アルバイトを完遂せよ-39
「悪い魔法使いは、敗者の肉体を使って禁断の実験に手を染めるのが、昔からのお約束ですからね」
お互いに危ない笑いを口元に張り付かせていた。
“よくやるよ”
レイブンは呆れた様子でそんな2人の姿を眺めていた。ただ、警戒は緩めない。右手にダガーを握り、いつでも投擲できるように身構えていた。
盗賊は手に持っていた荷物を床に置くと、鼻歌を歌いながら腰のベルトに手を伸ばした。いつのまにか、針のように細いダガーが2本、その手の中に握られていた。
「おとしまえ、付けてもらおうかね」
盗賊はニヤリと笑うと、神官戦士の目に、ダガーを刺した。
「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
激痛の余り、絶叫を上げる神官戦士。猿ぐつわで悲鳴も封じられているため、くぐもった唸り声にしかならないのが哀れである。
渾身の力で暴れているが、身体が完全に拘束されているため、ほとんど動くことが出来ない。
「暴れてもいいけどよ、あんまりハデに暴れると、手元が狂って深く刺さりすぎちまうかもしれねぇよ?」
軽口を叩きながらも、器用に眼球をほじくり出す。完全にほじくり出した所でベルトに付けているポーチから小袋を取り出し、眼球の下に口を広げた。
「さて、プッツリと」
つながっていた視神経を切断し、小袋の中に眼球を落とす。床に転がっていた神官戦士のマントの端を切り取り、眼窩にはめ込み止血した。
「盗賊ギルドに対して、ナメた真似するから、こんな目にあうんだぜぇ」
盗賊は同じように戦士の眼球を摘出すると、黙って退室していった。
「さて、回復役のお2人ですが……」
バルナスが回復役の神官に声をかけた。神官たちの顔面は蒼白であった。
「これにて本日の講習は終了ですので、退室して頂いてかまいません」
ホッと胸を撫で下ろす2人。
「分かった」
「ここでのことは、他言無用でお願いしますね」
ニッコリ笑いながらのバルナスの言葉に、大きくうなづく2人。
「それでは、お引取りを」
男性神官が扉をくぐり、女性神官がそれに続いた。ところが、彼女はその場で振り返ったのだ。
「どうしました?」
バルナスの笑みが凄みを増す。彼女は大きく身震いすると、後ろ手で扉を閉めた。
「最後まで見届けさせて下さい」
「ほぉ」
バルナスの目が剣呑な光を帯びた。
「これから行われるのは、拷問の一種ですよ。堅気の神官の方がご覧になるには、少々刺激が強すぎると思いますが?」
バルナスのプレッシャーを受け、神官女性の顔は更に蒼白になる。




