正解のようなもの
パァン!
お立会い──。
時は令和、場所は京都・錦の市場。
見目麗しき女子大生ふたり、
胸に秘めたるは「旅情」と「インスタ映え」。
だがしかし、現実はそう甘くはございません。
牛串一本、三千五百円!?
目を白黒、財布は青ざめ。
地元民が集う暖簾は高く見え、
スマホのマップは当てにならず。
チェックインまで残り一時間半、
「もう無理かもね」と肩落とす。
だが、諦めたその瞬間──
運命の看板が現れた。
緑と赤の、あの安らぎの灯。
サイゼリヤ!
ふたりは顔を見合わせ、
「サイゼにしようか」と、声がそろう。
ワイン、大デカンタ。
赤も白も、遠慮なし。
アロスティチーニは一人三本。
サラダはシェアせず、
プロシュートも追加でのせる!
玉ねぎのズッパ!粋な甘みよね。
じゃんじゃん、じゃんじゃん、じゃんじゃん、じゃんじゃん!!
パァン! パァン! パァン!
これぞ学生の豪遊!
舌に幸福、グラスに友情。
笑い声は市場の喧騒より清し。
「あー、これ正解だったね。」
「うん、正解だった。」
その言葉、まるで金言のごとし。
いざホテル。
フロントにて問われるは、
「お食事はお済みですか?」
ふたり、声を合わせて──
「はい!」
見事にハモって、フロントマンも微笑む。
ロビーを抜ければ夕暮れ。
空はワインのように赤く染まり、
錦の街に夜の帳が降りてくる。
パァン!
諸君──。
旅とはな、
名所を巡ることにあらず。
自分で決めた一瞬こそが、旅の核心!
その名も、「正解のようなもの」。
──本日のところは、
ご・れ・い・こ・く でございます。




