Stand by You②
担任から臨海学校の説明を受ける———
6月のとある日。
「臨海学校では泳力別にグループを分ける」
担任がプリントを掲げ、そう言った。
「泳げる奴から順にA、B、Cの順で学年を3つに割る。クラスルームに上がってるアンケートで回答してくれ」
教室がざわつく。
「Aは流石に無理だわ」
「宮本はどれにする?」
「宮本はA確定だろ。小学校から水泳やってたもんな」
自然と宮本の周りが盛り上がる。
悠はアンケート画面を見る。
別に泳げないわけじゃない。四泳法はできるし体力もある。
けど。
宮本はA。
同じグループになれば、嫌でも毎日顔を合わせる。
胸の奥がざわついた。
Aを押していた指がCへと移る。
アンケートを送り、小さく目を伏せた。
また逃げてる。
それでも、今はこれが精一杯だった。
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カラン。
「おかえり、悠くん」
手慣れた動作で席に案内し、いつものアイスコーヒーを出す。
「今日、学校で臨海の説明があったんです」
「そっか。もう夏だね」
「天さんの学校もあります?」
「あるある。私も今年初めて行くんだ」
「そうなんですね。でもグループ分けがあるらしくて」
「えっ、うちの高校も!」
天が笑う。
「でも私、泳ぐの苦手なんだよね」
「そうは見えないですけど」
「いやいや。ビート板が大親友だよ」
「重症ですね」
「失礼だなぁ」
二人の顔が和らぐ。
「海でおぼれないか不安だよ」
「誰かは助けてくれますよ」
「そりゃそうなんだけどさ」
天は苦笑した。
「助けてもらうの、ちょっと苦手なんだよね」
「え?」
「迷惑かけてるみたいで、申し訳なくなっちゃう」
悠は少し考える。
「天さんみたいな人が相手ならそんなこと思う人いないですよ」
天は少しだけ視線を泳がせた。
「……そういうこと、さらっと言うよね」
返す暇を与えず天が続ける。
「じゃあ、私がおぼれたら助けてね」
「えー……」
「もしかして……泳げないとか?」
天がにやけながら聞いてくる。
「いや、普通に泳げますけど」
「そんな……!仲間だと思ってたのに……」
二人とも顔がほころぶ。
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7月上旬。
朝早くから学校の駐車場には、大きなバスが三台並んでいた。
眠そうな生徒たちが荷物を抱えながら集まってくる。
今日から2泊3日の臨海学校だ。
「おはよー!」
「昨日全然寝れんかったー」
「海とか小学校以来だわ」
楽しそうな声が飛び交う。
悠と同じクラスの人の集まりへゆっくり近づく。
誰とも目を合わせない。
宮本たちは既に集まっていた。
「やべ、日焼け止め忘れたわ。坂本、貸してくれん?」
「いや俺焼けたい派だから持ってきてないんよ」
「バカだろ」
笑い声が朝の校庭に響く。
悠は少し離れた場所で、その様子を眺めていた。
学級代表が点呼を始める。
一人ずつ名前が呼ばれ、短い返事が続く。
点呼が終わると、担任が声を張る。
「じゃあどんどん乗ってけー。席は自由なー」
一斉に生徒たちがバスへ向かう。
「一番後ろ!」
「俺らで最後尾とるぞ!」
そんな声を聞きながら、悠は最後の方にゆっくりと乗り込んだ。
悠は真ん中あたりの窓際へ腰を下ろした。
隣の席は、最後まで空いたままだった。
バスが静かに走り出す。
トランプやウノが始まり、笑い声が絶えない。
イヤホンを耳につけ、窓の外へ目を向けた。
青々と茂った葉の中で、一匹の蝉が控えめに鳴いていた———
ブックマークしてくれた方ありがとうございます!!
投稿すること自体初めてだったのですっごく嬉しいです。
臨海編からが本番なので感想とかよかったら書いていってください!




