魔法少女、誕生 Part.37
前回投稿した『Part.36』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
「(うわぁ。凄く驚いた顔をしてるなぁ、実季さん。でもまぁ、無理もないか・・・。)」
父の千秋が連れて来た客人の正体がクロードであった事が分かり実季は声を出せない程に吃驚する。
するとその反応を目の当たりにした事でクロードは心成しか後ろめたい気持ちを覚えるとパートナーとなった魔法少女からそっと目を離した。
そんな2人の心境等知る由も無い千秋は自身の家族へ向けクロードの紹介を始める。
「紹介するよ。今日から家に住む事になったクロードくんだ。」
「初めまして、クロード・アンバー・フォールドです。皆さん、どうぞ宜しくお願いします。」
千秋から紹介される形で簡潔ながらも挨拶を行うとクロードはダイニングテーブルの椅子に着席している面々へ向けお辞儀をする。
「(『一緒に住む』?何よそれ!?)」
父の口からたった今、発せられた言葉によって本日よりクロードが自分と同じ一つ屋根の下で生活する事実を知り動揺する実季。
だが、それは実季に限った事ではなかったらしく隣に座っている妹の実莉もまた同じ気持ちを覚えるのだった。
「ねぇ、お母さん。あたし、そんな話聞いてないよ?」
「何言ってるのよ、実莉。数日前からお父さんが言ってたじゃない、聞いてなかったの?」
事実を確認すべく実莉はダイニングテーブルを隔て正面に座っている母へ小声で尋ねると早苗は些か呆れた様子を窺わせつつ事前に千秋からの報告が有ったと助言する。
「あと、そんな話クロードくんの前で止めなさい。ゴメンなさいねクロードくん、どうか気を悪くしないでね。」
「あ、いえ。お気になさらず。」
『父からの事前報告』という身に覚えの無い名目に首を傾げる実莉。
そんな実莉へ早苗は声を潜めつつ忠告をした後、クロードへ先の次女による発言についての謝罪をすると幾分やるせない想いを抱えつつも魔法使いの少年は特に気に留めていない旨の言葉を告げるのだった。
「クロードくん、私の家族を紹介しても良いかな?」
「はい、お願いします。」
早苗と実莉が何やら話しをしている事を察しながらも千秋は改まった様子で家族紹介を行っても良いかクロードへ尋ねる。
そして、その問いにクロードが返事をした事で妻である早苗、娘である実季、実莉の紹介をするのだった。
「宜しくね、クロードくん。」
「宜しく、クロードくん。」
「よ、宜しく、く、クロード、『くん』・・・。」
千秋から紹介された事を受け今度はクロードへ早苗、実莉の順番で挨拶をする。
勿論、実季もまたクロードへ挨拶をするのだがその言い方は不自然な程にたどたどしいものであった。
「はい。宜しくお願いしますね、皆さん。」
実季から『くん』付けで呼ばれた事に些か違和感を覚えるもクロードは一先ず自分を迎え入れてくれたであろう赤松家の面々に向け再びお辞儀をした。
「そうだ。ずっと立ったままでいるのも難だから一旦、荷物を置くのを兼ねてクロードくんに使ってもらう部屋の案内をさせておくれ。早苗、クロードくんの部屋だけど・・・。」
「2階の空き部屋だったわよね?さっき掃除しておいたわ。」
「ありがとう。済まないが部屋まで案内してもらえないかい?私はその間に着替えをしてくるから。」
「ええ、分かったわ。」
千秋から部屋までの案内を任せられそれに対し二つ返事で答えた早苗は席を立ちクロードの下へと歩み寄ると彼が手にしていた荷物の一部を持つ。
するとクロードの容姿を間近で目にした事でふと疑問を覚えたらしい早苗はそれを解消すべくこんな質問を投げ掛ける。
「ところでクロードくん。あなた今、何歳なのかしら?」
「はい。『この世界』に来てから11歳になりました。」
「『この世界』・・・?」
早苗の質問に素直に応じるクロードだったが迂闊な事に余計な一言を付け加えてしまう。
片やその一言を聞き捨てならなかった実季以外の赤松家の面々は反射的に何か物言いたげな視線をクロードへと向ける。
「(ちょっと、クロード!)」
「(あ、しまった・・・!)」
クロードの『失言』とそれによって生じられた家族による微妙なリアクションを感じてか実季は魔法使いの少年へ向けその旨を目で語り掛ける様にして伝える。
そして、それに気が付くとクロードはギクリとした表情を浮かべた後、余計な一言を口にしてしまった自分を悔いるのだった。
「ま、まぁ、外国から来た訳だし、多少、日本語に不慣れな部分が有るんじゃない?」
「・・・・・・?」
クロードによる更なる『失言』を危惧した実季は咄嗟の判断ではあったがフォローする事を試みる。
だが、家族の面々は先程と変わらずキョトンとした反応を示していた。
「でも、『11歳』って事は実莉と同い年って訳だよね?お父さん、お母さん。」
「あ、ああ・・・。」
「そ、そうね・・・。」
クロードに向いていた筈の何か物言いたげな視線が徐々に自分へと向けられ始めている事を悟る実季であったがこの場を上手くやり過ごすべく適当に思い付いた言葉を述べた後、両親へと話を振る。
一方でそんな長女の様子に千秋と早苗は揃って当惑しながらも取り敢えず短めの相槌を打つのだった。
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