12. ピンチ後の癒やし、最高です!
「大丈夫?」
透き通るようなきれいな声が、私の耳に届いた。
あれ、ここは……? 気が付いたら、草原のような場所で眠っていた。そして、目の前ではさらさらな金髪と青緑色の瞳を持つ可愛い少女が私の顔を覗き込んでいる。年は十歳ほどだろう。さっきの声はこの子のものなのかな? こんな所で眠っていた私を心配してくれたようだ。
「うん。大丈夫。心配してくれてありがとう。ところで、あなたは誰?」
「私はシルビア。お姉さん、こんな所で寝ちゃダメだよ。確かにここは気持ちがいいところだけど」
おっしゃるとおりでございます。まだ小さいのにしっかりしているなぁ。この子、シルビアって言うんだ。なんか、知っているような……?
「あなたは、一人でここに来たの?」
「うん。ここは、私の秘密の場所なんだ。今日はお父様もお母様も、お兄様もいないから、こっそり抜け出してきたの」
そう言って、シルビアちゃんはいたずらが成功したかのようにクスクスと笑った。か、可愛い……!
「シルビアちゃんは、どこに住んでるの?」
って、初対面の人にこの質問はないか……。怪しまれてもおかしくない。私は慌てて不審者じゃないよ〜っていう顔を作る。
すると、シルビアちゃんは目を丸くした。「え、顔で訴える作戦、失敗した?」と思ったけど違うようだ。シルビアちゃんはこう言う。
「お姉さん、私の事知らないの? 私はこのダイア王国の第一王女だよ」
「……だいいちおうじょ」
知らん。全く知らなかった。なんて事だ。今までの会話で不敬に当たることはあっただろうか。あったとすれば今から全力で謝ろうと思う。
説明しよう。フィール星には、五つの国がある。私が住んでいる家(ルカ様に建ててもらった家)があるのはその五つの国のうちの一つ、ダイア王国だ。これらの出典はカミキソ。
まさか、この子がダイア王国の第一王女だとは……。そんなこと、カミキソにはなかったよ〜! 他の国の王族についての情報はあるのに、どうしてダイア王国の王族についての情報はないのかな? ルカ様、インプットし忘れた?
シルビアちゃん……いや、シルビア様かな。ちゃん呼びは普通に不敬だわ。シルビア様が第一王女ということは、シルビア様のお父様は王様? お母様は王妃様? でもってお兄様は王子様? ……なるほどね。雲の上の人達だということは分かった。そして私は今、その雲の上の人と会っていると。すごい状況だな……!?
「お姉さんのお名前は?」
名前を言っていなかっただと……!? まずいまずい。どんどん死刑に近づいていく……! 取り敢えず、謝罪だ〜!!
「わ、私はリズムです。先程のご無礼、どうかお許しを……!」
これは、土下座もした方が良いのか……!? シルビア様は突然態度を変えた私に驚いているようで、何度か瞬きをして固まっていた。
「……あ、えっと、許すも何も、リズムちゃんは悪いことなんてしてないよね……? それに、話し方も今まで通りで良いよ?」
「あ、ありがとうございます! 今まで通りは無理なので、丁寧語でお話させてください」
て、天使……!! なんて優しいんだ! なんかシルビア様が光っているように見えるわぁ……!
そして、ルカ様と同じく、身分が上すぎる方々にタメ口は無理なので、丁寧語で話をしようと思う。
「丁寧語……。できれば、敬語なんか使わないでほしいんだけど……。ごめん、我儘だよね」
うん? 何故かシルビア様は丁寧語にショックを受けているらしい。年上に敬語で話されるのは嫌なのかな……? なんで? いや、第一王女ならそんなこと日常茶飯事だと思うけど……。
シルビア様にそんな可愛い顔で頼まれたら断れるわけがないじゃないですか! うぅ……!
畏れ多いけど、シルビア様がいいと言っているなら、不敬じゃないよね……?
「……うん。分かった。じゃあ、今まで通りの話し方でいくね」
私がそう言うと、シルビア様……ううん、シルビアちゃんは嬉しそうに笑った。可愛い!! 癒やされる〜!
「ありがとう、リズムちゃん!」
元気にそう返してくれた。
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
「ん……? うわ!?」
目を開けたら、ライムの顔がめちゃくちゃ近くにあった。
ライムの! カッコ可愛い顔が! 間近に!! 驚くし、心臓に悪いし、やばいんですけど!?
ライムは、私が目覚めて安心したようでほっとした顔で言う。
「よかったです……! リズムさんの目が覚めて」
はい、あなたのおかげで、目はバッチリ覚めましたよ……! なんなら今も覚めているのですが!? ライムさん、近すぎやしませんかね!?
「うんうん、覚めたから。ライム、ちょっと離れてほしいな」
「あっ! す、すみません……!」
私がそのことを指摘すると、ライムはすごい速さで離れた。なんか、顔が赤いような……?
「……〜〜っ、えっと、その、た、体調はどうですか?」
「あ、大丈夫だよ。ぐっすり眠れて元気だから!」
私はライムの心配を取り除くために両手をブンブン振る。ライムはこれで、本当に安心したようだ。「よかったです」と言ってへなへなっと座り込んでしまった。こんなに心配してくれていたなんて……。嬉しいな。
「あれ? 今気付いたけど、私、家に帰ってきてる!? もしかして、ライムが運んでくれたの?」
「あ、いえ、僕は運んでいませんよ。リズムさんが突然倒れてしまって、どうすれば良いか分からなかったので、ルカ様を呼んだんです。そうしたら、彼が瞬間移動でここまで運んでくれました」
まさかのルカ様登場! 彼の仕事を増やしてしまった……。申し訳ない。けど、ありがたい!
「……そうなんだ。ルカ様に感謝しないと。ライムも、ありがとう」
「いえ。僕は何もやっていませんよ。何もできませんでしたから」
ライムは申し訳なさそうに言った。
「そんなことないよ! ルカ様を呼んで、ずっと私のそばに居てくれたでしょう? 私、寝ていたけど分かるからね」
これは本当だ。寝ていた時に、ライムの気配を感じたもん。ずっと近くに居てくれた。
「……それはすごい能力ですね。ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです」
ライムはふわりと笑った。うわぁ、可愛い……! そして格好良くもあるんだよなぁ……! 破壊力がえげつないわ。
「取り敢えず、リズムさんの目が覚めたことですし、夕食にしましょうか」
「そうだね! お腹すいた〜!」
もう夕方だ。私、一体何時間眠っていたんだろう。寝ている間に、何か夢を見たような……? どんな夢だったっけ? う〜ん……? まあ、いっか。忘れてしまったものは仕方ない。
それよりも、ご飯ご飯〜♪
――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――
「リズム、大丈夫!?」
わぁ。今日も突然の出現で。ええ、ご安心を。しっかりと驚きましたし、元気ですから。
そのことをルカ様に伝えると、彼は心底安心したような表情を浮かべた。
「ライムから聞きましたよ。私を運んでくださり、ありがとうございました!」
「うん。無事でよかった。レベル三十の魔物と戦ったって聞いた時は驚いたよ。闇を減らしてくれてありがとう。ごめんね、危険な仕事を任せちゃって」
「いえいえ。当然のことをしただけですよ。それに、いい経験になりました!」
「本当に、ありがとう」
彼は一瞬辛そうな表情をしたものの、すぐに微笑んでくれた。
あ、そういえば、私、レベルどうなったんだろう? 見てみよう〜!
「ステータス」
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〈類〉人間
〈名前〉リズム ムラカミ
〈レベル〉5
次のレベルまであと80EP
〈魔法属性〉光、草、音
光魔法: “癒し”
“浄化”
“灯り”
草魔法:植物を操る力
音魔法: “滅びの断末魔”
“想いの歌”
〈称号〉なし
〈仲間〉守護神ルカ、スライムライム
―――――――――
「「「おお!」」」
ステータスを見た私達三人の声が重なった。これを見たらそんな反応になるのは当然でしょう! 一日でこんなにレベルが上がるなんて! やったぁ! レベル五だ!
私がはしゃいでいると、ルカ様とライムも嬉しそうに言う。
「すごいよ、リズム! もうこんなにレベルが上がるなんて」
「おめでとうございます!」
「ありがとう、二人とも! ライムはレベル上がった?」
「僕は……見せた方が良いですね。ステータス」
―――――――――
〈類〉スライム
〈名前〉ライム
〈レベル〉1
次のレベルまであと20EP
〈魔法属性〉水
水魔法:水を操る力
〈称号〉なし
〈仲間〉人間リズム
―――――――――
「おぉ……! レベル二に近くなってる! おめでとう!」
「おめでとう」
「ありがとうございます」
ライムは嬉しそうに微笑んだ。
これは、最初にピンクのスライムを倒した時に経験値がもらえたのかな? だから、レベル二に近くなったのか。なるほど〜!
一人納得していると、私はまたもや重大なことを思い出した。
「あ、私、魔法使えないかも!」
「「え!?」」
ルカ様とライムの声がきれいに重なった。わあ、イケボだね〜。二人とも。
「私、兎を倒すために“滅びの断末魔”を使ったから、その代償として、魔法が三日くらい使えないと思うんだよね……」
私は二人にそのことを説明した。
説明し終えてから、試しに草魔法を出そうとしたけど、使えなかった。だから、きっと本当に三日くらい使えないんだろうな……。三日はレベル上げ出来ないのかぁ。まあ、それで済むなら良いほうだよね。この魔法がなかったら、私もライムもあの兎に倒されていたと思うし。
そう思うことにしよう。それから、私は三人での会話を楽しんだ。
リズムを本気で心配するライムとルカ。(*´ω`*)
お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/
次回更新予定は7/5(日)です。m(_ _)m
次回予告:次回の舞台は二ヶ月後! リズム達はどのように成長したのでしょう? (/ω・\)チラッ




