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魔法少女、誕生 Part.39

前回投稿した『Part.38』の続きをお届けします。

それではごゆっくりご覧下さい。

赤松家に居候するにあたり今後自室として使用する2階の空き部屋にてクロードは出入り口であるドアの前に仁王立ちで居る実季(みのる)からの問いに対しこの状況に至るまでの経緯を説明し始めた。


「実(じつ)は実季さん達と別れて暫く経って魔法界の王から魔法少女との『共同生活』をする様に命じられまして・・・。」

「『共同生活』・・・?」


たった今、告げられた話の内、一部分を切り取った上で実季は腰の辺りに手を当てた状態のままそれを疑問に思う素振りを見せた後、クロードは先の説明に続ける様にして再び口を開く。


「はい。飽くまでも王に仕える役職の方を介してですが魔法使いはパートナーとしてダークエナジーを浄化する為の活動のサポートだけではなくメンタル面や生活面、学問やスポーツ、更には交友関係等といったありとあらゆるサポートをする必要が有ると言われまして・・・。」


魔法少女の顔色を窺いつつもクロードは事実を包み隠さず伝える事を念頭に話すも聞き手である実季はあまりにも言葉数が多かったのに加え無意識に早口になってしまっていた魔法使いの少年の説明を理解出来ず待ったをかけるのだった。


「ちょっとクロード、長いし早いよ!そんなんじゃ頭に入らないよ。」

「え?そうでしたか?しかしまだ説明の途中なのですが・・・。」

「要するに魔法界の王様とか言う人の命令で家に来る事になったんでしょ?」

「流石、実季さん。話の飲み込みが早いですね。」


説明している最中にも拘わらず実季によって止められた事に困惑を覚えるクロード。

それを他所に実季は先の説明について簡潔にまとめたものを述べるとクロードは感心した様な反応を示すのだった。


「ってそんな話してる場合じゃなかった。抑々(そもそも)、何で家にクロードが来る事になったの?あと、私の家族に何か変な魔法でもかけたの?」

「いえ、僕は実季さんのご家族に魔法などかけていません。というか、魔法がかかっているのは実季さんのご家族だけではありません。」


様々な憶測を頭の中で張り巡らせるもそれ等を差し置き実季は最も尋ねるべきである疑問をクロードへとぶつける。

するとクロードはそれを一旦否定し、補足として何やら意味深な言葉を放つのだった。

その言葉に魔法少女が眉を顰めるも魔法使いの少年は続ける様にして語り掛ける。


「早い話、僕が実季さんと同じ一つ屋根の下で生活出来る様、王がこの世界全体に魔法をかけたのです。」


クロードが語り終えたタイミングで先刻まで顰めていた眉を元の位置へと戻す実季。

人知れず魔法界の王が魔法に関して壮大な力の持ち主であろうと判断した実季は一先ず、幼馴染2人についてクロードへ尋ねる。


「もしかしてそれって、真琴や智史(さとし)にもって事?」

「いえ、真琴さんと智史さんに関しては公園でも話した通り実季さんの魔法少女としての活動をするにあたり協力者という立場になる事が考えられるので僕の方から魔法をかけない様にお願いしておきました。」


想定内の質問だったのか特に考え込む様子もなく淡々とした口調で説明するクロード。

その説明の後、

「(あと、『この世界全体』といっても『魔法少女』と僕と同じく『勇士の魔法使い』には魔法がかからない事は黙っておこう。)」

という胸の内を抱えたままにするのだった。


そんなやり取りをしている中、一向に2階から降りて来ない2人を気にしてか階段の上り口付近から父である千秋と母である早苗が実季へと呼び掛ける。


「おーい、実季。何やってるんだぁ。」

「早くクロードくんを連れて下りて来なさい。」

「・・・・・・!?」


魔法使いの少年へまだ聞いておかなければならない事が諸々有るのにも拘らず両親からの呼び声に気付き取り乱す実季を目にし、秘かにほっと胸を撫で下ろしたクロードは彼女へ徐に歩み寄りこんな台詞を述べるのだった。


「まぁ、そういう訳なのでどうか一つ宜しくお願いします。『メルシールー』こと『赤松実季』さん。」

「あ、ちょっと、クロード!」


形勢逆転と言わんばかりの態度を取りつつクロードは赤松家の面々が待っているキッチンへ向かうべく部屋を後にしようとする。

片やクロードによってうまくはぐらかされてしまった気分になるも何時までも家族を待たす訳にもいかず彼の後を追う様にして退室するのだった。

(後日、実季は突如として起こった空間の歪(ゆが)みの正体が魔法界の王によるものであった事を知るのであった。)


こうしてごく普通の中学2年生の少女、赤松実季はこの様にして魔法使いの少年ロードと出会い、魔法少女としての能力が覚醒したのに加え彼と共に生活する事となった訳なのだが、此処で時間を現在に戻す事としよう。


「やりましたね、メルシールー。今回もダークエナジーを浄化しました!」

「ふふん。一丁あがりぃ!」


ダークエナジーを浄化した事でステッキを構えポーズを取るメルシールーに対しクロードは活躍を称える。


「実季、大丈夫だった?」

「怪我とかはしてないか?」


すぐ近くの安全な場所へと身を隠していた真琴と智史はメルシールーとしてダークエナジーを浄化したばかりの実季の下へと駆け寄った。


「うん、何とも無いよ。それより、真琴と智史は大丈夫だった?」

「私達は平気よ。」

「お前が俺達に気を遣いながら戦ってくれていたからな。」


互いの無事を確かめ合った後、真琴と智史はメルシールーとして勇敢に立ち向かった幼馴染の勇姿を彼女のパートナーである魔法使いの少年と同様に称えようとする。

だが、そういう訳にもいかなかったらしく辺りの異変を察知したクロードはこの場から移動を提言する。


「メルシールー、それに真琴さん、智史さん。そろそろ、此処から逃げましょう。」


面倒な事になるのを予知した3人はその提言を素直に受け入れると魔法使いの少年と共に足早にこの場を後にするのだった。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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