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もう一度、魔王を討つまで  作者: 空崎恵
古より蘇りし死竜
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古より蘇りし死竜②

右、左、屈んでは前へ飛び込み切り込む。

この動作を何度繰り返したことか。

されど死竜の勢いは落ちることなく。


「ッ!!」


死竜の腕が身体を吹き飛ばす。

完全な受け身がとれず、全身に激痛が走る。


(しまった.......)


まだ動けることを確認する。


「アレーティア、頼む...!」


「わかったわ!」


上空から攻撃していたアレーティアが降りてき、治癒魔術を施す。


「ありがとう、まだ動ける」


「気をつけなさいよ、治癒できる限界はあるんだから」


「分かってる」


再び剣を構え、死竜へ突撃する。

アレアトも、アレーティアも、ネモも。

全員が血を流しながらも、進撃させんと死竜の道を阻む。

だが、死竜はまるで虫を追い払うかのように彼らを蹴散らす。

戦い続けてはや2時間。死竜の体力に、人の子が及ぶはずもなく。カタルシス達は徐々に追い詰められていく。


「ネモッ!!危ない!!!!」


竜の尾(ドラゴンテイル)が叩きつけられ、ネモが下敷きになる。地には黄金の血が広がっていく。

追い討ちをかけるように白い炎を吐き出す。


「防御魔術.....展開ッ!!!」


ネモへ炎が及ぶ前に、割入ってバリアを張るアレーティア。白き炎を防ぐバリアだったが、それも少しづつヒビが入っていく。


「どうにか.......もって.....ッ」


絶え間なくバリアへ魔力を流し続ける。

それが幸をなしたか、炎が止む時までバリアは存在した。


「よかっー」


だが、もう魔の手は目の前にまで迫っていた。

爪がアレーティアを切り裂き、その身体を吹き飛ばす。

飛ばされたアレーティアは立ち上がることすら出来なくなっていた。


(このままじゃ全員死ぬ.....!)


「アレアト....ー」


声をかけようとした。

しかし、先程まで隣に居たはずの人の姿はなかった。

なぜならば。その者は既に死竜の攻撃によって身体を真後ろへ飛ばされていたから。


重い足音を鳴らし、近づいてくる死竜。

それは死の晩鐘を鳴らしながらやってくる処刑人のよう。

精一杯の力で、剣を構える。

死竜は腕を振り上げ、そして彼を押し潰す。

その差は圧倒的だった。人の手のひらから、虫は逃げ切ることはできるだろうか?

グシャリと、血と骨の音が響き渡る。

死竜のが退けた手の下には、大量の血を流して倒れ込むカタルシスの姿。

それを見た死竜は、どこまでも響き渡る咆哮を奏でた。




(まだ.......まだだ.......)


薄れていく意識を掴み取り、立とうと身体を動かす。

悪あがきだと知っていても、このまま死ねるわけがない。

歩けない、剣を振れない、走れない、切り込むことすら出来ない。

できることは、ただ立ち上がることだけだろう。

たが、立つことになんの意味がある?また死竜の攻撃が襲いかかってくるだろう。今度こそ、命はないだろう。それなのに、なぜ悪あがきする?

なぜ、再び剣を握ろうとする?

諦めてしまえば、楽なのに。


(そんなこと......俺自身が許さない........!)


そう思った瞬間ー


忘れていた、大事な事を思い出す。




「お前も、随分と剣が振れるようになったな!」


そう言って、師匠は小さな俺の頭をしわくちゃに撫でた。


「師匠...!やめっ........あばばばばば」


「あっははははは!!」


豪快に笑う師匠。いつもそうだった。

師匠はいつも元気で、明るくて。

毎日勇者イリアスの話をしてくれた。


「だが...そうか。いつかお前も、この村を旅立って壮大な冒険に出る日がくるのか」


ふと、師匠の顔が憂いを帯びた。

幼かった俺は、どうして師匠がそんな表情をしたのか分からなかった。


「もしお前に命をかけてでも守りたいものができた時ー」



剣を支えとし、立ち上がる。

恐怖はない。死ぬことへの恐れもない。



『このまじないを口にするといい』



剣を構える。

この剣は、聖剣でもなければ魔剣でもない。

ただの、剣だ。



(神秘をここに)



身体から、溢れんばかりの黄金の光が解き放たれる。



『人に再現出来ぬものを、我はこの手で再現する』



光が、剣へと集束していく。



『それは遥か遠き理想、遥か遠き、叶わぬ願い』



もう一度、強く剣を握りしめる。



『それを、我が手に!』

告げる(セット)



これは、聖剣ではない。

魔剣でもない。

ただの剣だ。

だが、それが奇跡(神秘)によって死竜を穿つ存在へと成り上がる。



『ロード・オブ』



剣を振り上げー



『エクスカリバー』



そして光が、地を覆い尽くした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



目を開けることすら困難な暴風の中、

僕はその光景を目に焼き付けている。

『神秘』それは己が最も知るものだった。


「ッ.......!!」


光る何かを、手に掴んだ。

それは、彼が持っていた大切なお守り。

それを強く握りしめ、この光景を目に焼きつける。


(あぁ.....こんなに、美しかったんだ.......)




全てがやみ、剣を地へ突き刺す。

今にも崩れそうな身体を支える。

だが、遠のいていく意識を掴むことは出来ず。


ガタッと、身体が崩れ落ちる。

意識が消える直前、己の体が細い腕によって支えられる感覚だけが伝わった。










>>>>一定以上の神秘を確認

>>>>()()()に近しい者の降臨を

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