失恋を救え Part.01
今回から新シリーズをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
とある休日の早朝。
眠っている最中にも拘わらずダークエナジーの出現を察知したクロードはパートナーの魔法少女である実季を叩き起こすと彼女を引き連れ朝靄が濃く残る一級河川を跨ぐ人道橋の袂へとやって来ると2人は揃って巨大化してしまったダークエナジーの姿を発見する。
「どうやら、あれがダークエナジーの様ですね。」
「うわ、何だかカエルみたい・・・。」
以前にもダークエナジーが出現した経緯が有る河川敷にてギョロリとした目付きで此方を見下ろしている仕草からどこかカエルを思わせる風貌である事を確認するクロードと実季。
その身体つきは全身真っ黒に覆われていながらも光沢感が有る関係からか徐々に登って来る太陽の光の影響でやや紫色に反射していた。
また、ルビーの様に赤い左右の瞳は焦点を合わせた際に思わず目を閉じてしまう程の眩しさを感じる。
加えて辺りに響き渡る程低く威圧感が有りながらもカエルである事を証明しているのか時折、「ゲコ、ゲコォ。」といった具合に鳴き声を発していたのだった。
「それよりも実季さん、分かっていますね?目の前には橋が架かっていますのでくれぐれも壊したりしない様に・・・。」
「もう、クロードってばまたそれ?」
何らかの拍子ですぐ近くに在る人道橋に危害が及ぶ可能性を示唆するクロードからの忠告に対し小言と受け取った実季は少しばかり鬱陶しそうにしながら反応すると後方から聞き覚えの有る呼び声が2人の耳へと届く。
「おーい。実季、クロード。」
「智史、真琴?どうして此処に?」
「ダークエナジーが現れるって聞いて駆け付けたの。」
「それは分かったけど、どうやって知ったの?」
自分の事を想ってか幼馴染の友人である智史と真琴が駆け付けてくれたと解釈した実季は一瞬、顔を綻ばせるもすぐさま何故、この場所へと辿り着いたのかを尋ねる。
すると人間界の少年少女達のやり取りを客観視した末、クロードは2人に代わってすまし顔を交えその理由について答えた。
「僕がお2人に伝えたんですよ。テレパシーを使ってね。」
クロードからの説明を受け2人がこの場所へとやって来た事についての経緯を理解した実季はふと頭の中に思い付いた所感を口にする。
「『テレパシー』?何かそれ超能力みたいだね?」
「ちっちっち。『超能力』などではありませんよ、実季さん。飽くまでも僕が用いたのは『魔法です』。まぁ、魔法の鍛錬を積み重ねていけば何時の日か貴女にも出来る様になりますよ。」
クロードが実季にそんな話をしている中、呑気に話をしているその様子を見兼ね真琴と智史が声のボリュームを少し上げ2人へ指摘する。
「実季、クロードくん。そんな事、言ってる場合じゃないでしょ?」
「何の為に俺達を呼び出したのか忘れたのか?」
「おっと、僕とした事が・・・。さて、実季さん、そろそろ参るとしましょうか。」
「言われなくても。」
真琴と智史からの指摘を受けクロードは我に返った様な反応をさせた後、本来の目的であるダークエナジーの浄化を行うべくパートナーである実季へ変身を促す事を仄めかす言葉を掛ける。
片や実季はクロードの言葉に至極当然とばかりに返答するとポケットからマッチ棒ほどの形状となったステッキを取り出すと通常時の大きさにした上で変身する際の掛け声を叫ぶ。
「メルシールー、チェンジングフォーム!」
ステッキを握り締め高らかに叫ぶ実季。
程無くしてステッキの先端かららせん状の光りが出て来ると持ち主である実季を瞬く間に包み込む。
身に付けていた衣服がシャボン玉の様に弾けると代わってメルシールーとしてのコスチュームへと変貌していく。
そして、全てのコスチュームを纏った事で包み込んでいた光りが少しずつ消えるとメルシールーの出で立ちとなった実季の姿が露わになった。
「『魔法少女メルシールー』。只今、参上!」
やや俯き加減でいた顔を正面に向けるとメルシールーは変身直後のルーティーンであるステッキを斜め上に構え踵をトンッと軽く地面に叩き付けると自身が考案した決め台詞を口にするのだった。
「ゲコオオオオ!!」
だがその直後、ダークエナジーがけたたましい鳴き声と共に或る一定の方向へと視線を傾け始める。
どうやらすぐ近くに在る人道橋へと危害を加えようとしているらしい。
「メルシールー、気を付けて下さい。ダークエナジーが攻撃を仕掛けるかも知れません。」
「分かった!」
身の危険が及ばぬ様、真琴と智史が少し離れた場所へと移動する中、ダークエナジーの異変に気付いたクロードは魔法少女へ注意するよう呼び掛ける。
するとメルシールーはパートナーの言葉に相槌を打つと地面を軽く蹴りつける様にして上空へ向け勢いよくジャンプした。
「スッゲェ。あれが本当に実季なのかよ?」
「これも『魔法少女』としての力によるものなのかしら?」
両親が医者という事も有ってか学力面では常に学年上位に君臨するものの運動面に関しては若干ながら平均よりも劣っている印象の実季。
そんな彼女が大した助走も付けずにいとも簡単に上空へと舞った事で智史と真琴は呆然としながらもその姿を目に映すのであった。
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