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もしも俺が若い女性が1人で切り盛りしているカフェのカウンターにいつもいるおっさんになってしまったらそのときは躊躇わず殺してくれ  作者: 梅野飴


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8/12

美術を追ってみる①~古代エジプトの絵はなんであんなにギャグ漫画チックなのか

一応調べながら書いてるけど、多分全然正確じゃないと思うからエンタメとして読んでね。怒んないでね。

俺さ、絵心がカスなんよ。

どんくらいカスかっていうと、芸能人がテレビで絵心ないフリしてるの見抜けるくらいにはカス。

運動神経悪いネタと一緒でさ、ガチで絵心ない奴からしたら天然の奴とそうじゃない奴ってすぐわかっからね。なあツヨシ。お前本当は絵上手いよなツヨシ。

んでさ、まあ当然のように美術を見る素養というのもないわけだ。

ゴッホはなんかベタベタしてるしピカソはガキの落書きみたいだしモナリザなんて謎のおばさんが座ってるだけやん。

てか美術館ってなんだよ。何が楽しいのあれ。ネットで見れるだろネットで。

「美術館に行ってる人ってどうせ美術館に行ってる自分が好きなだけでしょ」とか言っちゃうぞ。冷たく笑っちゃうぞ。

今もし目の前に本物のモナリザ置かれても「ふーん」で終わりよ。で、次に考えることは「よっしゃ売るか」よ。それ以外にないよ。


でもさ、そこで終わっちゃうと人生も終わりなのよ。

自分のわかんないこと、理解不能な物でも、それを評価している人間がいるということはそこにはなにかあんのよ。

ということは問題はこちら側にあんのよ。

それを感じ取ることのできない俺の落ち度なのよ。

と、いうわけで今日はその「なにか」を見つける旅に出るよ。

結果として絵画が好きになれば最高だし、好きにならなくても好きな奴が好きな理由、つまりその「なにか」を見つけることが出来たらそれは人生にとって有意義だからね。冷笑しなくて済むし。

美術と言っても壺だの皿だの含めると無限にあるからとりあえず今回は主に絵画に重点を置いて調べるよ。


【絵の原点を調べる】

そもそもさ、絵に限らず芸術って言うのは感覚的なもので「○○が××だから良い物」というよりは直感で好きかどうかがすべてなわけよ。

スポーツみたいに数字で測れないんよ。当たり前だけどゴッホのホームラン数で評価してるわけじゃあないのよ。

俺達も音楽の事なんて一ミリもわからないガキの頃にポルノのアゲハ蝶聴いてなんか知らんけどかっけえ!ってなったやん。あれなんよね。本来あれが正しい芸術の理解だと思うんよ。理由はないけどかっけえ。で、そこに「民族的な楽器を用いたオリエンタルなメロディがー」とか後から理由を付けていくんであって、先に理由を見つけるのは絶対違うよね。

でも、俺は35年間も生きてきてどんな絵画を見てもそうはならなかった。残念ながら。だからもう理解するには先に好きになるべき理由を見つけるしかない。

しかし、俺には絵画の技法については全く知らないし知りたくもない。その技法についてここに書いても誰も多分楽しくない。

だから歴史から探ってみる。芸術は突然は生まれない。繋いで繋いでそこにたどり着くのだから。


【古代美術】

絵の原点ってなんだろうと潜ってみたところ、どうやら古代エジプトのあれらしい。

そう、あれねあれ。あの、なんかギャグ漫画みたいなやつ。横向きの。おもしれーの。

まあ正確にはもっと昔、原始人が描いてたっぽいやつとかあるみたいだけどそれ言いだしたらキリねえからさ、ここが原点ってことでええやろ。

あれさ、俺勇気貰えてたんよ。

だって見覚えがあるから。あの横向きに。

これさ、絵心ないやつならわかってくれると思うんだけど、俺達ってさ、あんな向きでしか描けないじゃん。

人間もそうだし動物なんてもってのほかで、真横に足を四本並べることでしか身体を描けない。立体という物が表現できない。二次元の奥が出力できない。「四足歩行する!」「しっぽがしましま!」「第三の目がある!」みたいな自分の知る限りの情報を全て平面に詰め込もうするじゃん。で、それやるとあれしか描けないじゃん俺達って。

だから古代のあいつらも同じだと思ってたんだよね。あいつらもまだ奥行きを描く技術がないからあれやってたんだと思ってた。

でもなんか違うらしいよあれ。だってあいつらときたらあの技法で3000年も描いてたらしいから。あと、一時期ガチってリアル路線で描いてた時期もあったらしいけどやっぱなんかちげーなってなってあのデフォルメタッチに戻したらしい。あるよね。そういうの。連載漫画でも。3000年の長期連載だもんね。あるある。

てか流石に3000年もガチでやってあれなら絵心なさ過ぎやわ。死んだ方がいい。

まあつまり本当はもっと上手に描けるけどわざとああいうウケる描き方をしてたらしい。まるでどこぞの芸能人みたいだね。ほんとどうかとおもうそういうの。信じてたのに。返すわ勇気。

しかし、何もあいつらもバラエティ番組のひな壇に座る為のキャラ付けとしてそうしてたわけじゃなくて、あいつらにはあいつらなりのちゃんとした理由があるそうだ。

それが当時の宗教観。

古代エジプトの宗教観では絵というのは死後の依り代?的なものだったみたい。

ほら、あいつらミイラとか好きやん?なんかやたら作ってたやん?あれがあいつらの宗教観の根本で、なんか死んで魂が離れても入れ物があれば来世でもう一回自分の姿のままで暮らせるって考えてたらしいんよあいつら。

ただ俺らはさ、輪廻転生が根付いてんじゃん考えとして。だから来世っつうと別の国の赤ちゃんとして今度こそ、今度こそ、マジで陽キャに。とか異世界ハーレムお願いします。とか考えちゃうわけじゃん?

でもあいつらの言う来世ってちょっと違くて、現世の身体や記憶を持ったまま現世と隣り合ったもう一つの世界で暮らすことらしいんだわ。

なんつーかあれかな、データのバックアップみたいな感じかな?

例えばiPhone機種変するときってデータ移行すんじゃん。連絡先とか、LINEのトーク履歴とか全部バックアップしてさ。

で、そのバックアップに使ったのがミイラや絵ってわけなのよ。

「ワイの身体はこんなんで、これくらい財産あって、こんな使用人がいてー」ってデータをバックアップしたいんだけど、当時はスマホもないから詳細なデータを残すにはとりあえず絵にするしかなかったんよ。あとミイラ。

つまりあの絵は「ワイはこんな人間でしたで」っていう財産や人間関係を中心にしたバックアップデータで、ミイラは「ワイはこんな体だったやで」っていうフィジカル面をより正確にバックアップしたデータなのよ。

それらのバックアップを持ったまま、来世という新型iPhone17proにデータ移行することで、あいつらは来世でも今世のデータを引き継いで幸せに暮らせるってこと。

ほな、その為に描く絵にとって最も必要なことはなにか。

それは情報量なのよ。

奥行きを描かないという事は、逆に言えば平面にすべての情報を出すという事なんよ。

奇しくも、これは俺達ドヘタクソの絵画技法と同じやね。

四本の足を描くとき、絵が上手い人はこちらから見えない奥に向こう側の足を描くが、俺達は四本を平面に並べる。これが情報を平面に全部出すという事だ。

なんかようわからんけど、身体の骨格や、顔の輪郭等の情報を全部出そうとするとあのスタイルが一番らしい。

これがあいつらがあんなギャグ漫画チックな絵を残してきた理由。


【名が残らないことが本当の死】

ここまででわかった通り、あいつらの根底には

「現世で認識している『自分を自分たらしめているもの』には魂だけでなく器も含まれてて、死んだら別の世界でその器を再現して暮らす」

というなんか独特の死生観と哲学があるわけだ。で、そのアレコレをミイラや絵として残している。


まあ、その根底にあるのは結局死への恐怖だろうね。

ていうかすべての宗教の根底が多分死への恐怖でしょ。

死ぬのが怖いから死後の世界を設定する。天国や地獄や来世や神や天使や悪魔を創り出して死の先になにかがあると信じている。

平たく言やあ、死ぬのこえーから怖くねーような死後の設定だの見えないものの存在を作ったわけよね。

ということは、だ。逆に言えばあいつらにとって最も恐ろしいのは、死ではなくその設定のレールに乗れないことだ。

つまり、死後の世界に現世の器がない。保存してたはずのバックアップデータが破損していることだ。

先ほども言ったようにあいつらは魂そのものと同レベルで魂の器も自分であると認識している節がある。これは俺達の想像する輪廻転生とは違うかもしれない。

異世界のイケメンに生まれても魂が変わらなければ自分であると考える俺達と違って、魂があっても自分の器でなければそれは自分ではないとあいつらは考えたんじゃねえかな。

じゃあ、そんなやつらに最も効果的な罰はなんだろう。

そうだね。バックアップを、つまりミイラや絵をぶっ壊すことだね。

これらはある意味では死よりも重い罰だよね。

つまり当時のエジプト人達にとって、iPhoneを壊すのではなくバックアップデータを壊す。それが最大の刑罰だったのよ。

そんなわけで古代エジプトには顔や名前の抹消された当時の権力者たちの絵があるらしい。

ちなみに、当時はヒエログリフっていう文字も使われてて、名前とかはそれで残してたらしいけど、当然それも消されているみたい。

画像データもテキストデータも全部消えたったわけ。

しかも、死後とかに次の権力者によって消されてたりしてるらしくて。

そいつらは来世でバックアップデータが破損していて復旧できずにさぞ絶望しただろね。かわいそうにね。


というわけで、今日はここまで。

正直、本当はこのエッセイは絵画の歴史をこの記事一つで近現代まで一気に書いてやろうと思ってたのに古代エジプトの時点で思いのほかめちゃくちゃ楽しくてボリューミーになっちゃったのでいったんここで終わる。

この後の宗教画からルネッサンス、モナリザの登場に印象派、そしてピカソのキュピズムに至るまでの流れは今後ちょっとずつ書いていけたらいいなって思ってるよ。楽しいもんこれ。


あ、ちなみに俺が死んだら俺のパソコンとスマホのバックアップデータは全部壊してね。


もっかい言うけどほぼ想像だから怒んないでね古代エジプト人。ピラミッド大好き。怒らないで。

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小説短編集・コント集・詩集もあるから読んでね
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