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自ら死を選んだ公爵令嬢と高潔な騎士のやり直し両片思い  作者: 葵和心


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大好きな人の色



数日前にカスティーラ帝国の王都ラトにやって来た私たち

少しぐらい観光できるかな、なんて思っていたが、王都についた日にはその足で出来上がったドレスを試着し、細部の細かな確認に丸1日かかった。


その次の日には殿下からの手紙をいつも運んでくださる方から帝国貴族の資料をもらい、お父様お母様とともに頭に叩き込んだ。


そしてパーティー当日


朝早くからお母様とともに泊まった宿内で屋敷から連れて来ていた侍女に凝り固まった体をほぐすところから始まった。


とは言っても、大勢連れて来ることはできなかったため、お母様と私1人ずつだけで。

私はナナリーに頭から足先まで丹念にほぐされ夢の中にいた。



「お嬢様!素敵です〜!お綺麗です!」


気絶するように眠りにつき、椅子に座ってからは夢と現実を行き来していたが、コルセットを締められると完全に目が覚め、頬を軽く叩いて眠気を覚まそうとしたらナナリーにものすごく怒られてしまった。


髪は緩く巻かれてハーフアップのお団子

ドレスは肩と腕が完全に露出されているがレースの長い手袋を着用することで清楚な雰囲気に、とのこと。

淡い青色のドレスは装飾はないが、煌めく生地が幾重にも重ねられ、光を受けてきらきらと輝いている。


ナナリーがアクセサリーをつけるのを鏡越しにぼんやり眺めながら、どこかに黒入れたかったな、と思ってしまう。


私の意思ではないものの、グレジア様の目の色のドレスになったことで、グレジア様に見られているような感覚に陥ることが何度かあった。


その時に、グレジア様の黒も入れたら完璧だと思い立ち、仕立て屋の女性に一度言ったことがあった。


『あの、どこかに黒色は入れられないですか?』


『御嬢様は黒がお好きなのですか!御嬢様でしたら黒のドレスも素敵でしょうね〜。それならドレスは大人っぽく仕立てましょう!今回は清楚さを際立たせるデザインですが次回は上品な御嬢様にしましょうか!うん!美しいです!』


『あ、いや、このドレスに黒色を…、』


『今回は美しい銀髪との統一性を重視しておりますから黒は少し悪目立ちしてしまいます。なので次回!黒のドレスに致しましょう!御嬢様の銀髪は黒とも相性良いですから!』


一切黒を入れられる余地がなく、しかも何故かパーティーの予定もないのに次回のドレスが決まってしまった。


落ち込みつつ、欲張ってはいけないと。

目の色だけでも十分幸せな気分になれる。


碧眼の方はそれなりにいらっしゃるし、青いドレスだってたくさんいらっしゃる。


だから、誰も私の心の内なんて分からない。


私だけの秘密の恋心




カスティーラ帝国の城はとても大きく、豪華絢爛

いつかじっくり見て回りたいほど細かなところまで手が行き届いている。


会場へ入った私たちアルタリスク伯爵家

じろりと見られている視線を感じながら、会場を見渡せる隅の方で様子見する。


「ああ…、みんなカリナとフィオナを見ているよ。君たちの美しさは万国共通で嬉しいけど…、嬉しいけど複雑だなぁ…。僕のカリナとフィオナなんだけど。」


「見せてあげれば良いのよ。美しい女性の夫は俺だと胸を張って。じゃないとフィオナがどこぞの男に簡単に攫われるわ。」


「!それはダメだ!フィオナっ、お父様たちの側から離れないように!」


「はい。お父様」


にっこりと笑ってお父様を安心させる。

でも、心のどこかで攫われるならグレジア様が良い、なんて幻想を抱いて、この場にいるのかなと広い会場内を見渡すが広いのと人が多くて分からない。



どこからか音楽が鳴り始め、人々の話し声が止むと上の扉から陛下をはじめとした王族方がやって来た。


「今日は思う存分楽しんでくれ。」


短い挨拶が終わり、王族方が着席されると次々王族への御挨拶の列ができ始める。


私たちアルタリスクも流れに沿って列に並び、待つこと数十分、私たちの番が来た。


「本日は御招待いただき誠にありがとうございます。我がアルタリスクはカスティーラ帝国の貴族として邁進する所存でございます。」


「面を上げて良い。久しいな、アルタリスク、伯爵だったか。ジークハルトが世話になっているようだな。」


「殿下には私のわがままを受け入れてくださり、何から何までお世話になっております。未来永劫、カスティーラ帝国に貢献できるよう繁栄してまいります。」


「そなたほどの優秀な人材が埋もれているのはもどかしかったからな。懸命な判断だった。」


「ありがたきお言葉」


「アルタリスクとは友好な関係でいたいものだな。」


「陛下、それは俺に任せてください。アルタリスクはカスティーラ帝国において放ってはおけない貴族になりますよ。」


そう言い放った殿下とばちっと目が合い、にっこりと笑っていた。




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