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甘い夜
清水五条駅で降りる。
左折までの途中にある安売りローソン。
ここは、夜になると菓子パンが2割引になる。
それを知ってから、寄らずに帰れなくなった。
買い物カゴを握る指に、微かな震えがある。
あんこマーガリン、ホイップメロン、クリーム、銀チョコ、カスタードデニッシュ。
かごがだんだん埋まっていく。
「またやってる」
心の中で誰かがつぶやく。
でも止められない。
会計を済ませた袋は、ずしりと重い。
この重量はカロリーじゃなく、
どうしようもない一日の疲れと、明日への憂鬱だ。
誰か、止めて。
ほんのちょっとでいい。
レジの店員でも、通りすがりの誰かでもいい。
「そんなに食べたら太りますよ」って、
「明日仕事でしょ?」って。
でも誰も言わない。
私のことなんて誰も見てない。
明日は仕事なのに。
なのに、私は今夜もパンをむさぼる。
甘いパンで、何かを埋めている。




