第三話 変態か魔王か!? 地獄にあらわれた最低の童貞
そのまま昇降口に向かう。
なにかいたら裏口に逃げる予定だ。
「拳銃がないと不安すぎる」
「あきらめなよ」
バタフライナイフと剣。
しかたないエスパーダ剣術で行くか。
教えてくれたのはフィリピン人だけどね。
校門には不審者がいた。変態だ。
鎧を来てる。
でもお胸は出して乳首ピアスだ。汚い乳首だ。真っ黒で親指くらいあるぞ……あとすげえ胸毛。
髪の毛はサイドは全部そり落として、頭頂部だけ毛を伸ばしてポニテにしてる。
……変態だああああああああああッ!!
気合の入ったBDSM野郎だ。
どんだけ乳首開発してんだよ。
もう一度言う。男だ。
もし女性だったら足を舐めるのもやぶさかではない。
もし入れ墨入れたBDSM女子に軍門に下れなんて言われたらぼくは! ヴォクァアアアアアアアアアッ!
変態が俺たちを見る。
まこちんがビクッとした。
「神竜の使徒がいるな。そこの変態。貴様か!」
「変態に変態って言われた!」
「我は魔王アダム! ダンジョンの門番なり!」
「あ、はい。この学校の生徒ッス。外出ていいっすか?」
「ふむ、神竜の使徒と天使の卵か。いいだろう通れ」
胸筋をピクピクさせた。暑苦しい変態だ。乳首が揺れてる。
ピアスチャリチャリ鳴らすなアホ!
うちのまこちんに汚い乳首見せつけないで!
「あ、あのアダムさん。また帰ってきても」
「好きにせよ、神竜の使徒よ」
「あともう一個いいっすか?」
「なんだ神竜の使徒よ」
「あの……うちの学校の一子相伝の暗殺拳とか身につけた変態どもが外に出ませんでしたか? 変態なんで一目見ればわかると思うのですが……」
見た目からして人間じゃねえしな。
「うむ、魔王候補どもだな。うむ。いくらかは外に出たぞ。生意気にも我に戦いを挑んだものは殺したがな! がーはっはっは! 貴様も我と戦いを所望するか」
おっと残骸が落ちてる。
二年の連中かな。
ま、どうでもいいや。
「いや戦わねえッス。ぼくはラブ&ピースを胸に生きてるので」
ニッコリ。
「では通るがよい。ふふ……我とお前はいつか殺し合う運命。それを憶えておけ」
「絶対嫌ッス」
変態と話し合いして外に出る。
外は東京の駅前……じゃねえな。
砂漠のオアシスみたいな集落が広がっていた。
変態じゃない方の鎧を来た男たちが槍を向けてくる。
「なにものだ!」
「摩郷島工業高校電気科一年極道仁義ッス!」
「休め」して大声でご挨拶。応援団スタイル。
挨拶は基本だね!
挨拶できない子は心が折れるまで殴られるからね!
組長とか組員に。
「摩郷島工業高校電気科一年新城真琴です」
まこちんも応援団スタイルでご挨拶。
「あ、うん。聖王国西方聖騎士団団長アルガードだ! 其の方ら、魔王が次々門から外に出たことについてなにか知らぬか?」
「えーっと、一子相伝の暗殺拳の使い手の変態ですか?」
「そ、それはわからぬが……」
「だ、団長! この子の背を見てください」
やだぁ。入れ墨見られてる。恥ずかしいわ。
ジャスくんのジャスくん見られるより恥ずかしい。
「神竜の使徒……様! なんということだ!」
「あ、それ、ただの入れ墨ッス。親の思いつきで入れられただけ……」
「いますぐ神殿に連絡せよ」
「いやだから違うって」
キン●ギドラが神竜のはずねえだろ!
面倒なことになったね。
なんか丁重に神殿にお持ち帰りされたのである。
テキトーな工場で働いてテキトーに生きていく。ヤクザの拳銃工場じゃないとこ。
そんな人生設計が崩れていく。
でも俺は思うのだ。
いまからでも間に合うと!
入れ墨入れた黒ギャル魔王に甘やかされたい人生だった。
あ、俺、処女で俺だけが好きな巨乳サキュバスくれたらどの陣営にでも入ります。
ヤクザでもなります。
魔王軍でもなんでも入ります!
おっぱい!
「なんかえっちなこと考えてない?」
「カンガエテナイヨ」
なんか神殿についた。
その、俺の最低の知能。
計測不能な偏差値ラインでも神殿って理解できる神殿がそこにあった。
乳首だけになんか貼り付けた女性神官長が出てくるのがアメコミ的お約束であるが……。
筋肉、筋肉、にくにく~♪
ひげ面のオジが出た。
ちぇ。
「ぬう!」
目がビカーッって光った。
なぜかまこちんがヒザをぺたんとつく。
……えっちだ。
おっさんもっとやれ。
ラッキースケベさせろ!
俺はアイコンタクトする。
「私の威圧をものともせぬか……どうやら本物の神竜様の使徒のようだ」
スルーかこの野郎。
しかたない言い訳するか。
「違う違う。ミーはただの被害者。わかる? 未成年虐待の成れの果てネ」
「いえ間違うはずはござりませぬ! 貴方様こそ神竜様の使徒!」
なんでもいいや。
説明しても自説曲げてくれなさそうだし。
「あ、そうそう。処女のサキュバスはいませんか?」
あ、信じられねえくらいのバカを見る優しい目をしやがった!
事実だけどね!
「女を所望と」
すると後ろから冷気が……。
まこちんから冷気ガガガガガ!
「いえ、すんません、前言撤回させてください。情報を交換しましょう。あと宿と食事と水を。彼女の分も」
「かしこまりました」
「えーっと、まず情報交換なんですが……」
情報を交換する。
いきなりこの世界に来たこと。
同級生が化け物になったこと。
一子相伝の暗殺拳を身につけた変態どもをアダムの野郎が解き放ってしまったことなど。
「ま、魔王アダム! なんてことだ……あの最強格の魔王がダンジョンに出現したなんて!」
どうやら乳首の大きさで強さが決まるようだ。
俺はまこちんを見る。
「殺すぞ」
「がるるるるる!」とうなられた。
悲しい……。
胸が大きく成長すれば乳輪が大きくなるのは必然。
ただしアダムのおっさんはただの変態。
これはディスティニー……。
「ぼくはまこちんのは桜色だって信じてるよ」
どしゅ!
鞘で突かれた。痛い!
「だってぇー。だってぇー。女の子とお話したことないから距離感わかんないんだもーん!」
ひんひん!
背中の入れ墨見ただけで学校の女の子寄ってこないんだもん!
逆に寄ってくる女の人はすごいく怖い年上ばかりだし!
ちゃんと女の子と会話したのまこちんがはじめてなんだもん!
「お母さんは?」
「俺の事ガン無視だもん!」
昔から癌細胞見るような目で見られてたな。
だから俺は優しい女の子好き!
「お、おう……ごめん……」
いいもん!
インプリントされたヒヨコみたいについてまわるもん!
するとおっさんが涙を流しながら親指を立てる。
「使徒様。すべてこの私におまかせください」
「おじたん……」
おじたんがなにを考えてるかはよくわからなかった。
ただ童貞への哀れみだけは感じられた。




