新人の挨拶無視する先輩はもはや犯罪者
歳をとると変化を恐れるようになるというけれど、たしかにそう。それはそう。
変化を恐れるというより、新しい物を受け入れることが出来なくなってくるんよ。
自分が10代の頃にさ、好きなアーティストやお笑い芸人の事をおじさん達が馬鹿にするのすっごい嫌だったし、どうして進化しているものを受け入れられないのかといつも思っていた。
だってそうじゃないの。なんで現在の若者を否定するのよ彼ら。
現在の子供や若者の文化というのは大人が作り上げてきたものじゃんか。
つまり今の若者というのは大人の歩んだ道の結果なんよ。大人が因で、若者が果よ。
てことは、若者を否定するということは自分たちを否定するということになるのよ。それはあまりにも悲しいじゃんか。虚しいじゃんか。自己否定なんてさ。
だったら、否定するよりも若者を素直にリスペクトして「若者はワシが育てた」という気持ちでいる方がよっぽどいいじゃんか。
そして、若者がいつかおじさんになった時にまた同じように10代の若者の新しい文化をリスペクトすればいい。それが好循環というもの。俺がおじさんになったら絶対そうする。
ってことを俺はマジで小学生の頃からずっと思ってきた。
思ってきた。
思ってきたのになあ……
いやーこれはね。多分今の10代や20代前半の人にはわからないと思うけど、いざ自分が文化の中心世代じゃなくなってしまったらさあ、やっぱりさあ、受け止めきれんのよねこれが。
恥ずかしいよ。ワシは。本当に。情けない。自分がこうして嫌なおじさんになっていくなんて思ってもみなかったよ。
俺はさ、自分のこと割と聡明だと思ってたんよ。
客観視できてる。物事を俯瞰で見れている賢い奴だなんて恥ずかしいことを思ってたんよ。
でも、それは結局ただの子供だったってだけだったんよ。当事者じゃないってだけだったんよ。
逆サイド!フリーじゃん!パスしろよ!ヘタクソ!ってテレビでサッカー中継観ながら言っているようなもんだったよ本当に。スウェーデン戦楽しみね。
これはね、是非ね、30代になってお若い方には苦悩していただきたいね。己の弱さとダサさと向き合ってほしい。俺と同じ惨めな思いを、ぜひぜひしてほしいな。俺はそういうのに喜びを感じるから。俺だけ辛いのとか絶対嫌だし。
【どう変わったか】
これはさ、このエッセイの最初の話で書いたことと通じるところがあんだけど、若者が愛するあらゆる文化に対して、まず嫌悪が先に来るようになっちゃったんよ。
すごいよね。嫌悪だよ嫌悪。最悪だよ。最低の人間だよ。クズだ。クズ。成り下がっちゃったよ俺。ドの付くクズ、ドクズに。にごめんよお母さん。ほんとごめん。
だってさあ、俺、中身とか知らないんだよ?
中身なんも知らないのに嫌悪してんだよ?
中身を知ったうえで「えぇ……これ俺らの頃の価値観だと普通にアウトなんだけど」という意味で嫌悪するのは別にいいと思うんだよ。いや、まあそれも結局若者からすれば老害なんだろうけどさ。
でも中身も知らないのにとりあえず嫌悪から入るのはヤバいよ。クズに肩までどっぷり漬かってる。
たとえばマッチングアプリとかさ、出会い系がいかに社会悪かってさんざ言い聞かされて育ってきた俺ら世代からしたらあんなもんが普通に広告として流れてきていることに申し訳ないんだけどむちゃくちゃ嫌悪を覚えるやん?
それも老害といや老害なんやけど。でもあれはさ、ともすれば暴走しがちな若者文化のストッパーとしての役割と言う意味で、そこに嫌悪する人間というのは必要悪だとも思うのよ。必要悪っていうか必要害。必要クソオヤジ。自認かみなりさん。
ただ、今の俺は、例えばTikTokとかBeRealとかそういう文化について、本当にただ何も知らないだけなのよ。いやTikTok知らないのは流石にジジイすぎるかもしれないがまあそこは触れないで。俺は根が陰の者だから。
重大なのは、俺がこれらを知らないくせに嫌悪してしまっているということなんよ。
ただ、若者の文化だからと言うだけの理由で、どうせ、なんか悪いものなんだろうって。どうせ、馬鹿な奴らが社会に迷惑かけているのを若さという免罪符だけで押し切ろうとしているんだろうと、どうせどうせ、バイトテロとかしてんだろって、半グレの温床なんでしょって。そしてそれを受け入れられない人間を老害と断罪して嘲笑しているんだろって、そんな風に考えて嫌悪してしまっているわけよ。
実態はなんにも知らないのに。
これじゃあ、学生の頃のバイト先にいた、新人に対して自分から絶対話しかけない、自己紹介をしない先輩パートのおばさん達と同じだよ。
なんであの人たち意地でも新人に話しかけなかったんだろ。
マジ空気悪すぎ。ちっこい弁当屋のくっさいバックヤードが空気感だけベルサイユ宮殿みたいになってたわ。
つーか新しいアルバイト先に行くたびにいつも思ってたんだけどさ、新人から先輩に挨拶する文化ってどう考えてもおかしくない?本来逆であるべきじゃない?
だって新人からしたら先輩が何者かってわからないじゃん。
名前もわからない役職もわからない。どんな人なのかもわからない。周りに味方が誰もいない。全員が知らない人という超アウェイな状況なわけよ。
バックヤードにいる絶妙な格好をしたおっさんが、年食ったバイトリーダーか、納入業者さんなのかすらわかんないわけよ。
でも先輩はちがうじゃん。お前は見りゃわかんじゃん。そいつが新人でどうしたらいいかわからない状況だってこと。見りゃ一発でわかんじゃん。
だったら先輩から積極的に自己紹介して挨拶すべきじゃん。どう考えてもその方がお互いにとって都合がいいじゃん。先輩もいつまでも新人にアワアワされているよりさっさと仲間になってくれて戦力になってくれた方が絶対いいじゃん。だから俺が先輩の立場になった時は必ずそうしていたよ。その方が合理的だからねどう考えても。
でも、大概の人はそうじゃなかったんよ。
特に歴の長いパートのおばちゃん達とか本当にわかりやすいくらい新人を無視してたよ。
店長から今日から新人来るよって聞かされて、バックヤードに手持ち無沙汰で戸惑っている明らさまな新人がそこにいるのに、まるで透明人間かのようにそれを無視しておばちゃん同士でまあしゃべることしゃべること。
しかもわざとかなんか知らんが、まあ多分わざとなんだろうけど、新人が絶対に話題に入っていけないような過去のおもしろエピソードとか、その場にいない別のパートの人の話題でめちゃくちゃに盛り上がったりするんよ。
すんごぉおおく意地が悪いな。ってずっと思ってたよ。
おばちゃん達ってなんでみんなあんなことをするんだろう。どんな風に育ってきたらあんな人間が出来上がるんだろう。そう思っていたのよ。
【嫌悪の正体は恐怖】
しかし、今ならわかるのよ。
彼女たちが新人の高校生バイト達に何を思っていたのか。
おばちゃん達ね、嫌悪していたのよ。若いバイトを。
特に何かされたわけじゃない。なんなら自覚すらないかもしれない。しかし彼女たちは嫌悪していた。新しいものに、若いものに。
そして、それは新しいものに対する恐怖からくる防衛本能だったんよ。多分ね。
新しいものは世界を脅かす。
それまでの自分の立場を、築き上げてきたその場所を、その空気を、全てを破壊する可能性がある。
そして、それはその人の資質とは一切関係がない。
新人はただ新しいというだけで破壊の可能性を秘めているのだから。
で、俺は今そのパートの諸先輩方と同じような気持ちになってしまっている。
これあれだからね?これ例に出したのがおばちゃんだっただけで男女関係ないってことだからね?俺が見てきた人がたまたまおばちゃんだったから例に出しただけだからね?男女論の餌食にしないでね。ダっリいから。
んで、この状況を文化、つまりカルチャーに置き換えるとさ、新人カルチャーに恐怖する俺はTikTokくんに挨拶しない。BeRealちゃんにも挨拶しないのよ。怖いから。
同期のXと一緒に「Xってお前昔ツイッターだったよなーww」なんて言って盛り上がっている。なんなら「おいツイッt.....あ、ごめん間違えたwwwやっぱこっちで呼んじゃうわww慣れねーww」っとか言っちゃう。名札はXなのに、新人の子たちが知らない旧姓の方でで呼んじゃう。あえてね。そして令和生まれの新人アプリ達に疎外感を与える
最低な先輩だ。ゴミだ。ゴミ。こんな風にだけはなりたくなかったのに。
【理解あるおじ君】
でもさー、だからと言って
「俺は理解のあるおじさんです。10代や20代の子達と一緒にバカやって楽しんでます。敬語とかやめて全然タメ語でいいから。俺のことはあだ名で呼んでよ。さん付けしないでよ。俺はみんなと友達だからさ」
って感じのおじさんもさあ、すげえダサいんだよねあれ。
これ本人たちは気づいていないというか、なんなら
「俺は同世代のおじさん達と違って若者と一緒に遊んでるから。若いから。仲間だから。いいおじさん。モテおじイケおじ。おじおじ」
くらいに思っているんだろうけど、若者からしたらめんどくさいんだよねこの手のおじさんもそれはそれで。
だって結局年上は年上だもん。若者としては同世代同士でつるみたいんだよ。若者に理解のあるおじさんとわざわざつるみたくないんだよ。そんなメリットないんだよ。
他に若者がいくらでもいるんだもん。別におじさんとつるむ理由ないもん。理解されてもおじさんはおじさんだもん。こいつは人間に理解があるタイプだからって言われてもわざわざクロコダイル飼わないでしょ。そんな意味分からんリスク負わないでしょ。普通にゴールデンハムスターでいいでしょ。
そんで結局年上だから気使うし敬語使っちゃうしさん付けしちゃうんだよ。そっち(おじさんサイド)がいいとかじゃないんだよ。こっちが敬語使いたいんだよ。一線を引きたいの。
一応、諸事情で一緒にはいるけど、お前はおじさんだからな。これ以上こっち側には踏み込んでくるんじゃねえぞ。保護者枠だからな。金だけ多めに払えよ。ていうラインを引いてんだよあの敬語とか敬称はさ。若者側が好きで引いてんの。おっさん側にそれを拒否する権利なんかねえの。
俺、その手のおじさんにはなりたくねえよお。オラあれだけはなりたくねえだ。だってあれ超ダサいんだもん。ダサいっていうか痛いんだもん。ああはなりたくねえよ俺。泣いちゃうよ。かつての俺が泣いちゃうよ。俺を生んでくれた母さんも泣いちゃうよ。
【じゃあどうするか】
だからさ、別に無理に若者に迎合する必要はないわけさ。痛いから。
でも頭ごなしの嫌悪は絶対しちゃダメだ。
怖い。怖いのはわかる。でももう俺達は大人なんだから怖がってちゃダメ。歯ァ食いしばって、覚悟キメて、新しい文化にはちゃんと自分から挨拶にいこう。そして、実態を知ろう。そいつがどんな奴か知ろう。話してみたらさ、結構いい奴かもしんないじゃんTikTokくんもさ。お寿司ぺろぺろばっかりやってるわけじゃないかもじゃん。
それが大人の責任だから。先輩として本来あるべき姿だから。
これ、義務化しよう法律で。違反したらあれね、5年以下の懲役もしくは300万以下の罰金ね。見つけたら即通報ね。
その上で「あ、これ無理だわ。実態を知った結果、ちゃんと正式に無理だわ」って思ったら文句を言わずに黙って去る。文句は言っちゃダメ。それはダサいから。
で、もし楽しそうって思えたら、自分はそこの保護者枠だ。ていう精神で参観日の父兄のいるあの教室の後方ラインを守りつつ、自分もその文化を享受して人生を豊かにすればいいのさ。楽しい未来が待ってるかもしれねえよ意外と。
そうやって生きてくしか、まあ、ねえかな今んとこはさ。
いやあ、辛いね。しんどいね。人生。どうなってくんだろうね俺達、これからさ。
でもまあ、歯ァ食いしばってさ。インストールしようか、TikTokをさ。
……ごめんその前に一旦ツイッター見ていい?
あ、ツイッターって言っちゃったわwwwwごめんごめんwww
ちょっ、やめて。通報しないで。




