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飛行船

 次の日の朝、ブラントンホテルで朝を迎えたジェロームは静かに起き上がりました。ブラントンホテルに着いてからバーボンを飲んでしまい酔い潰れてしまっていた為、2日酔いが取れません。ジェロームは欠伸をしながら目を擦り、洗面所へと向かいます。静かに鏡を見ながら洗顔をします。ゆっくりと髭を剃っていくのでした。マナティの象徴ともいえる鋭い牙を綺麗に研いで行きます。そして、ホテルの部屋にあったテレビを付けるとニュース番組を見ながら、ジェロームはタバコを吸います。ジェロームはベッドで再度横になろうとしました。その時、コンコンとドアの音がすると、ジェロームはドアが鳴る方に行きます。ドアを開けるとマルコが立っていました。


「おはよう、ジェローム、よく寝れたかね?」


「どうやら2日酔いみてえだ。頭がやけに重い。朝食はホテルで食べるのはよそう。今日は飛行船に乗りながら優雅に朝食を楽しみたい。今、既にそういう気分なのだよ。」


「なるほど、ならば温泉に入り、その後、ホテルを出て飛行船まで向かおうではないか。温泉に向かう準備をしよう。着替えを持って向かうぞ。」


マルコは荘厳な声でジェロームに呼びかけます。マルコの声かけを聞くとジェロームは頷きホテルの居室にあるバスタオルとフェイスタオルを取りバッグを持つと朝の大浴場へと向かいました。エレベーターホールに行きます。エレベーターをゆっくり待っていると、エレベーターがやって来まし。静かに扉が開くと、大浴場がある2階までエレベーターは向かいます。エレベーターは2階まで降りて行くとエレベーターホールに到着しました。そして直ぐにホテル2階の右の通路を渡って行くと、男性風呂の青色の旗が見えて来ます。マルコとジェロームは大浴場に入るとお湯を全身にかけて温泉を楽しみました。

 入浴を終えると、2人はブラントンホテルをチェックアウトします。マルコとジェロームはクレジットカードを出すと料金を支払いました。1人106000ペリカです。高級旅館の為値段も高いのです。


「これにてチェックアウト完了となります。ビッククルース空港に行かれますか?リムジンバスで送迎致しますが。」


「はい、これから飛行船に乗るので、送迎をお願いしたいです。」


「では、ご案内致します。ラート君、ご案内して。」


ラートと呼ばれたユキヒョウの従業員がジェロームとマルコをホテルの入り口まで案内するとホテルの目の前にリムジンバスが停まっています。スーツケースをバスのトランクの中にしまうと、ジェロームとマルコはリムジンバスに乗り込みました。2人座席のバスの中央部にある座席です。窓側にマルコが、通路側にジェロームが座ります。リムジンバスが発車時間になると静かに空港へ向けて走り出しました。そして向かい側の座席にはホテルに宿泊していたロレーナが座っていました。ロレーナは、ジェロームに挨拶をします。


「おはようございます。奇遇ですね。これからお2人も空港へ向かわれるのですか?」


「ええ、空港に向かいこれから飛行船へと乗るんですよ。ロレーナさんも飛行船に?」


「ええ、私も飛行船の旅が好きなんです。飛行機からは味わえないあの空の絶景を楽しめますから。私は資産が沢山あるから旅をできるうちに沢山旅に出たいと思っているんです。人生は一度切りですから。もし良かったら飛行船にてお話をしませんか?ジェロームさんはどちらへ行かれるんですか?」


「ぺセニアです。ぺセニアの美術館を巡礼したくてですね。そこにあるロベティームの虚像を鑑賞したいんですよ。ロベティームはどんな意志を持ってこの作品を彫刻したのかとても気になりますのでね。」


「私も見て見たいですわ。あの虚像はきっと深い意味がある。彼が晩年に彫ったとされる彫像。ぺセニア美術館には他にも沢山の美術品が展示されていますね。きっといくつ見ても満たされないんだわ。私は自分の能力の無さに嫉妬をしてしまうんですわ。」


「何を言っているんです。私はあなたの絵画を拝見した事がある。独創性に満ちた素晴らしい作品です。あなたの描いた日の出という作品をケントフィオーネ美術館で見たのです。あの濃い肌色の色使いはあなたにしか出せない色であると私は思います。私は、一度気に入った画家の作品は忘れないものですよ。」


「ジェロームさん、あなたは優しい方なのですね。」


ロレーナの旦那のカーチスは、最近冷たかったのです。カーチスと結婚する前の旦那はロレーナの作品を貶していました。ロレーナの絵画は時代遅れだと言い放ち週刊誌で酷評した過去がありました。ロレーナは、それに酷く傷付きやがては離婚を切り出したのです。ロレーナはジェロームに話し始めました。


「私が離婚した元旦那の画家がいたんですけど、私の絵を下に見て、ある時は私が描いた作品をカッターで切り裂くような最低の男でした。離婚して正解でした。それに比べてカーチスは優しくしてくれるわ。」


ジェロームとロレーナが会話を楽しんでいるとリムジンバスはビッククルース空港へと到着しました。


「まもなく空港へ到着致しました。お忘れ物がないようにご注意ください。」


ロレーナは先にバスから降りるとジェロームとマルコも続いてバスから降りて行きます。カピバラのバスの運転手は、トランクの中を開けました。そしてスーツケースを出すと、ロレーナ、マルコ、ジェロームの3人はそれぞれスーツケースを探します。スーツケースを見つけると、ロレーナが言います。


「良かったら飛行船までご案内しますわ。」


搭乗手続きを終えて、ロレーナに案内されてジェロームとマルコの目の前に真っ赤な機体の飛行船が止まっています。飛行船にはレッドツェッペリンと書かれています。ジェロームは絵画を描くための油絵具とキャンバスを持っていたのです。赤い飛行船の扉がゆっくりと開くとジェロームとマルコは階段をゆっくりと上がって行きます。そして中は綺麗な真っ赤に染まった壁と座席があったのです。窓からは外の景色が一望出来ます。そして、合図が鳴ると飛行船レッドツェッペリン号は上空へ向けて出発しました。目指すはぺセニア空港です。上昇気流に乗りながらゆったりと空の旅を楽しんでいます。マルコは外の景色を見ながら言います。


「なあ、ジェロームよ。あの雲もあの飛行機雲も上空を彷徨う雲は海から上がった水蒸気の集合体だ。空の旅はこれほどまでに心を清める力があるのだな。」


「そうだ。マルコ、かつてシュナイダー・トロフィ・レースが行われた時もだ。素晴らしい飛行機雲を残していたよ。俺はその様子を絵に描いた。さて、折角の絶景を絵に描くとするか。」


ジェロームはキャンバス(画布)を出すと、油絵の具を用意します。空を眺めながら水色の油絵の具を取り出すと、筆に色を付けてゆっくりと下地を塗っていくのでした。水色は空を現しています。全体的に水色の空の風景に一機の飛行機を描き始めます。白い絵の具を使い雲を絵に描写していきます。必死に絵を描く様子を見て、ロレーナは引き込まれていきます。


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