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10. 「うわぁ!」&「ぷへぇ!」再び

 神様はライムにフィール星のことを説明し終えてから言った。


「そういうことだから、できればこの杖を使ってリズムと一緒に闇を消していってほしいんだ」


「なるほど。僕らの星は今、そんな大変なことになっているんですね。協力したいのは山々ですが、僕は光魔法を使えません。闇を消すことは不可能では……?」


 確かにその通りだ。私は光魔法を使って闇を消せるけど、ライムは水魔法しか使えない。カミキソによると水魔法で闇を消すのは不可能。よって、ライムは協力しようにもできない状態だ。


「まあ、普通はそう考えるよね。でも大丈夫。この杖は、魔法を付与することができると言ったよね? リズムに光魔法を付与してもらえば、付与してもらえた分だけ、杖を使って光魔法を放出できるよ」


「「……なるほど」」


 私とライムの驚きの声が重なる。神様関連で驚くのはこれで何回目だろうか……。驚かない方が難しいよね。


 付与すればした分だけ魔法が使える杖か……。じゃあ、この杖に全ての魔法属性を付与すれば、全属性の魔法が使えるということでは……? この杖すごすぎん!? 


 さすが、神世界にしか存在しない杖……。こんなチートな杖がフィール星にあったら、全属性使い放題で星が荒れるだろうね……。神世界にしかなくて正解だよ。


「そういうことでしたら、喜んで協力します! この星を少しでも良い状態にするために、精一杯頑張りますね!」


「ありがとう! 助かるよ」


「ライム、一緒に頑張ろうね!」


「はい、頑張りましょう!」


 私とライムは笑い合う。神様はライムに杖を渡した。これで、フィール星は更に良くなるよね。ライムと協力して、闇を取り除いていくぞ〜! お〜!!


 それから、私達は雑談した。


 そうそう、ライムがどうして生まれた瞬間からこの星のことを知ることができたのか、神様に聞いてみたよ。神様いわく、それはこの星が“そのよう”にできているかららしい。この星を創った神がそうしたのだそう。この星を創ったのって、神様じゃなかったんだ……!


 しばらく雑談してから、神様は突然こんなことを言った。


「二人とも、僕のことは“神様”じゃなくて名前で呼んでほしいな。なんか、“神様”って他人行儀な感じがして嫌だし、二人は名前で呼び合っているのに、僕だけ名前で呼んでくれないのは寂しいから」


 か、神様を名前で呼ぶ!? なんて畏れ多いことを提案しているのだ、この神様は!? 


 彼がそう言う気持ちも分かるよ? 確かに一人だけ名前で呼んでもらえないのは悲しいし寂しいだろうけど……。でもさ、神様は友達だったとしても神様なわけでして……。やっぱり畏れ多いのよ。これが一番の理由だ。


 それに、今まで(八日くらい?)彼のことは“神様”って呼んでいたから、今さら呼び方を変えるのは……なんか抵抗がある。恥ずかしいというか、なんというか……。誰しも経験したことがあるであろう、今まで〇〇さん呼びだった人に対して、急に〇〇ちゃんとか〇〇くんって呼ぶときの恥ずかしさ。私、あのムズムズする感じが苦手なんだよね……。


「え、でも、その……名前で呼ぶのは畏れ多いです」


 ライムのその言葉に私もコクコク頷く。その通り! 


「そっか……。そうだよね。僕が神様だから……」


 彼は寂しそうに言った。


 くっ! そんな悲しそうな顔をしないでくださいよ〜! なんだかすごく申し訳ない気分になるじゃん!


「えっと……じゃあ、ルカ様でいいですか?」


「ありがとう、ライム! リズムにも名前で読んでほしいな……」


 うっ! うぅ……。神様だからという理由で名前で呼ばないのは可哀想だし……。うん。彼のことは名前で呼ぶようにしよう。


「えと、その……。ル、ルカ様……?」


 うぅ……。やっぱりなんか恥ずかしい……。でも、これも最初だけ! 次からはもう大丈夫な筈だもん。よく乗り越えた、私!


「…………」


 あれ、ルカ様からは何の反応もない。どうしたんだろう……? 心なしか顔が赤いような……? ライムも不思議そうにしている。


「ルカ様……?」


 私がもう一度名前を呼ぶとルカ様は少しビクッとして言った。


「……〜〜っ、あ、ありがとう。すごく、嬉しい……!」


 喜んでもらえたようだ。良かった……! 今のでフィール星に影響する闇の量も減らせたよね!? うん、きっと減らせただろう。



 ――♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪☆♪――



 次の日。私とライムは、朝ご飯を食べてレベル上げをする準備をした。


 ライムは、私の前で人間に変わってから、ずっとそのままでいる。スライムの体は色々と不便なので、これからは何か特別なことがない限りはずっと人間のままでいることにしたらしい。


 ライムは水魔法属性だから、朝食には焼き魚を食べていた。私は初日以外はきちんと栄養バランスが偏らないように食べているから、魔法属性に合った物は食べていない。ライムはそのことに驚いていた。


 私、やっぱり文化の物よりも栄養バランスが整っている物を食べた方がいいと思うんだよね〜。文化を大切にしている人達には悪いけど、朝食の文化については納得できないかな……。


 朝食を食べ終わったら、外出準備。杖を肩掛けモードにする。私の場合は楝色(おうちいろ)だったけど、ライムの場合は空色だった。カッコ可愛いライムによく合う色だけど、ラムネ色ではなかったことに驚き。杖が思うライムのイメージカラーって、空色なんだ……!


 そんなことを考えている間に、準備は完了。よし、レベル上げするぞ〜! 私達は家から出た。


「今、家から出たのでもう結界には守られてないんですよね」


「うん。気を付けて、慎重に行こうね」


「そうですね」


 私とライムは警戒しながら森の中を歩く。ちょっと歩くと、可愛いピンク色のスライムが私達の目の前に飛び出してきた。


「うわぁ!」


「ぷへぇ!」


 なんかデジャヴ……。確か私達、昨日も全く同じ驚き方をしたよね? ライムのその奇声も昨日聞いたものと同じだし。


 ルカ様もこのピンク色のスライムちゃんも突然現れるし、この世界のヒト達は突然現れるのが好きなの? だったら至る所で寿命が縮むからやめてほしい……。


 飛び出してきたスライムは、頭の上に「レベル1」と表示されていた。これなら、勝てるだろうけど……。ライムの前でスライムを倒すのはなぁ……かなり抵抗がある。


 それに、この子も可愛い! すごく可愛いのよ〜! ピンクのしずく型のスライムちゃん。この子、目が大きくてキラキラしているから、本当に可愛い! 倒すのは可哀想……。


「えいっ!」


 …………え? えええ!? ちょっ! ライムさん!? いつの間に! スライムちゃんを倒してる!?


 ライムは水魔法を使って氷の針を作り出し、それでピンクのスライムちゃんを一突きしてしまったのだ。


 私がライムの行動に驚き、固まっている間に、攻撃されたスライムちゃんは原型を保てずそのまま液体になり、蒸発してしまった。こちらも熊ほどではないけどかなり刺激的な倒れ方! 


 やっぱりこれ、小さい子に見せてはいけないヤツだ。可愛いスライムちゃんが液体になるところ、目とか……うん、これ以上は考えないでおこう。


 ライム、君はそんな事をするスライムだったのか……! 何の抵抗も無く「えいっ!」って言って同種を倒してしまうなんていう一面があるとは。一応ライムに同種を倒すことに抵抗は無いのか聞いてみたら、このように返ってきた。


「抵抗が無いわけではありませんよ。でも、今の僕達はレベルを上げなければなりません。そんなに逐一躊躇っていたら非効率的です」


「いや、その通りなんだけどさ……」


 その答えを聞いて、私は複雑な気分になる。う〜ん……。分かるよ、ライムが言ったことは。でもね、でもさぁ……!


「でも――」


「リズムさん、後ろ!」


 私が反論しようとした時、ライムが焦った声で言った。


 え……? 後ろ? 


 私が後ろを見ると、少し離れた場所に巨大な兎がいた。


「どわぁ!」


 やばい、変な声が出た。ライム化しちゃう。いや、でも仕方ないよね……? 目の前に巨大な兎がいれば誰だってこんな声が出るでしょうよ!


 そして何だこの大きすぎる生物は!? あなた、私と同じくらいの身長だよね!? 確か、私の身長が百六十センチメートルくらいだから、この兎は百五十センチメートルくらいかな? いやデカすぎるでしょ!!


 ん? この兎、なんだか黒い靄を纏っているような……? こ、これはもしかして、ルカ様が言っていた闇では……!?


 私がいろんなことを考えていると、ライムの悲鳴が森の中にこだまする。


「レ、レベル……高過ぎませんか!?」


 レベル……? 私は、レベルを見ようと兎の頭の上を凝視した。この星では、“レベルを見たい”と思いながらレベルを見たい相手の頭の上を凝視することでそのレベルが脳内に浮かび上がってくるのだ。出典はカミキソ。


 私の頭に浮かび上がってきたのは……「レベル30」の文字。


「え、ええぇ〜!!」


 私の悲鳴も森の中にこだました。

ちなみにこの兎、もふもふで真っ白ですが顔は怖めです。眼光が超鋭いです。


お読みいただきありがとうございました!\(^o^)/

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次回更新予定は6/21(日)です。m(_ _)m

次回予告:結構なピンチ! 兎と戦闘開始!(/ω・\)チラッ

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