失踪
「ここが....依頼に書かれていた村か?」
訪れた村は、他の村とあまり大差はなかった。
物騒な依頼が貼られるものから、もう少し何か変わった村かと思っていたが。
「とりあえず、村の人に聞いてみようか。誰が依頼人なのか、まだ分からないからね」
そういうことで、手分けして村人に話を聞きまわることになった。
「この村の人間で、最近首都に行ったやつはいねぇがな.....それに、依頼なんてそこまでねぇからよ...」
困った顔で頭を搔く。
この人の話を聞く限り、この村に依頼人はいない。
けれど、依頼には確かにここの村の名前が書かれていた.....。
「それじゃあ、この村の近くに住んでる人はいないの?」
「近くに?いや、それもいないが........」
どこか含みのある言い方。
きっと何かを知ってる。それにー
(村人が見ている.......)
覗き見するような感じ。
異端を見るような目ではない。けれど、どこか怯えた視線。
「...家に案内できる?そこで話をききたいわ」
「そ、そうだよな.....案内するよ.....」
「それで....何か知ってることがあるんですか?」
話を切り出したのはアレアトだった。
村人はどこか怯えた状態のまま、静かに語り出す。
「この村には、不定期で人が訪れるんだ.....冒険者や旅人、果てには盗賊達が。そいつらは決まって同じ場所へ向かうんだが、その後やつらの姿をみかけた者はいないんだ」
「その理由を、何か知っているかい?」
冷や汗が流れる。
目が震え、焦点が定まっていない。
「.....魔女だ.....」
「魔女....?」
「やつらのいく先には、ひとつの家が建ってるんだ.....少し村から離れた家だ....。そこには、1人の女が住んでる。決して村には干渉してこないが、依頼でやってきたやつらを迎え入れている」
「つまり....その女性が原因で、訪問者が消えていくと....?」
「きっと奴は、人を攫っては人体実験でもしてるんだ......そうじゃなきゃ、勝手に人はきえない......いつか、俺たちもまきこまれるんだ.......」
頭を抱え込む村人。
これ以上何かを聞き出すことは出来ないと判断し、アレーティアが魔術で男性を眠らせる。
ベッドに運んだ後、俺たちは家を出た。
「さて、男性はああ言っていたけど、君たちはどう思う?」
気まずさもあり、村から少し離れた所に簡易拠点を設置。話し合いをすることにした。
「魔女って言ってたよな?それと村から少し離れた家に住んでるとも言ってた」
「村人から場所を聞き出さなくても、探せば見つかるかしら?」
「恐らくはね」
「それなら、その家を探してみないか?村人の勘違いってこともあるだろうし.....」
実際、そうであってほしい。
人体実験とか物騒すぎる。
「そうだね....オレは勘違いであって欲しい。でも、人がそこへ向かってから先、誰も見かけないって言うのは何故なんだろう?」
「幽閉とか?」
「アレーティア、冗談は慎んで」
「分ってるわ。でも、私はそれくらいしか思い浮かばないわ」
「行ってみれば、わかるか....?」
「行ってみて、取り返しがつかなくならないようお祈りしとかなきゃね」
怖い。
そうならないよう祈るしかない。
「それじゃあ、明日探してみようか。一応で、固まって動こう」
「そうしましょ。何かあったら大変だもの」
何故かずっと嫌な予感が消えないが、大丈夫だと信じて眠る。
でも何故だろう。最近は1層と過去の夢を見る気がする...。




