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16. ライムの弱点、発見しました!

 私とライムは宿屋に到着した。


 手続きを終え、今は各自の部屋で荷物をまとめている。


 私の部屋はThe☆部屋っていう感じの平凡なものだ。でも、とってもきれいである。机とか窓とか、輝いているように見えるんだもん。さすが、The☆村って感じの村にある宿だなぁ。


 部屋を見渡して、心の中で家具の感想を言っていたら、いつの間にか荷物の整理が終わった。


 コンコンと扉がノックされて、「準備は終わりましたか?」というライムの声がした。


「は〜い! 終わったよ」


 そう言いながら、私は部屋から出る。ライム、ナイスタイミング! 荷物の整理が終わった途端に、扉がノックされたんだよ。こういうことって中々ない気がするのよね〜。


「村の店で昼食を取りませんか? もうお昼の時間ですし」


「確かに! ご飯食べたい!」


 そうじゃん! もうお昼の時間だよ! どうりでお腹が空いたと思ったよ。そっか、お昼か。もうそんな時間だったんだ。


 私とライムは宿屋を出て、村の大通りを歩く。どんなお店があるのかな……!? 村ならではのものとかって、あったりするのかな!? 楽しみ〜!!


「あっ! 見て! 食堂がある!」


「本当ですね! 見てみましょう」


 私達はお店に近づいて、看板を見る。“村の味食堂”と書かれている。村の味ってことは……村っぽい味なのかな? この村、村っぽいっていうのが特徴だし。 


「リズムさん! あそこを見てください」


 ライムが指を指した先を見ると、“やきたて”と看板に書かれているパン屋がある。


「あの店も美味しそうですね」


「た、確かに〜! あそこも美味しそう!」


 店に出ているパン、どれもツヤツヤしていて美味しそう〜!! 焼き立てだから、相当美味しいんだろうなぁ〜!


「どちらが良いでしょうか?」


「う〜ん……。パンも美味しそうだけど、私は“村の味”が気になるから、食堂がいい!」


「そうですね。確かに“村の味”、気になります」


 でしょ〜! どんな味なのか、想像を膨らませるのが楽しいよ〜!


 私達は、“村の味食堂”で食事をすることにした。店に入ると、店員さんが元気よく挨拶してくれる。


「いらっしゃいませ〜! あんた達、二人でいいかい?」


「はい。二人です」


「あいよ。おばちゃん、二人だとよ〜!」


 店員さんが大きな声で言う。元気でいいね〜! 食堂を見渡してみると、お客さんがたくさんいた。この食堂、お客さんがたくさんで、みんな笑顔でいい所だよ。食堂の雰囲気も明るいし。すると、優しい雰囲気のおばちゃんがこっちに来てくれた。


「いらっしゃい。二名様だね。だったら……この席でいいかい?」


「はい、ありがとうございます」


 ライムはおばちゃんにお礼を言う。


「お兄さん、しっかりしてるね。そちらのお姉さんは彼女さん?」


「へっ!? はい!? か、かのじょ……ですか!? ち、違いますよ!」


 ライムは顔を真っ赤にして否定する。


「リズムさんは、僕の素敵な仲間です!!」


「はい、私はライムの素敵な仲間ですよ!」


 ライムに素敵な仲間って言われたことが嬉しくて、私は胸を張っておばちゃんに言った。


「そうなのかい! 仲が良くていいねぇ。……それじゃ、私は一旦戻るね。注文が決まったら声を掛けとくれ」


「は、はい。ありがとうございます……」


「ありがとうございます!」


 私とライムはおばちゃんにお礼を言う。話しやすくて、元気で、とってもいい人だな。回復薬(ポーション)屋さんの超一流店員さんとは違う面で、一流だ。


「ライム、まだ顔赤いよ。あんなに強く否定するなんて、そんなに私と恋人関係になるのが嫌なの?」


「げほっ! ……〜〜っ、い、いきなり何を言うんですか!? 別に、リズムさんとそういう関係になるのが嫌っていうわけじゃないですけど……! 〜〜っ、そ、その、僕達は仲間ですし。誤解されるのもリズムさんに悪いかと……」


 水を飲んでいたライムは私の言葉に咽て、ちょっと早口で捲し立てる。


 おおぅ……。勢いがすごいな。そんなに慌てる必要がある会話なのかな、これ?


 というか、ライム、私とそういう関係になるの、嫌じゃないんだ。店員さんには結構強く否定していたから、てっきりめちゃくちゃ嫌なのかと思った。


 慌てているライムが面白くて、私はクスリと笑ってしまった。だって、同種を倒すことにも慌てないライムが、この会話でこんなに慌てるなんて、意外だったんだもん。……もう少し、からかっちゃおうかな。いつもからかわれている側だから、今くらいいいよね?


「へぇ〜。ライム、私とそういう関係になるの、嫌じゃないんだ」


「っ! そ、それは……! その、えっと……〜〜っ、嫌、ではない、です。……むしろ良いとさえ……」


 ライムはゴニョゴニョ言う。なんと言ったのか、聞き取れなかった。


「え? ごめん、あんまり聞こえなかったから、もう一回言って!」


「〜〜っ! も、もうこの話、やめませんか……?」


 ライムは弱々しい声でそう言った。そして、顔を両手で覆ってしまう。耳が真っ赤だ。


 ライムの弱点を知った私はニヤリとする。なるほど、なるほどぉ……。ライムは、こういう話に弱いのか。ライムを揶揄いたくなった時には、こういう話をすることにしよう。


「ごめんごめん。じゃあ、何食べるか決めよう!」


 ライムの弱点を知ることができて満足した私は、上機嫌でメニューを見る。


 って、う、うわぁ……!! 何だこれは!? 全部、美味しそうすぎる!!! メニューを見ているだけなのにさっきの倍、お腹が減ってきたよ……! キラキラしてない!? この料理達!


 中でも一番人気は、村で採れたての野菜がたっぷり入った、“具だくさんシチュー”。こ、これは……! すごい、一段と輝いて見えるわぁ……!! (※本物ではなく、メニューです)


 すごい、すごいと何十回も思いながら、私は全てのメニューを見る。


 はぁ……! どれも美味しそうすぎるよ! 選ぶのが高校入試の記述問題よりも難しいんですけど〜!


 よし、ライムの意見を聞いてみよう。そう思った私は、ライムに声を掛ける。


「ライムはもう、何を頼むか決めた?」


「は、はい。 その、僕は“具だくさんシチュー”にしようかと」


 まだ少し赤い顔で、ライムはそう言った。ふむふむ、なるほどね。確かに、“具だくさんシチュー“はこの食堂の看板メニューだし、何よりめちゃくちゃ輝いているもんね。ライムが選んだ理由は分かる!!


「ありがとう。私もライムと同じ、“具だくさんシチュー”にするね!」


 よし、“具だくさんシチュー”に、き〜めた! 注文が決まった私達は、おばちゃんを呼んだ。


「はい。具だくさんシチュー、二皿ね。ちょっと待っててね」


 おばちゃんがこのセリフを言ってから、わずか十秒。すぐに“具だくさんシチュー”を二皿持って、おばちゃんが戻ってきた。


「お待ち遠様! “具だくさんシチュー”、どうぞ召し上がれ!」


「「ありがとうございます!」」


 私達はおばちゃんにお礼を言った。全然「お待ち」してないんだけど。すごいよ、十秒だなんて。おばちゃんも、超一流と呼ばせてもらおう。


 そして、何だこの超輝いているキラキラ料理は!?!? 今まで見た中でもトップクラスの輝きだよ!! やっぱり本物はすごい……!!


 ライムも目をキラキラさせていた。「ぷわぁ……!」っていう声聞こえたのはきっと気のせいではないと思う。そんな反応になるよね!


「「いただきます!」」


 私とライムは一緒に元気よく言った。


 シチューをパクッと食べると……。


「ん!!? ……超超超、美味し〜!! え、なにコレ、め〜っちゃくちゃ美味しいんですけど!?」


「本当ですね! とても美味しいです!!」


 シチューはとろっとしていて、野菜は程よい硬さで、味も食感も最高じゃないですか!! 美味しすぎてやばい……!!


 私もライムもすごい勢いで食べてしまった。だって、とっても美味しいんだもん! 美味しすぎるんだもん!! ゆっくり食べるのは無理!!


 私達はあっという間に、シチューを完食した。あぁ……! すっごくすごく美味しかった! もっと食べたいけど、もうお腹いっぱいだよ〜!


「すごく美味しかったですね!」


「うん! 最高だったよ〜!」


 私もライムも上機嫌でお会計をしに行く。


「おじさん、シチュー、とても美味しかったです!」


「はい! 最高でした!!」


 私達は満面の笑みで、お会計をしている店員さん――おじさんに話しかけた。すると、おじさんも笑顔で返してくれる。


「そうか。それはよかった。あのシチューはこの食堂の王だからな! お代は小銀貨一枚だ」


「これでお願いします」


 ライムは中銀貨を一枚払った。


 ……な、なんてことを忘れていたんだ、私は! 私、お金持っていないから、全部ライムに奢ってもらうことになってしまうじゃないか……!?


「はい。小銀貨九枚のお返しです。ありがとうございました!」


「「こちらこそです」」


 お会計を済ませて、私達は食堂の外に出る。出た途端、私はライムに思いっきり謝罪する。


「ライムさん、申し訳ありませんでした!! 全部ライムさんのお財布から出してもらうことになってしまいました……!」


「それなら、大丈夫ですよ。僕はいつもリズムさんの家でお世話になっているのですから。これは、日頃の感謝だと思ってください」


「ライム……! ありがとう!!」


 ライム、神だわ。スライムだけど。今は人間だけど。こんなに優しいなんて……! この優しさを、饅頭になってしまった魔物達にも分けてほしいというのは私の我儘かな。


「まだ宿に戻るには時間がありますし、村を回ってみませんか?」


「それ、いいね! そうしよう!!」


 ライムからの楽しそうな提案に、全力で乗っかる私であった。

ライムは恋愛的な話題に弱いのです。(*´ω`*)


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

次回更新予定は7/26(日)です。m(_ _)m

次回予告:リズムとライムがデート!?(/ω・\)チラッ

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