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アルバイトを完遂せよ-38

「差し押さえ、というワケですか?」

 バルナスが盗賊の手元を見ながらたずねた。

「とりあえずな」

 盗賊はニヤリと笑った。

「もしかしたら、これだけじゃぁ、済まなくなるかもしれねぇけどよ」

「彼らの命は、私たちの手の中ですからね。渡せませんよ」

 バルナスの笑みも、危険度を増している。

「それが分かってるから、困ってるんだわ」

 戦士と神官戦士が返り討ちにあった瞬間、彼らの生殺与奪の権利はバルナスたちが握っているのだ。本来なら、殺されていても文句は言えない筋合いである。


「とりあえず、こいつらを回復させてくれや」

 バルナスは盗賊の言葉に小さくうなずいた。そのまま、控えていた2人の神官に声をかけた。

「彼らに回復を」

「わかった」

 神官たちが、縛られた戦士と神官戦士に回復魔法をかけた。


 体力を全て失い、昏睡状態になっていた戦士と神官戦士だが、回復魔法を受けて意識を取り戻した。自分たちの置かれている状況が理解できずに叫び声を発しているが、猿ぐつわのお陰で、小さな唸り声にしかならない。

「貴方たちは、負けたんですよ」

 バルナスが声をかけた。戦士と神官戦士は、はじかれたようにバルナスのことを見た。同時に、自らの身体が縛り上げられていることを理解し、全力で暴れ始める。

「少し聞きたいことがあったので、拘束させてもらいました」

 バルナスはニヤリと笑って見せた。

「敗者は勝者に従うのが世の習いですからね。いろいろと歌ってもらいますよ」


「そのまえに、いいかぁ?」

 盗賊が割り込んできた。

「オレの報酬って、どこにある?」

 神官戦士が盗賊から目をそらした。戦士は黙って首を振っている。彼らの態度で盗賊は理解したらしい。

「払えなくなったってか……」

 肩をすくめた盗賊は、神官戦士の胸倉をつかみあげ、ドスの聞いた声でこう言った。

「そんな寝言は、寝てから言えや。それとも、永遠に眠るか?!」


 神官戦士の目が泳いでいた。盗賊はしばらくにらみつけていたが、バルナスに向き直った。

「悪いが、こっちも手ぶらでは帰れねぇ。落とし前として、こいつらの目玉をもらっていっていいか?」

 バルナスはこう答えた。

「片目にしてもらえますか? 両目を渡してしまうと、迫り来る死の恐怖が見えなくなってしまいますから」

 盗賊は笑い声を上げた。

「アンタ、怖いヒトだねぇ。ウチの暗殺者だって、そこまで冷徹にはならねぇぞ」

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