アルバイトを完遂せよ-34
「かはっ……」
ライトニングの直撃を受けながらも、なんとか立っていた戦士が、フォースの追撃を受けたのだ。綺麗な放物線を描いて宙を舞い、そのまま床に叩きつけられた。どうやら、気絶しているようだ。
『万物の根源たるマナよ。戒めの縄となれ……ルーンロープ』
バルナスが倒れた戦士と神官戦士の身体を、ルーンロープの呪文で拘束した。レイブンが常に言っていた言葉を思い出し、万が一にも復活したときに襲い掛かられるリスクを最小限にしたのだ。
“敵を侮るな。息の根を完全に止めるまでは、生き返って襲ってくると思え”
「怪我はありませんか?」
仲間たちに向かってたずねた。
「視界をやられた。何も見えねぇ」
「同じです」
レイブンとジュールである。
「オレも見えなくなっちまった」
拘束されたまま盗賊が何か言っていたが、全員が無視した。
「ワシは無傷じゃ。賢者殿は?」
ガロンである。
「無傷です。老師、彼らに回復魔法を」
「心得た」
ガロンの回復魔法により、レイブンとジュールの視力は回復した。レイブンは床に置いていた自分の剣を腰に吊りながら、呆けている見学者に向かって尋ねた。
「おまえたちは、敵か? 味方か?」
「わ、我々か?!」
中年の男の神官が、すっとんきょうな声で返事をした。
「我々は、ちゅ、中立だ。君たちにはなんの含みも無い。講習の解毒と回復に雇われたダケだ」
「結構です。そのまま少し控えていて下さい」
バルナスが雇われ神官に指示を出した。
「彼らを尋問するのに、回復魔法が必要ですから」
「尋問、するのか?」
レイブンは小さなため息をついていた。元傭兵であるレイブンにとって、敵対してきた相手は確実に殺しておくのが常識である。ヘタに情けをかけ、復讐などされてはたまらないからだ。
唯一の例外が、倒した相手が貴族の場合である。降伏した貴族は、身代金と引き換えに助命を申し入れるのが一般的なのだ。
「貴族じゃねえから、身代金も取れねぇんだぞ。殺せるときに殺してしまった方が、後腐れが無くていい」
そんなレイブンの考えを、バルナスがやんわりと否定した。
「彼らを尋問することにより、この国での行動を考える指針が出来ますからね」




