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Maid for You⑤
「悠くんは、そのままでいいんだよ」天の言葉に気付かされた悠。そのまま時は経ち、そろそろ出る時間に———
会計を済ませ、立ち上がる。
「ありがとうございました」
「こちらこそ。初めての指名、嬉しかったよ」
天が照れくさそうに笑う。
「……また来ます」
「うん。待ってる」
カラン。
ベルの音が静かな店内に響く。
扉が閉まり、悠の背中がガラス越しに少しずつ小さくなっていく。
その姿が見えなくなるまで、天は扉の方を見つめていた。
「初のご指名、どうだった?」
後ろから声がした。
振り返ると、カウンターに来た店長が来ていた。
天は少し考えてから答えた。
「昨日よりは、少しだけ顔が柔らかくなってた気がする」
「そうか」
しばらく沈黙が流れる。
「悠くんには、私と同じ思いはしてほしくないな」
天が店長の方を見る。
「また、来てくれるかな」
「助けの要る人間は、一度安心できる場所を見つけたら、ちゃんと帰ってくる」
黙って頷いて遠くを見る天。
店の外では、少しだけ日が長くなった夕焼けが街を橙色に染めていた。
季節は、ゆっくりと夏へ向かっていた———
次回!いよいよ行事が始まります!!




