アルバイトを完遂せよ-21
「攻め手も守り手も、武器は刃引きのヤツにしてくれ。どっちも真剣だと、相手を殺さないと守りきれなくなる」
「承知した。他には?」
レイブンが続ける。
「仲裁役は何人だ? ヤツ等との打ち合わせは、当日か?」
魔法被弾講習では、講師と受講者の他に、仲裁役と呼ばれる役割の者を用意するのが普通である。いくら講習とはいえ、魔法で殴られて冷静さを失っている受講者を、講師から引き剥がすのが仲裁役の役割だ。
「仲裁役は……」
冒険者の店の親父は一度言葉を切った。
「無しだ」
「ふざけるなっ!!」
戦士レイブンが罵声を浴びせかけ、魔術師バルナスは眉をひそめ、神官ジュールは目を大きく見開き、トワーフのガロンの小さな目が細められた。
「普通じゃないのはこちらも重々承知している。だが、仲裁役を準備するワケにはいかんのだ」
苦いものでも飲み込んだような声音の冒険者の店の親父。バルナスが激昂しているレイブンの肩を軽く叩き、落ち着かせようと試みた。
「レイブン、少し落ち着いて下さい」
「できるかっ!!」
レイブンは振り返り、バルナスを睨み付けた。バルナスはその視線を真っ向から受け止める。しばらくして……。
「勝手にしろ」
レイブンはプゥーっと頬を膨らせると、そっぽを向いてしまった。
「仲裁役を準備できない理由とは?」
会話をリードしていたレイブンに代わり、バルナスが尋ねた。
「数人ですむ助っ人と違って、仲裁役はパーティー単位で必要だからな。河の向こうからちょっと呼んでくるってワケにはいかない。主に資金的な面でな。そうなると、国内で仲裁役を探す必要がある。ここまでは理解したか?」
うなづく4人。
「この国内で仲裁役を準備するとなると、仲裁役があんたらに危害を加える可能性がある」
「危害とな?」
ガロンが口を挟んできた。そっぽを向いていたレイブンも冒険者の店の親父の方に向き直っている。
「あんたらも知ってるとは思うが、この国の連中は魔術師を目のカタキにしている」
「それは聞いておるが……」
いまいち納得していない様子のガロン。レイブンも同様の様子だ。
「冒険者の連中は、他のヤツ等に比べればまだマシだが、魔術師に対する偏見は根強い。目の前に魔法を連発して、あるていど弱った魔術師がいたら……」
「襲ってくる、なんて言わんよなぁ?」
ガロンの問いに、冒険者の店の親父は無言で首を横に振った。
「まちがいなく襲ってくるぞ。賭けてもいい」




