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もしも俺が若い女性が1人で切り盛りしているカフェのカウンターにいつもいるおっさんになってしまったらそのときは躊躇わず殺してくれ  作者: 梅野飴


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カンガルーとかいうわけわかんねえ生き物

みんなもう気付いていると思うけど、カンガルーって変な奴じゃん。

どう見ても変。神が「なんか普通の哺乳類飽きたし試しにこんなんも作ってみるか」みたいな感じふざけて作ったとしか思えないバラエティ哺乳類。

でも、みんな気になってる。どう考えても日本ではお目にかかれそうにないのになぜか動物園には割といる。しかもなんか大量にいる。でも誰もマジで詳しくはない謎の動物。北半球に全然いないくせにオーストラリアにはアホみたいにいるらしい。それがカンガルー。

そんな知ってそうで知らない。でもよく考えたら面白過ぎる存在のカンガルーについて調べてみたら楽しかったよって話。俺こういうの調べるの好きなんよ。


【カンガルーの魅力】

カンガルーと言えばやっぱりあの袋やん。なんだよあれ。なんであんなところに袋が付いてんの。で、そこにガキ入ってんの。ガキのカンガルー。なにそれ。可愛すぎだろ。小学生が考えた最強の子育てみたいな発想。

更に言えばあの跳躍力。んでなんか喧嘩バカ強いらしい。やたらムキムキしてる。そこは普通に怖い。普通になんか嫌だ。めっちゃマイナスポイント。

とまあとにかくロマン要素モリモリの変な生物なんやけどさ、とりあえず今回はあの袋に主観を置いて、つまり有袋類としてのカンガルーについて図書館やらなんやらで調べてみたので発表させて。


【有袋類】

俺がカンガルーについて常々思っていた疑問。

それが「あんな便利な袋がなぜカンガルーにしかないの?」だ。

だってあれすごく便利じゃん。人間にもあったらいいじゃん。子供守れるじゃん。

ということで調べてみたら、どうやら数こそ少ないもののカンガルー以外にも袋を持つ動物はいるらしい。

代表はコアラ。なななんと実はあいつらも生まれたての赤ちゃんコアラはお腹の袋で飼っているらしい。他にもカンガルーのパチモンみたいなワラビーやらあのぶわっと飛ぶモモンガとか。そういうやっぱちょっと変なやつら。アブノーマルアニマル。

しかし、いるっつってもそんくらいで少ないことは少ない。そしてそのほとんどがオーストラリアに棲息している。

ただ、ここで二つの疑問が生まれる。

一つは、今現在もあいつらが存在しているということは有袋類は決して致命的な欠陥を抱えているわけではない。古代のクソデカ生物みたいなアホ進化ではない。トランクス系のミスはしていない。はずなのに俺達袋無し哺乳類みたいに世界の覇権を握っているわけではないのはなぜか。

そして、オーストラリアにばかりいるのはなぜか。


【有袋類の弱点】

まず、なんで有袋類があんなに便利そうなのに種類が少ないのか問題なんやけど。

これ、人間や猫みたいな胎盤哺乳類と言われる袋を持たない哺乳類の方が結局子供の生存率が高いからなんやって。

なんでやねん。どう考えてもガキむき出しよりお腹袋の中で育てる方がええやろ。と、思うところなんやけどこの秘密は妊娠期間にある。

実は有袋類の妊娠期間は10日から30日くらいしかないんやって。

人間をはじめとする胎盤哺乳類は、犬猫みたいな小型の連中ですら2カ月はあるし、ヒトや馬みたいな中型以上の動物は生まれるまで一年弱もある。

ただこれは別に有袋類の赤ちゃんの成長が早いっつーわけでもない。

実はあいつら有袋類は胎児の状態でさっさと生んじまってそれを袋の中で育ててるんよ。

つまり、有袋類のガキは人間基準で言うと数カ月そこらのレベルの胎児で、まだまだオカンのお腹の中にいるべきってこと。そのガキとも呼べない胎児を、身体の外についている袋で育てているって状態。

アホやわ。そらあかんよ。考えたらわかるやん。そら生存競争で俺達みたいな胎盤哺乳類に負けますわあいつら。

一応あのアホどもの名誉の為に言っておくと、あの袋の中は無菌状態になっていてめちゃめちゃ安全に育てられるらしい。あと超妊娠期間が短くてめっちゃ小さい胎児のまま出産することで母体が弱らないからまたすぐ妊娠できるとかのメリットもあるはあるらしい。まあ確かに人間の出産って命がけだもんな。世の母親はすごい。素敵。神。よし、もうええか?ええな?

とはいえ、やっぱ胎児を外で育てるデメリットはその享受するメリットよりも全然多くて、結局のところ種の保存というか繁栄の部分で、ある程度の大きさまで完全に体内で育てる胎盤哺乳類の安全性には勝てなかったからこの世界の主役にはなれなかったみたい。

発想は悪くなかったんだけどね。惜しいね。


【なんでオーストラリア】

しかし、ここで気になるのがもう一つの疑問。

それが「じゃあなんでオーストラリアにはめっちゃおるんあいつら」だ。

そう、生存競争でおもっくそ負けてる側のくせにオーストラリアでは生態系の主役なんだよあいつらは。

なんなのオーストラリア。別にそんな変なとこでもないでしょあそこ。

気候も普通だし。先進国だし。山も海もある。特に珍しいところもないデカい島だ。強いて言うなら先進国のくせに南半球にあるってことくらい。

なぜそんなオーストラリアでだけあの負け組どもがデカい顔して肩で風切って歩いてんのか。ぴょんぴょんしてんのか。

その謎を紐解く鍵、それはあいつらの歴史にあった。


【有袋類の発生】

有袋類が生まれたのは1億6000万年前の北米(諸説あり)だ。北米っつうとあれな。つまりアメリカな。そう、あいつらは最初からオーストラリアにいたんじゃねえのよ。アメリカンなのよ。メリケンなのよあいつら。ちなみにこの頃は恐竜とかの時代ね。

んで、そこで他の胎盤哺乳類との生存競争に負けてあいつらは南下した。南米に移り住んだ。

正確に言うと、南米にも北米にもいたが、北米側が胎盤哺乳類に負けたせいで南米の有袋類だけが生き残った形だけど。まあ南下でいいじゃん。いいじゃん。

しかしこのままでは南米にもあの怖い怖い胎盤哺乳類さん達が来て、有袋類がボコボコにされて絶滅するのは時間の問題だ。

どうしようどうしようと怯える弱小有袋類民達にここで一度目の奇跡が起こる。

それが南米と北米の分断だった。


なんと6500万年前の地球で南米と北米がバキッと割れて分断されたんだって。スケールでけー。地球やべー。

というわけで胎盤哺乳類の脅威がなくなった有袋類は一度全盛期を迎える。

怖い怖い胎盤哺乳類どもがほとんどいない南米の世界で鬼のいぬ間に繁栄しまくった。

あれね、ヤンキーがいない日の中学の俺らみたいな感じね。楽しかったよねあれ。

そしてそのまま調子こきまくった有袋類たちは南極を通ってオーストラリアにまで広がる。

そう、この時代はまだオーストラリアも南極も南米も繋がってたんだって。北米は切り離されてたのに。地球おもしろー。

しかし、そんな幸せな時間もやがて終わりが来る。諸行は無常。切ないね。

一度は分断されていたはずの北米と南米が再び繋がることになってしまった。

停学になってたヤンキー軍団がクラスに帰ってきてしまった。

「ウェーイwwwなになに有袋類君明るくなってんじゃーんwww昔はあんな暗かったのにwwww」

って感じで北米の懐かしの胎盤哺乳類共が南米に流れ込んできて、ここぞとばかりにイキりまくっていた有袋類くんたちは一気にこのヤンキーどもにボコボコにされてしまう。

天国から一転絶滅の危機。しかし、ここで二度目の奇跡が起きていた。

オーストラリアの孤島化だ。


そう、俺達がよく知っている島のオーストラリアがここで登場した。四国の兄貴分みたいなあいつが。

正確に言えば、オーストラリアの孤立の方が北米と南米の接続より先だったので、奇跡が「起きた」ではなく「起きていた」になる。

つまり、南米からオーストラリアまで広がっていた有袋類たちはオーストラリアの孤島化によって南米の有袋類とオーストラリアの有袋類として運命を二分した。

そして、南米の有袋類の道を選んだ奴らは北米のヤンキーどもにボコられてほぼ絶滅に追い込まれることとなった。ちなみに一応ギリまだ生き残ってる奴らもいるらしい。粘るね。

しかし、オーストラリアでの繁栄を選んでいた有袋類はオーストラリアの孤島化によりヤンキー共から再び奇跡的に逃れることができたのだ。

そしてオーストラリアはどんどん大陸から離れていってもう二度と大陸とつながることはなかった。

ヤンキーのいないオーストラリアで再びイケてない組の有袋類は黄金期を迎えることとなる。

今度こそ、本当に、俺達の天下だ。とあいつらは小躍りをした。だってめちゃくちゃ離れたもん。もう大陸卒業したもん。ヤンキーたちとかかわらなくていいもん。泳げないもんあいつら。

公立中から私立の進学校に行った感じね。または上京して東京の大学に行ったあの感じ。

で、実はこの時点ではまだカンガルーじゃないのよ。ここまではただの有袋類の原始みたいな小動物の話。

カンガルーの歴史って言いながらずっと有袋類の歴史だったわごめんね。

ちなみに元祖有袋類はなんか見た目オポッサムみたいな感じらしいよ。オポッサムって誰だよ。もう調べんよ。

とにかく、この元祖有袋類たちが敵のいないオーストラリアで独自に進化してカンガルーやらワラビーやらコアラになっていったわけさ。

そんなわけで、有袋類の天国、オタサーと化したオーストラリアはカンガルーやコアラだらけの島となった。んだってさ。

オーストラリアの胎盤哺乳類といえばその後船できた人間や大陸から難波してたまたまたどり着いたねずみ、アメリカから飛んできたコウモリ、人間が持ち込んだ動物たちくらいもので、そいつらは大陸で彼らをいじめた北米のヤンキーたちと違って生存競争をすることはなかった。お互いに住み分けた。まあ人間がその後開拓してコアラの住む山を切り開いたみたいな社会問題は別にしてね。そういうのは無視するよ。めんどくせえから。


【いつか行きたい有袋類の島】

そんなわけでオーストラリアは世界で唯一の有袋類天国として今もなお在り続けている。

おもしろかったね。すごいよね歴史って。

なんていうか歴史って人間だけが作っているような気がしてたけどさ、こんな人間が登場する前の動物達が生存競争で作った歴史のドラマもたくさんあるんだね。

まさかオーストラリアが奇跡で出来上がったオタサーの部室だとは思わなかったね。

こうやっていると、今までなんか微妙な先進国くらいにしか思ってなかったオーストラリアにちょっと行きたくなってきたね。

会いたいな。有袋類のみんなに。

んでさ、いつかあいつらの部室に行って俺は言いたい。

「ウェーイwwwww有袋類君たち元気―?なんか明るくなったじゃーんwww中学の頃と別人じゃーんwwww」

って。あの頃の嫌な記憶を思い出させたい。

だって俺、胎盤哺乳類だし。

人間の中ではイケてない側でも生態系で見ればイケてる側だし。

そういう奴ほど自分より世界ランキングが低いと認識した相手には強いし。

自分がされて嫌なことは他人にはしたいし。

だってほら、俺なんて、神がちゃんとしたイケてる人間作るのに飽きて作った人間版有袋類みたいなもんだし。


あ、あとついでにオーストラリアとオーストリアってなんであんな名前似てんだろって調べてみたんだけど無関係らしいよ。なんならドイツ語とラテン語で語源からして違うんだって。マジで偶然なんだって。なにそれ。つまんねえの。

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小説短編集・コント集・詩集もあるから読んでね
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