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「召喚に応じてくださってありがとうございます、聖女さま。その高貴なるお姿、間違いなく伝説の聖女さまです。王家に伝わる水晶の指輪もあなたさまに反応しております」
王様(仮)が私に、王様の右手の中指にはまった指輪を見せた。
ゴールドの台座の中央に、大きな透明の宝石がはめられた指輪。その宝石の中で、キラキラとオーロラのような光が渦巻いている。
「え?いや…どう考えても私は聖女ってキャラじゃないと思うんですけど…地味だし……。聖女っていうのは、カナちゃん……彼女みたいな若くてかわいい子っていうのが相場では……」
王様は無言で、手を…指輪をカナちゃんに近付けた。宝石の中の光がすっと消え、ただの透明の石になる。
「聖女に年齢は関係ありませんし、なにより指輪が反応しません。彼女は…聖女さまの妹様ですか?」
「妹!?いえいえ、恐れ多い……カナちゃんは私の推しです。ただのアイドルとオタクです」
「推し…?アイドル……?」
あ、アイドルとかない世界なのか。
まぁ異世界から聖女を召喚しなきゃいけないような世界では、アイドルを推してる余裕はないのかもしれない。
「えーっと、とにかく、特別なんです彼女は。私の生きがいというか、いや人生そのものというか」
「恋人ということですか?」
「恋人!?いやいや、恐れ多いですそんな次元じゃありません。あー、説明むずかしいな……」
「……ともかく、あなたさまにとってはとても大切な存在ということですね。それはわかりました。本来は聖女さまおひとりをお呼びするところ、おそらくおふたりがとても近い位置にいたことで巻き込まれたものと推測します」
……本気で言ってる?
カナちゃんが聖女さまっていうなら、まだわかる。
でも、私?
地味で、何の特技もない、ただの一般人でオタクの私が、聖女?それで、カナちゃんが巻き込まれた?
「ちなみに、カナちゃんを戻してもらうことって……」
「申し訳ありませんが、現段階ではできません。聖女さまの召喚に国中の聖力を使い果たしてしまったのです。聖女さまが西方の魔族を滅ぼし、国の持つ聖力が戻れば、あるいは……」
「聖力って?」
「聖力とは、民や国そのものの持つ聖なる力です。国が治まれば自然と湧き立つものですが、現在は西の魔族からの脅威により枯渇寸前まで減ってしまっています。完全になくなってしまう前に、聖力をかき集め召喚の儀式を行ったのです」
「……よくわかんないけど、つまり、当分は巻き込まれただけのカナちゃんも帰れないってこと?」
私の言葉に、王様は神妙な表情で頷いた。
いや、そんな顔されても……。
「なにそれ……私のせいでカナちゃんに迷惑が……申し訳なさすぎる……」
私は頭を抱えた。
家族や友人もいないところにいきなり呼び出されて、しかも巻き込まれただけですって。
カナちゃんにだって、これからしたいこともあっただろう。
アイドルを辞めて、新しい人生の始まりだったはずだ。
それが……。




