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アルバイトを完遂せよ-32

“これは、なかなか……”

 目の前で繰り広げられる剣激の激しさと、護衛の2人の背中を通してさえ感じられる、敵からの強い攻撃の意思に、つい余分な魔力を込めてしまいそうになる。バルナスはそんな自分を鋼鉄の意思で押さえ込み、先ほどと寸分たがわぬサイズの光の矢を完成させていく。

『エネルギー・ボルト』

 呪文名(コマンドワード)と同時に、エネルギー・ボルトが発射される。魔法の射線上にいた仲間たちは、最小限の動きで射線をあけた。対峙している敵から見ると、目の前の相手の胸から魔法が放たれたように感じるハズである。


「くっ!」

 慌てて全身に力を入れ、魔法の着弾に備える3人。全身に気合を入れて、魔法に打ち勝とうと抵抗をしている。


 着弾。無防備に被弾した1発目と異なり、少し後ろに下がっただけで耐え抜いて見せた。威力の弱い魔法なので、抵抗に成功すればこの程度ですむのだ。

「着弾を確認。そこまでっ!!」

 冒険者の店の親父の制止の声が響いた。しかし、戦士と神官戦士の勢いは止まらない。

「魔術師っ!! てめー、殺してやる!!」

「邪悪なる存在よ、滅びよ!!」

 先ほど以上の勢いで攻撃を続けてくる。レイブンとガロンは盾を使って受け流した。

「講習は終わりだ。剣を収めろ」

「卑怯な振る舞いは、神が望まれることではないぞ」

 レイブンとガロンは、相手の武器を弾き飛ばそうと反撃を開始した。しかし、激しい剣激は、かんたんには終わらない。


 盗賊は剣を投げ捨て、両手をあげた。

「攻撃の意思はねえよ」

 そんな盗賊に向かい、レイブンは呪文の詠唱を始めた。

『万物の根源たるマナよ。戒めの縄となれ……ルーンロープ』

 盗賊の全身が、不可視の縄で縛られた。ルーンロープの呪文である。

「ジュリ! 盗賊の正面には絶対に立つなよ。少しでも動くようなら、容赦なくフォースを叩き込め!!」

 遠くからかけられたレイブンの指示に、ジュールは小さくうなずいた。少し場所を移動し、フォースの呪文を準備する。


「やはり魔術師は邪悪だっ! 無抵抗の人間を、魔法で拘束するのかっ!」

 盗賊が魔法で拘束されたのを横目で見ながら、神官戦士が怒りの咆哮をあげた。それを聞いて、戦士が腰に付けたポーチに手を突っ込んだ。

「やっぱり、魔術師なんてヤツらは、この世から根絶やしにしねえとなっ!」

 戦士は取り出した何かを、思いっきり床に叩き付けた。次の瞬間、まばゆい光が周囲を包む。対モンスター用の閃光弾である。

光弾(ひかりだま)?!」

 レイブンは慌てて腕で目を覆ったが、一瞬遅かったようだ。視界がホワイトアウトし、何も見えなくなってしまった。

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