21. 新たな仲間は……
只今、私は驚いている。なぜなら、つい先程まで私と戦っていた狼が、まるで「仲間になろう」とでも言うようにステータス画面を表示しているからである。
取り敢えず、狼のステータスを見よう。狼のステータスはこちら。
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〈類〉狼【エルフ】
〈名前〉フィアル
〈レベル〉24
次のレベルまであと150EP
〈魔法属性〉炎
炎魔法:炎を操る力
〈称号〉なし
〈仲間〉いない
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ほうほう、なるほど。見たことがないタイプのステータスきたぁ!
この狼、フィアルっていう名前なんだ! これからはそう呼ぶことにしよう。
魔法属性、炎! 確か、前に会ったあの巨大兎の魔法属性も炎だったよね? あれと一緒かぁ。
レベルは二十四。先程までは、闇に取り憑かれていたから、闇の力? みたいなののおかげでレベルが二十八だったけど……。もう、闇は取り除いたから、元のレベルに戻ったんだね。
そしてそして、私が現在一番気になっている項目……。類が狼【エルフ】ってなに!? いや、「狼」はわかるよ? 見た目が狼だもん。私が気になっているのは「エルフ」の方なんですよね〜!
取り敢えず、狼のことについてカミキソで調べてみよう。え〜っと……。
フィール星に生息している狼は、大きく分けて二種類らしい。
一種類目は、地球にもいる普通の狼。
二種類目は、狼なんだけどエルフでもあるっていう狼。
何をするのかによって狼になるか、エルフになるかを変えたりできる狼だという。狩りをする時や移動する時は狼なんだけど、料理をしたり、文字を書いたりする時はエルフになる! みたいな。ライムみたいに、姿を使い分けているんだって。
あっ、エルフは村を作って生活しているらしい。ということは、どこかにエルフの村もあるってこと!? うわぁ……! どんな感じの村なんだろう? 見てみたい、行ってみたい!! 人の村みたいに個性豊からしいけど……? フィアルの村はどうなっているんだろう?
はっ! 今はそんなことを考えている場合じゃない! この狼さん(エルフさんでもある)が何か言っているんだった! 何を言っているかは、相変わらずわからん! 予想は「仲間になろう!」だけど……。
フィアルの方も、私が困っているということを察したらしい。可愛らしい肉球で、ステータスに表示されている〈仲間〉のところをポチッと押した。
狼の肉球! さ、触ってみたい……!! スライム姿のライムとはまた違うぷにぷに触感だろうなぁ……! 狼の肉球って、猫の肉球とは違うのかなぁ〜?
おっと! 危ない、危ない。フィアルが何か言っているのを完全に無視するところだった。恐るべし、肉球力……!
ええと、フィアルが〈仲間〉のところを押したということは、やっぱり「仲間になろう!」と言っていたってことでいいんだよね?
それだったら、私もフィアルと仲間になりたいもん! 早速手続きをしてしまおう!
フィアルが仲間のところを押したから、フィアルの足元と、そこから一メートルくらい離れた所に魔法陣が現れた。ライムのときと同じだ。やっぱり魔法陣って、きれいだなぁ〜!
確か、一メートル離れた所にある魔法陣の方に私が入れば仲間になれるんだよね。
そう考えてから、私は魔法陣に入る。すると、私とフィアルを眩い光が包みこんだ。私はその眩しさに目を閉じる。
再び目を開けると、もう魔法陣はなくなっていた。おお! なんかデジャヴって思ってたけど、この流れ、ライムが仲間になったときと同じだ!
私はステータスを確認してみた。
〈仲間〉守護神ルカ、スライムライム、狼フィアル
やった! ちゃんと仲間になれた! よし、それじゃあ早速会話だ!
「こんにちは、私はリズム。フィアル、これからよろしくね!」
「もちろんだ! リズム、これからよろしく! それに、助けてくれてありがとな!」
私が話しかけると、フィアルはお礼を言ってくれた。お、狼が喋ってる……。なんか、変な感じだな……。
「あの、フィアルさん。僕とも仲間になってくれませんか?」
ライムがそう言った。でも、もちろんフィアルには伝わらないよね……。
「おっ、それいいな! なろうぜ!」
伝わってるだと!? なんで……?
あっ! そうか! ライムは今、人間。同じ人間の私と狼のフィアルは仲間になった。フィール星では、仲間になった相手の類と同じ類の生物全員と話せるのだ。私の類は人間だから、フィアルは私と仲間になったことによって人間全員の言葉がわかるようになったということだ。
フィアルはもう一度仲間のところを押す。すると、またフィアルの足元と、そこから一メートルくらい離れた所に魔法陣が現れた。
ライムが一メートル離れた魔法陣の中に入ると、フィアルとライムが発光して魔法陣が消える。無事にライムとフィアルも仲間になることができたようだ。
「二人とも、これからよろしく!」
「うん、よろしくね!」
「よろしくお願いします」
フィアル、元気でいい狼だなぁ……! これからが楽しみ!
私達は一通り挨拶を終えると、ハイド親子に果物屋さんまで案内してもらった。
「ここが、私達のお店です!」
果物屋さんに着くと、カリーナさんがそう言った。
果物屋さんには、桃や林檎、メロンや葡萄など地球にあるものの他に、私が見たことがない不思議な果物らしきものがたくさん並んでいた。
お、美味しそう……! 朝ごはんは食べたはずなのに、もうお腹が空いてきた……。
「どうぞ、中に入ってください」
カリーナさんにそう言われ、私とライムはお店の中に入る。でも、フィアルはお店の前に立ち止まったまま、動かない。
「あれ、フィアル、どうしたの? 入らないの?」
フィアルの申し訳なさそうな様子に気が付いた私は、彼に声を掛けた。
「あ〜、その……。俺はあの親子を傷つけたから……」
本当に申し訳なさそうに、縮こまりながらもごもごとそう言うフィアルに、私はどうしたものかと考える。
いや、流石にこのままフィアルが外で待っているというのは……私的には複雑なのよ。確かに、傷つけたのは事実だよ? でも、それはフィアルが闇に取り憑かれていたからで……。
うだうだ考えていても仕方がない! ここはやっぱり……。
「なるほど、じゃあ、フィアル! カリーナさんとクラークさんに全力で謝りに行きなさい!」
謝罪が一番! まずは謝罪だよね!!
突然、そう叫んだ私にみんな驚き、こちらを振り返る。もちろんフィアルはポカンとしている。でも、すぐに私の言葉に納得したのか、ハッとしてハイド親子の方に向き合った。
「カリーナさん、クラークさん。急に襲ってしまい、申し訳ありませんでしたああぁ!」
そして、私より三倍ほど大きな声で全力でハイド親子に謝った。当の二人は突然の展開に固まっている。
まあ、フィアル、素直でいい子ね! ちゃんと全力で謝罪できて偉い!
「あ、ああ……大丈夫だ。この通り、リズムさんのおかげで元気だからな」
「私も、大丈夫ですよ。確かに怖かったけど、こうして謝ってくれましたし」
二人とも、優しい! すごく怖い思いをしただろうに、それも許せるなんて!
「本当にごめん。でも、ありがとな!」
フィアルも、その言葉を聞いて元気になった。まだ少し申し訳なさが残っているような気がするけど。よかった、よかった! ハイド親子とフィアルの仲も良くなったことだし!
一段落して、私達はお店の中を案内された。どうやら、このお店はハイド親子の家でもあるらしい。店の奥の方は、普通にリビングがあった。
「このソファに座って」とハイド親子に言われたので、私とライムとフィアルはリビングにあるソファに座った。
ハイド親子は、一瞬お店の方に行った。それから、クラークさんが何やら大きな袋を抱えてカリーナさんと共に私達のところに戻ってきた。
なんか……何かがたくさん中に詰まっていそうな袋だね。袋の中には、果物が入っているのかな……? 私達が驚いていると、カリーナさんが説明してくれる。
「これは、私達のお店で扱っている果物の詰め合わせです。些細な物ですが、お家で食べてくださいね」
「あ、ありがとうございます」
ライムが大きな袋をクラークさんから受け取る。彼が袋を軽々と持っていることにみんなは驚いたようだ。回復薬の件で彼が力持ちだということが発覚したから、私はあまり驚かないけどね。
そして、カリーナさん。なにが「些細な物」なんですか!? この量の果物を些細な物とはいいませんからね!?
「私達のお店で扱っている果物の詰め合わせ」ってことは、この袋にはハイド親子のお店の果物の全種類が入っているということ……!? うわぁ〜! どんなのがあるんだろう? 早速、家に帰ったら見てみようっ!
「本当に、助けてくださり、ありがとうございました」
「感謝してるぞ! いつでもここに来てくれよな!」
私がそんなことを考えていると、ハイド親子から改めて感謝をされた。
「いや、別に当然のことをしただけですから」
「こんなに果物をくださって、こちらこそ感謝しています」
私とライムはそれぞれ返事をする。
って、うん? もしかして、もう帰る感じ? なんか、雰囲気的にお別れしようとしている気がするんだけど……?
「ねぇ、ライム。もしかして、もう帰るの?」
気になったから、そのまま聞いてみた。すると、ライムは当然のように
「ええ。そうですよ」
と返してきた。
え、マジで? もうちょっと一緒にお話しして、仲を深めようとか考えないのかな、この人? ハイド親子の方も「それでいいです」みたいな顔をしているし!
ちょっと! 私、まだ一番の目的を達成してないんですけど! ここで帰るのは困る!
「ちょっと待った! 帰る前に、カリーナさん、二人で、ゆっくりとお話ししませんか?」
目的達成のためには、カリーナさん、あなたが必要不可欠なんです!
カリーナにとっては「大量の果物=些細な物」。
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
次回更新予定は8/19(水)です。m(_ _)m
次回予告:カリーナとお話しタイム! (/ω・\)チラッ
――☆☆★★☆☆――
☆Mirai♪、初めて短編作品を書きました!
タイトル
「悪役令嬢に転生した元一流怪盗の華麗なる遊戯の物語 〜婚約破棄された瞬間に宝物をいただいて脱出しますわ〜」
▼作品のリンクはこちら
https://ncode.syosetu.com/n3843mp/
【一言紹介】
一流怪盗が悪役令嬢に転生し、断罪される中で宝物を盗む、華麗なる窃盗劇!
こちらはこの連載作品とは違う方向性で、《知的・戦略的でスカッとする物語》となっております。
少しでも気になった方は、ぜひこちらも覗いてみてくださいね!\(^o^)/




