表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

2 (貧乏を知った王女)

本日二話目です。


 イリスはもうすぐ5歳。来年には幼年学校に行けるお姉さんです。

 そんなお姉さんに弟ができるです。

 お母様のお腹からポーンと出てくるそうです。どおりでおなかが大きいと思ってたです。


 「いつ飛び出てくるですか?」

 「来月くらいね。イリスはお姉ちゃんになるのね。ちゃんと弟を守ってね」


 当たり前です。イリスはいい子ですからいいお姉ちゃんになれるです。

 胸を張ってお母さまに「任せるです!」と答えたです。


 「でも残念だわ。橋が台風で壊れなければね……。この子のお祝いは中止ね」

 「お祝い?」


 「生まれたときにお祝いするの。イリスが生まれたときもお祝いしたのよ、みんなで」

 「なんでやらないのですか?」


 「えっと…お金がね……」

 お母様が困ったように笑いました。


 お母様がいうには、うちはお金がなくて貧乏だそうです。


 絵本では貧乏人という人はおなかがすいて困ってる人だったです。

 でもイリスはいつもおなかいっぱい食べてるので、貧乏ではないと思ってたのです。

 貧乏ってよくわからないです。


 とにかくお金がないのが、貧乏らしいのです。


 イリスはお金を触ったことが一度だけあるです。お勉強のために。

 普段の生活では必要ないから見たことがないので、正直どうしたらお金が増えるかが分からないです。


 弟だけ貧乏でお祝いができないのはかわいそうなのです。

 お金をどうやって稼いでいるかを教育係(ドイル)に聞いたです。


 「我が国の収入源は、酪農。乳製品を他国に輸出しています。つまりジョセフィーヌ達の乳がお金になります。


 ジャージャー牛は気性が荒く、狂暴で飼いならすのが厳しいため、牛の乳製品は高値で取引されます」


 「狂暴なのです?うちの()たちは、大人しいです」


 「そうですね。散歩も勝手にいってくれるし、畑仕事も手伝ってくれる。王都と村との移動の足にもなってくれる。本当に働きもので助かっています」

 

 なにが他の国となにが違うのですか?よくわからないです。とりあえず、それをもっと売ればお金になるのです。


 御飯のときに、イリスはお父様とお母様に聞いたです。

 まずは二人で閣議(そうだん)するそうです。

 


 「うーん。今うちの商品を買ってくれているのは隣国だけなんだよね。販路広げるって大変だよ。うちには御用商人もいないし、コネもないしね。


 やるなら長期的に考えないと。長男の誕生までにそれで稼ぐのは無理だと思うよ」

(国王兼外務大臣)


 「うちの()たちはいっぱい頑張ってくれているけど、もっと多く輸出するなら増やさないと駄目ね。そうなると牛飼いを増やさなければいけないのだけど、人材いるかしら?


 え?ジョセフィーヌが牛の面倒を見るって?でも販売要員は別に必要なのよね……。どこかに人落ちてないかしら」

(王妃兼労働大臣兼農産大臣)


 なにやら難しそうです。

 やっぱり簡単ではないのですか。がっくしです。


 「イリスがどうしてもお祝いしたいのなら、なんとか考えてみるわ。なにか高く売れるものがあればいいのだけど……」

(王妃兼財務大臣)


 「城に置いてある壺や絵画はどうだ?どれがいいものかすら私には分からんが。うちの国に目利きできる人間はいたかな?」

(国王兼文化大臣)


 すぐにお金になるのは、お城の宝物庫にあるものだそうです。


 今よりちょっと裕福だった時代のお宝や、他国からお祝いでもらったものが入っているのです。

 でも本当にいざというときのお金なので、使ったらだめなのです。


 「イリス。国民(みんな)でワインを一杯飲んで、お菓子を一個食べる。それだけでも、三百万ギルはかかる」

  

 三百万ギル!わからないですが、たぶんたくさんお金がかかるのです。


 「家族だけでお祝いしたとしても、心がこもっているなら私は嬉しいわ。きっとおなかの子も同じじゃないかしら」


 お母様はそういってイリスの髪をナデナデしてくれたのです。


 イリスは今日はじめて貧乏を思い知ったのです。なかなか手ごわい相手です。







 なにかいい手がないか唸りながら散歩をしていたら、牛飼いのカーニャ婆に会ったです。


 相談してみるのです。

 カーニャ婆は良く当たる占い師でもあるので、期待が持てるのです。

 

 相談するとカーニャ婆は占ってくれました。

 しゃがみ込み、うーむと集中すると落ちていた石を積み上げたのです。


 正確にいうと積み上げようとして失敗したのです。手がプルプルしているせいなのです。

 何度やってもニ段目の石が積めなかったのです。

 イリスなら三段はいけるのです。


 「姫、わしの代わりに石を積まんでよい。

  もう占いの結果がでたからいいのじゃ。だからよいって。石置いて聞いて、お願い」

 むぅ。三段目がもう少しで積めたのです。


 イリスが手をとめてカーニャ婆を見上げると、カーニャ婆はこほんと咳をしてから告げたのです。

 「明日、森の方角で姫に良き新たな出会いがある。いろいろと相談できる相手になるだろう」

 

 森の方角といってもかなり広いです。どこのことですか?

 あと、明日って何時なのですか?

 いろいろ聞いたのですが、逃げられたのです。細かいところまでは占いでは出ないそうなのです。


 でもわかったです。

 カーニャ婆は新たな出会いと言ったです。国民はみんな顔見知りなのです。


 だから新たに出会う人は外からくる人なのです。

 出会いの場はたぶん国境の小道なのです。

 イリスにかかれば、こんなのチョロいのです。


 良き出会いというなら、逃げ込んできた犯罪者(わるい人)ではないのです。


 それなら武器はいらないです。

 一緒に連れていくのは(ジョセフィーヌ)でなく、ポニー(ポコ)なのです。





 次の日になってのです。

 夜明け前くらいからイリスはポコと国境なのです。国境は赤い小さな杭が撃ち込まれている場所なのです。


 いつ出会いの人がくるか分からないのです。作ってもらったお弁当とござを広げて待ち構えたのです。


 気が付いたら寝ちゃったのです。でも会えたのです。


 しかもお引っ越ししてきたのです!

 庭師のハインツと同じくらい若い人なのです。ハインツは二十三っていってたからそれくらいなのです。


 でも体の大きさが違うのです。

 どちらかというと文官の小父さんと同じひょろ長な感じの人なのです。


 農家や酪農家の人たち(みんな)と腕とか一本分くらい違うのです。


 ひょろひょろの人は杖を持っていたら物語に出てくる魔法使いに見えるのです。


 魔法使いは貴重な存在と習ったです。うちの国にはいないのです。

 一度くらい魔法を見てみたいものです。


 とりあえず王女らしく威厳を持つです。

 威厳?威厳ってどうするのです?忘れてしまったのです。

 絵本ででてきた王女を思い出すのです。頑張るのです。


 悪い人でないことは、カーニャ婆の占いで知ってるです。


 でも一応匂いを嗅いで確認したです。悪い人はなぜか匂いでわかるのです。前にそれで外から来た悪党をイリスが見つけ、お父様が捕まえたのです。

 

 くんくん。

 大丈夫。問題ないのです。

 

 でも歩くのが遅いのです。この人。

 荷物が大きいので、しかたないのです。ポコは小さいで、荷物は載せられないのです。


 ジョセフィーヌでくるべきだったのです。間違えたのです。

 ということでのんびり戻ってたら、教育係(ドイル)と約束した帰る時間を過ぎたのです。


 そのせいでイリスが迷子になったときになる鐘が城から鳴り響いたのです。まずいのです。捜索隊がわらわらと出てきたのです。怒られるのです。


 お引っ越しの人を案内してきたとわかったらなんとかなったのです。よかったのです。

 

 そういえば名前聞いてなかったです。イリスも自己紹介した記憶がないです。まずいのです。きちんと挨拶できない子は悪い子なのです。


 ドイルに怒られるのです。眼鏡がキラッと光るのです。ひぇぇぇ!!


 そういえば通行証見たのです。えっと確か……。


「ウェイン?」

「はい?」

 食後のお茶をお母様からいれてもらっていた彼がこちらを振り返ったのです。

 やったです。合ってたのです。


「えっと……イリスんち貧乏でびっくりなのです……?」

「ははは……」

 ウェインは乾いた笑い上げてをお茶で流し込んだのです。


 夕飯は4人くらいで囲む小さなテーブルで、お部屋もお城の使用人(みんな)とあまり変わらない地味なリビングルームなのです。


 綺麗なお部屋は汚したら大変なので、普段使いはしないのです。


 本日の晩御飯メニューはシチューと黒パンで、イリスは好きです。でもちょっとパンが固いので顎がつかれるのです。


 カーニャ婆が言うには顎と歯を鍛えるのに一番いい訓練だそうなのです。

 年とってもご飯がおいしく食べれるのです。とても重要な訓練なのです。

 

「王家といっても、実際は国の運営を任されているだけでね。他の家と大差はないんだよ。

 まぁ他国と外交するときは見栄を張るんだけどね」


 畑仕事で陽に焼けないように被っていたほっかむりを外しながら、お父様が説明するのです。

 お父様が作る野菜はとてもおいしいのです。


「私と家内のことは親戚の小父夫婦くらいな感じで接して欲しいな。

 イリスものびのび育てているので、仲良くしてやって欲しい」


「そうよ。この国に慣れるまでしばらくうちでゆっくり過ごしてね」


 お父様とお母様がウェインを見て、にこにこ笑ったのです。


 それからしばらくこの国のルールをお父様が説明するたびに、ウェインの顔色が悪くなっていく気がするのです。


 病気なのですか?

 あ、ドイルが胃薬をウェインに渡したのです。

 ぱくっと飲んだら、顔色がよくなったきがするのです。


「なにか分からないことがあったら、私か家内に聞いてくれ。君の常識とは違うだろうが、おいおい慣れていってくれればいいからね」


 お父様の話が終わったのです。

 ウェインはふぅと大きく息を吐いて笑ったのです。


「私が知っている王家ともかなり違うみたいですね」

 なぜかウェインがほっとしたように見えたのです。


 普通と違うほうがいいのですか?

 ウェインも変わっているのです。


「とりあえず、総務大臣としてウェインさんの移住の許可を出します」

 大きなおなかを抱えながらお母様がにっこりとウェインにいいました。


「え?あ、ありがとうございます」


「よかったね、ウェインくん。今日からよろしく頼むよ。それと通行証の書き換えを明日やっておくから預からせてもらうよ」

「あっ、はい……」


 ウェインはこれで我が国の国民(なかま)になったのです。


 さっそくウェインを客間に案内がてら、売れそうなものがないか城を探索しようと思っていたのです。


 でもメイドのアリサに案内係をとられたのです。

 がっくしです。


 今日はなんだかんだ忙しい一日だったので、ウェインも疲れているのです。

 目利きは明日なのです。

 イリスも疲れたのです。おやすみなのです。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ