15. この村の個性は村っぽいところ!
「あの、すみません。この村の宿屋について、教えてくださいませんか?」
「あら、あなた、旅人さん? この村は初めてなのね。宿屋は……ここの通りを真っ直ぐ歩いていけばあるわよ」
私は、通りかかった村人を呼び止めて聞いた。親切な村人さんは、宿屋のことと、この村のことも教えてくれた。
まとめると、こんな感じ。
ここの通りを真っ直ぐ歩いていけば、温泉が湧いているところがあるらしい。どうやら、そのお湯を引き込んだ温泉宿が、この村で一番人気の泊まり場になっているとのことだった。宿屋の辺りは、湯煙が立ち込めていて、遠くからでもすぐに分かるという。
私は前をじっと見てみる。……おぉ! 本当だ。微かに湯気が見える。あそこに向かっていけばいいのね。なるほど……!
この村は、一言で表すと、The☆村! って感じだ。当たり前じゃんって思うよね? でも、逆にこんなに村って感じの村はないらしい。とある村はThe☆都会だし、とある村はThe☆テーマパークなんだって。なんていうか、その村の個性(?)が強すぎるっていうところがほとんどで、普通の村っていうのはあるようでないという。
……フィール星って、村の個性が強い星なんだね。この村は村っぽいっていう個性を活かしてるんだ! って村人さんが教えてくれた。村っぽい個性を活かしている村って……。なんか話が難しい気がするのだが。
このような色々なことを教えてくれた村人さんにお礼を言い、私とライムは温泉宿に向かう。
「どこか、寄ってみたい店があれば寄っていきましょう。いつでも言ってくださいね」
「は〜い! ……あっ! あのお店、回復薬を売っているよ」
「本当ですね。行ってみましょう」
早速、回復薬屋さん発見! こんなに早く見つかるとは……!
私はライムと一緒にお店に入っていった。
「いらっしゃいませ! 何の回復薬をお求めですか?」
店の中に入ったら、店員さんが話しかけてくれる。
「どの回復薬が一番お勧めですか?」
「そうですね。怪我を治したいのであれば、こちらの下級回復薬がお勧めです。直したいのが軽い病気や風邪の場合は、中級回復薬、重度の怪我や重い病気の場合は上級回復薬を使うと良いでしょう」
なるほど……! 回復薬にもたくさんの種類があるんだね。店員さんは、この店で売っている全ての回復薬についての説明をしてくれた。回復薬の種類とその効果について、まとめるとこうなる。
☆下級回復薬→怪我を治す
☆中級回復薬→軽い病気、風邪を治す
☆上級回復薬→重度の怪我や重い病気を治す
☆魔法回復薬→魔法を使ったときの疲労感を和らげる
☆万能回復薬→全ての状態異常を治す
☆成長速度回復薬→植物の成長を早める
☆速度上昇薬→移動速度を上昇させる
☆パワー薬→身体能力を上昇させる
すごいなぁ……! この店に売っているものだけでも、こんなにたくさんある。本当にファンタジーだな、フィール星は。私は改めて並べてある回復薬を見回す。カラフルな水が瓶の中に入っている。
私は試しに下級回復薬を手にとってみた。透き通るような青色が光を反射して、瓶に私の顔が映る。不思議な気泡も浮いていて、なんだか実験した後の液体みたい。これらのカラフルな水を飲むと、その効果を得られるんだよね。私は回復薬を元の位置に戻す。
それにしても、本当にきれいな色をしているなぁ、回復薬って。ライムは、店員さんの説明を聞きながら、目をキラキラさせている。ずっとダンジョンに居たんだから、回復薬を見るのは初めてで、そりゃあ、そんな顔になるよね。私も同じような顔になっている自信がある。回復薬を見て目を輝かせているライムが可愛い……!
「リズムさん、どれを買ったほうが良いと思いますか?」
「そうだね……。取り敢えず、全部一つずつ買ってみたらどうかな? 持っていて損はないと思うし。私としては、魔法回復薬がたくさん欲しいな。杖に付与した時に、毎回疲れちゃうでしょう? その時に回復できたら便利だなって」
「確かに……」
ライムは考えているようだ。まあ、迷うよね。こんなに魅力的な回復薬がこんなにた〜っくさん並んでいるんだもん。今、一気に買ってしまうのもありだと思う。
「それでは、全ての回復薬を二十瓶ずつください。あ、下級回復薬は三十瓶でお願いします」
「そ、そんなに!? ライム、買い過ぎじゃない?」
「いえ。そんなことありませんよ。一気に買ってしまったほうが効率的だと思いますし」
で、出た! ライムの「効率的攻撃」。その攻撃、ライムのお財布にヒットしていると思うんだけど……。あ、ついでに店員さんにもヒットしているかもね。店員さん、ポカーンとして固まっちゃったから。普通はこんなに一気に買わないもんね。そうなりますよね〜!
「…………かしこまりました。お代は、大銀貨一枚と、中銀貨七枚です」
け、計算速っ! この店員さん、暗算得意だよね? こんなに速くこれを計算するとは……一流店員ですね。すごいです。
「これでお願いします」
ライムは大銀貨を二枚支払った。
「はい。中銀貨三枚のお返しです。袋をお付けしましょうか?」
「よろしくお願いします」
「かしこまりました」
は、速い! お釣りの計算も速すぎる! 袋の配慮までしてくれるなんて、さすが、一流店員さん!
「どうぞ。お買い上げ、ありがとうございました」
「こちらこそ、ご丁寧にありがとうございます」
私とライムは店員さんにお礼を言って、店を出た。……いや、それはいいんだけどさ。ライムさん、荷物多すぎん? まあ、回復薬を百五十個以上買えばそうなるよね。
そして、あの店員さん! 袋に回復薬を詰めるところまでやってくれたのか! 百五十個以上を、あの短時間で? 十秒くらいで終わっていた気が……。恐ろしい。そんなことができるんだ。もう超一流だと言わせてもらおう。
私達は、温泉宿に向けて歩き出す。……隣から、すごいチャポチャポ聞こえるな。見ると、ライムが両手にパンパンな袋を持って歩いている。
「半分持とうか?」
重そうだったので、声をかけた。だって、宿屋までこれは流石にきついよね? ライム、一応私より年下だし、人間の姿で生活することに関しては私の方が経験豊富だし。
「ありがとうございます。でもこれくらい平気ですよ」
そう言って、ライムは袋二つを持ち上げて万歳をする。
「えぇ!? も、持ち上げた! すごい! え、回復薬って、実はめちゃくちゃ軽かったりする?」
「リズムさんも持ってみます?」
そう言われてライムから一袋受け取る。ライムが手を放した瞬間。
「うわっ! くっ! お、重い……!!」
想像していたよりも遥かに大きい圧力が、一気に私に掛かる。
なにコレ、すっごい重いんですけど! 回復薬よ、そんなに地面に着きたいのか!? すごく下に引っ張られるのだが!!
「はい。ということで、軽くはありませんでしたね」
ライムは私から袋を取ると、面白そうに笑いながら言った。
「う、ん。そうだね……。ライム、どうしてそんなに平気な顔できるの?」
不思議すぎる……。年下だよね? ライム、私より人間姿慣れてないよね? 男女の差なのか……?
「どうしてと言われましても。リズムさんよりも力持ちなので」
ライムはドヤ顔で言う。
「はいはい、そうですか〜。……なんか腹立つんだけど、そろそろその顔やめてくれないかな?」
はいはい、ライムが力持ちなのは分かったよ。分かったからさ、いつまでそのドヤ顔してるん? ちょっと腹立ってきたから、やめてほしいな。……君さ、顔が整っているから、格好良いんだよ! 可愛くもあるの! そこも腹立つ!
しばらくすると、ライムはドヤ顔をやめてクスクス笑い出した。
「すみません。リズムさんが面白くて、ついからかってしまいました」
くぅっ! その顔は反則だよ〜! ドヤ顔から一転、その楽しそうな笑い顔は、可愛すぎる!!
ルカ様といい、ライムといい、私をからかうのが面白いって、どういうこと!? ちょっとよく分からない。
それから、温泉宿に到着するまで、私とライムは他愛もない話をして盛り上がった。
ライムは意外に力持ち。リズムも決して非力なわけではありません。ライムがすごいだけです。
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
次回更新予定は7/19(日)です。m(_ _)m
次回予告:村でランチ!(/ω・\)チラッ




