝。私はいつも通りにリビングで、二人に挨拶をした。フィアルは今日も元気だなぁ〜と思いつつ、なんだかいつもと様子が違うライムに引っかかる。


 どうしたんだろう……? なんか、顔が赤くない? それにソワソワしているし。熱でもある? 具合が悪いのかな……?


「ライム、大丈夫? 顔が赤いよ」


「ふぇ!? 〜〜っ、だ、大丈夫です!! お気になさらず!!」


 なんか、怪しい……。けど、本人が大丈夫って言うのなら大丈夫でしょう! ライム、体調管理はしっかりしているから。


 私は、朝ごはんにしよう! と、二人に声を掛けた。



 ――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――



「あっ! ルカ様! 今日は、突然背後に現れないんですね〜!」


「あ、う、うん。ちょっと、色々あったから……」


 色々? 神様の仕事が大変だったのかな? それとも、何かの事情で私の背後には現れられなくなったとか?


「聞いて下さいよ〜! 今日、魔物をたくさん倒してレベルが二十六に上がったんですよ!」


 私は、今日あったことをルカ様にも聞いてほしくて、彼にずいっと詰め寄った。


「えっ、わっ! そ、そうなんだ……! 〜〜っ、えっと、その、なんか近くないかな?」


「え? そうですか? すみません。レベルが上ったことが嬉しくて」


 あれ、ルカ様も顔が赤い? どうしたんだろう……? そんなに近かったかな? 別にいつも通りだと思うけど……。


 ルカ様もライムも、赤面病(たまに何故か顔が赤くなるから、私が勝手に名前を付けた)が悪化してるよね? 大丈夫かな……?


 ルカ様にも体調は大丈夫か聞いたけど、大丈夫と返ってきた。うん、彼も体調管理はしっかりできると思うから、大丈夫だよね!


 だとしたら、赤面病が悪化したのは何故……? う〜ん……。


 わからん! まあ、いつかわかるかもだし、いっか!

とうとうルカとライムが自分の想いを自覚しました!

「自覚が遅すぎないか!?」byフィアル


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/


「続きが読みたい!」「ここが好き!」と思ったら、ぜひ評価【★★★★★】、ブックマーク、リアクションボタンをポチッと押してください! 執筆の原動力になりますし、なにより作者が喜びます。(≧▽≦)


次回更新予定は8/30(日)です。m(_ _)m

次回予告:物語は新たな舞台へ! 第一章の第三部が始まります。リズム達の時は二週間後にスキップします。 (/ω・\)チラッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。