アルバイトを完遂せよ-40
「こ、今回が、初めての外での仕事なんです」
神官女性は何とか言葉を発することができた。
「どういう結果であれ、最後まで見届けたいんです」
神官女性は震えながらも、バルナスから視線を逸らさなかった。
「ま、邪魔をしないのならば、好きにしたらよろしい」
バルナスは肩をすくめた。
「吐くぐらいならともかく、しばらく肉類が食べられなくなっても、知りませんよ?」
「か、覚悟の上です」
彼女はこの選択を生涯後悔することになる。
「さて、敗者に歌っていただきましょうか?」
バルナスは戦士の前に立った。レイブンが猿ぐつわのロープを切断する。そのままダガーを使って器用に口の中に押し込まれた布を取り出した。
「なぜ、僕を殺そうとしたのですか?」
バルナスの問いに、戦士は怒鳴り声で答えた。
「魔術師なんてヤツらは、この世から根絶やしにしねぇとならねぇんだっ! てめー、ぶっ殺してやるっ!」
バルナスは根気良く尋ねていたが、戦士の答えは全く変わらなかった。
「埒が明きませんね」
バルナスは肩をすくめた。
「次は神官さんに聞きます。うるさいので、口を封じておいて下さい」
バルナスの指示により、レイブンとガロンがマントの切れ端を口の中に押し込んだ。
「さて」
バルナスは神官戦士の前に立った。戦士同様、レイブンが猿ぐつわを除去した。
「なぜ、僕を殺そうとしたのですか?」
神官戦士は鼻で笑ってこう答えた。
「魔術師は邪悪な存在だからな。邪悪な存在は討伐されねばならない。これは、神の御意思であるぞっ!」
「全ての魔術師が邪悪だとでも、言うつもりかの?」
ガロンがたずねた。
「邪悪でない魔術師になど、一度も出会ったことがない。魔術そのものが、邪悪なのだ」
神官戦士は何の迷いも無く言い切った。
「どのような経緯で、そう判断したのですか?」
バルナスの問いに神官戦士は目をつぶった。
「話してやろう」
神官戦士の話は、こんな感じであった。
・やまあいの小さな村。
・平和な暮らしを営んでいたが、盗賊団の襲撃を受け、事態は急変する。
・大人数で攻められたうえに、盗賊団には魔術師が味方していたのだ。
・門を呪文で吹き飛ばし、村になだれ込む盗賊団。男は殺され、女は犯され、財産は根こそぎ奪われた。




