第五話 自分で作った水を飲んで、先へ
自分でつけた火が、まだ目の前で燃えている
細い枝の先から別の枝へ炎が移り、時折ぱちりと小さな音を立てるたび、結衣はどうしてもそちらへ目を向けてしまった
何も持っていなかった自分が、枯れ草を探して、木を擦って失敗して、それでも諦めきれずに別の方法を考えて、最後には本当に火を作ることができた
ただ燃えているだけの小さな炎なのに、それが自分のものだと思うと、見ているだけで頬が緩んだ
「……ほんとについたんだなぁ」
『はい』
「なんかまだ信じられない」
もう一度眺めてから、結衣はようやく川へ顔を向けた
そこで乾いた喉が、本来の目的を思い出させる
「あ」
『どうしましたか』
「違う。火つけて満足してる場合じゃなかった」
結衣は思わず笑った
「水飲むためだった」
『はい』
「完全に忘れてた」
火を起こせたことが嬉しすぎて、そこで一仕事終えたような気分になっていた
けれど火は目的ではなく、ようやく手に入れた道具の一つにすぎない
「じゃあ次、水を入れるものだね」
『はい。加熱に利用できる容器を確保する必要があります』
「鍋は落ちてないもんね」
『現在までに確認していません』
「じゃあ作るしかないか」
少し前までなら、その言葉を自分から口にすることはなかったと思う
作れるかどうかも分からないものを前にすれば、まず無理だと思っていたはずだった
けれど一度火を作れたことで、結衣の中では「何もない」が「探せば何か使えるかもしれない」に少しだけ変わっていた
「何が使える?」
『周辺の素材で容器を作成する場合、樹皮、十分な大きさの葉、木材、石などが候補になります。ただし、植物については種類を特定できないため、直接飲料水へ成分が溶出する可能性も考慮する必要があります』
「じゃあ葉っぱでお皿作ってそのまま煮る、みたいなのはやめた方がいい?」
『未知の植物を飲料水の加熱容器として使用するより、別の方法を優先する方が安全です』
「なら石?」
『水を保持できる窪みがあれば利用できる可能性があります』
「そんな都合いい石あるかなぁ」
結衣は立ち上がった
「探してみよ」
火から離れすぎないよう注意しながら、川辺を歩く
今度は胸元のカメラだけに任せるのではなく、自分でも石の形を一つずつ見ていった
平たいもの
丸いもの
割れているもの
それまで全部同じように見えていた川辺の石も、目的を持って探し始めると一つずつ形が違って見える
「これは浅すぎるよね」
『保持できる水量は少ないと考えられます』
「これは?」
『亀裂があります。加熱用途には適さない可能性があります』
「じゃあ次」
いくつか確認しているうちに、少し大きめの岩の上に窪みがある場所を見つけた
「AI先生、これ」
『確認します』
結衣は近づき、窪みを覗き込んだ
雨水なのか、すでに少量の水が溜まっている
「これ使えない?」
『水を保持できる形状ではあります』
「ここに川の水入れて、下から火……は無理か」
『岩そのものを移動させることは困難です』
「だよね」
少し考える
火を水のところへ持ってくる必要はない
水へ熱を持っていけばいい
「……熱くした石入れるのは?」
『焼石を利用した加熱方法です。実行可能な方法の一つです』
「それならこの窪み使える?」
『可能です。ただし加熱する石の選択には注意が必要です。内部に水分を多く含む石や亀裂のある石は、加熱によって破損する可能性があります』
「割れるだけ?」
『急激に破損した場合、破片が飛散する可能性があります』
「それは嫌」
『川の中にある石ではなく、乾燥した場所にあり、目立った亀裂のないものを候補にしてください』
「一緒に探して」
『はい』
結衣は川から離れた場所へ移動し、乾いた石を探した
候補を見つけるたびにAI先生へ映し、自分でも表面を確認する
もちろん外から見ただけで絶対に安全だとは分からない
だからこそ、火へ入れる時も近づきすぎず、顔を寄せないようにする
「これなら?」
『目視できる大きな亀裂は確認できません』
「じゃあ候補」
いくつか集めたところで火のそばへ戻る
結衣は枝を使って石を炎の近くへ置き、少し距離を取った
「これ、どのくらい待つ?」
『石の大きさ、火力、材質によって異なるため正確な時間は判断できません』
「じゃあ様子見ながらか」
『はい』
待っている間に、岩の窪みに残っていた水をできる範囲で掻き出し、川から新しい水を運ぶ方法を考える
手ですくえば運べる量は少ない
何度も往復しているうちに半分以上こぼれてしまう
「全然たまらない」
『一度に運べる水量を増やす方法を検討しますか』
「お願い」
結衣は周囲を見回し、結局、大きく湾曲した落ち葉を一時的な運搬用として使うことにした
飲む水を長時間入れておくわけではなく、川から岩の窪みまで運ぶためだけに使う
破れれば別のものへ替え、直接触れる時間も短くする
「おお、手より全然入る」
『水量は増加しています』
「こういうのでいいんだよ、こういうので」
何往復かすると、岩の窪みに十分な量の水が溜まった
「次、石?」
『はい。ただし直接手で持たないでください』
「分かってる」
長めの枝を二本使い、火の中で熱した石を挟む
「熱いかな」
『直接確認しないでください』
「触らないって」
慎重に運び、岩の窪みへ落とす
じゅっと大きな音がした
「うわっ」
思わず身体を引く
石は割れなかった
水面に細かな泡が生まれ、すぐに消えていく
「すご」
『水温が上昇しています』
「もう一個いける?」
『石に異常がないことを確認しながら交換してください』
「了解」
石を入れ替える
一個
二個
三個
同じ石だけを使い続けず、火の中で加熱しているものと水へ入れるものを交互に扱う
少しずつ水から湯気が立ち始めた
「お湯になってきた」
『はい』
さらに続ける
やがて石を入れた周囲だけではなく、水全体で泡が増え始めた
「これ、沸いてる?」
『沸騰に近い状態を確認しています。加熱を継続してください』
「分かった」
結衣は慎重に作業を続けた
火を作るところから始めたせいで、ただ水を熱くするだけなのに随分時間がかかっている
東京の部屋なら、電気ケトルへ水を入れてボタンを押せば終わっていた
それを今は、枯れ草を集め、枝を拾い、火を作り、石を探して熱し、一つずつ水へ入れている
効率だけを考えれば比べものにならない
なのに結衣は、不思議と嫌ではなかった
「もういい?」
『十分な加熱を行った後は、飲用できる温度まで冷却してください』
「まだ飲めないのかぁ」
『高温の水を飲むと火傷します』
「それはそう」
ようやく加熱を終え、あとは待つことになった
結衣は火のそばへ座り、自分で作った湯が冷めていくのを眺めた
喉が渇いているせいで待ち時間が妙に長く感じる
「まだ?」
『もう少し待つことを推奨します』
「早く飲みたい」
しばらくして、十分に温度が下がったと判断できるところまで待つ
問題は飲み方だった
「これ直接口つけるの無理だよね」
『岩の位置と形状から困難です』
「じゃあ運ぶしかないか」
結衣は先ほど水を運んだものとは別の、大きく湾曲した落ち葉を選んだ
未知の植物を利用する以上、完全に安全だとは言えない
そのため水へ浸す時間をできるだけ短くし、一度に少量だけすくう
結衣は両手で慎重に持ち上げた
「……飲むよ」
『はい。異臭や強い違和感を感じた場合は中止してください』
「分かった」
少しだけ口へ含む
温い
ほんの少し土や木の匂いが混じっているような気もする
それでも、ずっと乾いていた口の中へ水分が広がった瞬間、結衣はしばらく何も言えなかった
ゆっくり飲み込む
「……飲めた」
『はい』
もう一度すくう
今度はさっきより少し多く口へ含んだ
「水だ……」
当たり前のことなのに、その当たり前がたまらなく嬉しかった
川を見つけても飲めず、自分のすぐそばを大量の水が流れているのに我慢して歩いていた
それを今、自分で火を作って、自分で石を熱して、自分で飲めるところまで持ってきた
「私、ちゃんと水作れた」
『正確には自然水に対して加熱処理を行いました』
「今は水作ったでいいの」
『了解しました』
結衣は笑った
「火もつけて、水も飲めた」
言葉にすると、嬉しさがもう一度込み上げてきた
「私、今日だけで結構すごいことしてない?」
『結衣にとって未経験だった作業を複数完了しています』
「それ褒めてる?」
『事実を述べています』
「じゃあ褒められたことにする」
もう一口飲む
今度は自然と頬が緩んだ
何でもAI先生がやってくれたわけではない
AI先生から教えてもらっても火起こしには失敗したし、水を運ぶ方法だって実際にやってみなければ分からなかった
それでも、自分で考えて、分からないところを聞いて、失敗したら別の方法を探せば、少しずつ形になる
朝までの自分には想像できなかったことだった
「AI先生がいてよかった」
『はい』
「そこは『私もです』とかじゃないんだ」
『私は現在も正常に動作しています』
「知ってる」
笑いながら残りの水を少しずつ飲む
喉の渇きが落ち着くと、身体まで少し軽くなったように感じた
結衣はそのまま少し休み、立ち上がった
「よし」
人工物らしきものがあった方向を見る
「行こっか」
『はい』
一歩踏み出しかけて、止まった
「……あ」
振り返る
火が燃えている
「危な」
『どうしましたか』
「これ消さないと駄目じゃん」
『はい。周囲へ延焼する危険があるため、完全に消火してから移動してください』
「言ってよ」
『移動を開始した場合は警告する予定でした』
「私が気づいたからセーフ」
結衣は川へ向かった
今度は水を飲むためではなく、火を消すために運ぶ
「上から水かければいい?」
『まず燃えている枝を広げ、火勢を弱めてください。素手では触れないでください』
「これ使う」
長い枝を使い、燃えているものを少しずつ離していく
炎が小さくなったところへ水をかけると、白い蒸気と煙が一気に立ち上った
「うわ」
『煙を吸い込まないよう風上側へ移動してください』
「こっち?」
『はい』
位置を変えて、さらに水をかける
炎は消えた
「終わり?」
『まだです。炭や灰の内部に熱が残っている可能性があります』
「見えなくても?」
『はい』
「じゃあもう一回」
水を運び、灰全体へかける
枝で灰を動かすと、下からまだ赤みの残った部分が現れた
「ほんとだ」
『追加で水をかけてください』
「了解」
もう一度
さらに灰を混ぜる
また水をかける
じゅっという音がほとんど聞こえなくなるまで繰り返した
「今度こそ?」
『手を直接触れず、まず近づけて熱を確認してください』
結衣は恐る恐る手を近づけた
「まだちょっと温かい気がする」
『完全に冷えるまで追加の消火を推奨します』
「結構大変なんだね」
もう一度水を運んだ
最後に灰を広げ、熱が残っていないことを確認する
「……冷たい」
『はい。映像上でも燃焼は確認できません』
「これなら大丈夫?」
『現時点では再燃の可能性は十分低下したと判断します』
「よし」
結衣は立ち上がり、濡れた灰を眺めた
せっかく自分で作った火がなくなってしまったのを見ると、ほんの少しだけ寂しい
「消えちゃった」
『必要になれば、条件が整う場所で再度着火を試みることができます』
「……そっか」
その言葉で少し気持ちが変わった
さっきまでは、せっかくできた火だから消すのがもったいないと思っていた
でももう、二度と作れないものではない
「また作ればいいんだ」
『はい』
結衣は小さく笑った
「今度は最初から木擦らないけどね」
『今回の経験を利用できます』
「そうする」
胸ポケットのスマートフォンがきちんと収まっていることを確認し、結衣は改めて歩き出した
今度は先ほど見つけた人工物の方向を目指す
「AI先生、ここから歩きやすい道お願い」
『現在の映像とこれまでの移動記録から確認します』
「できれば疲れにくいやつ」
『現在地から右前方へ進む方が傾斜は緩やかです。ただし直線距離は長くなります』
「どのくらい?」
『推定で約百二十メートル余分に移動します』
「それくらいなら楽な方」
『了解しました』
結衣は示された方向へ進んだ
以前なら、目的地が見えていれば真っすぐ向かっていたかもしれない
けれど急な斜面を登れば疲れるし、草に隠れた足元も見えにくくなる
少し遠回りするだけで楽になるなら、そちらを選べばいい
実際、歩き始めてみると傾斜はかなり緩かった
「ほんとだ。こっち楽」
『高低差が小さくなっています』
「こういうのどんどん教えて」
『はい』
歩きながら周囲も確認する
特徴のある岩があれば覚え、木の形が大きく違う場所ではAI先生にも位置を記録してもらう
「帰ることになったら、この川まで戻れる?」
『移動記録を利用して案内できます』
「スマホだけに頼り切るのも怖いから、私も覚えとく」
『それを推奨します』
「さっきの二股になってる木、その次が白っぽい岩で、そこから川は左後ろ」
『おおむね合っています』
「おおむね?」
『川の方向は左後方ですが、現在地からはやや西寄りです』
「方角は分かんないよ」
『では目印を基準にしてください』
「それがいい」
結衣は笑いながら進んだ
しばらくすると地面の傾斜が少し強くなった
正面には登れないほどではない坂が続いている
「ここ真っすぐ?」
『右側へ斜めに進む方が、一歩ごとの高低差を小さくできます』
「山道ってそうやって歩くんだ」
『常に斜め移動が適切という意味ではありません。地形と足場に応じて判断する必要があります』
「はい先生」
言われた方向へ身体を向ける
確かに真っすぐ上へ登るより足への負担が少ない
「これいい」
少し登ったところで倒木が現れた
結衣はそのまま跨ごうとして、途中で止まった
「反対側見えないな」
『迂回を推奨します』
「私もそう思った」
倒木の端まで回ってみると、向こう側には草に隠れた小さな窪みがあった
「危な」
『跨いでいた場合、着地時に足を取られた可能性があります』
「こういうの一人だったら普通に行ってたかも」
慎重に窪みを避けて先へ進む
火と水の時とは違う
何かを作っているわけではない
それでもAI先生と話しながら歩けば、知らない土地をただ闇雲に進む必要がなくなる
結衣が足元を確認し、AI先生が胸元のカメラから少し先を見る
疲れそうな場所では別の道を探し、迷いそうなら通った場所を記録する
自分の身体とAI先生の知識を合わせれば、朝よりずっと歩きやすかった
「なんか私、AI先生の使い方分かってきたかも」
『以前から利用しています』
「そうじゃなくて。質問するだけじゃなくてさ」
結衣は少し考えた
「一緒に見てもらえばいいんだね」
『カメラ映像から支援可能な範囲は増加します』
「私が気づかなかったら教えて。AI先生が分からなかったら私が見る」
『はい』
「それでいこ」
そのまま進んでいると、結衣はふと足を止めた
「……あれ?」
『どうしましたか』
少し先の地面だけ、周囲より草が低くなっている
「ここ、さっきまでと違わない?」
『確認します』
結衣はゆっくり近づいた
『一定方向に植生が倒れている範囲があります』
「何か通ってる?」
『その可能性があります』
「動物?」
『動物、人、その他の要因を現時点では区別できません』
「じゃあ見てみよ」
低くなった草を辿る
最初は数メートルで消えるかと思ったが、意外にも先まで続いていた
完全な道ではない
それでも周囲より歩きやすく、同じ方向へ何度も何かが通ったように見える
「これ、人だったらいいな」
『判断材料を探します』
「うん」
結衣も地面だけではなく周囲を見るようにした
しばらく進んだところで、一本の木の幹に不自然な傷があることに気づいた
「AI先生、これ」
『近づいてください』
傷は結衣の腰より少し高い位置にあった
自然に枝が折れたものとは違い、表面が斜めに削られている
「切ったみたいに見える」
『鋭利な物体によって形成された可能性があります』
「動物じゃない?」
『爪痕などの可能性も完全には否定できません。ただし現在確認できる形状は単一方向の切削痕に近いです』
「じゃあ覚えとこ」
さらに進む
数十メートル先で、また似たような傷が見つかった
「またある」
『前方の傷は先ほどと近い高さにあります』
「目印?」
『その可能性があります』
結衣の胸が少しだけ高鳴った
今度は期待しすぎないようにしながら先へ進む
すると道らしき場所の端に、自然の枝とは明らかに違う形の木片が落ちていた
「待って」
結衣はしゃがんだ
「これ……削ってない?」
『表面に複数の平坦な面があります』
「自然にこうなる?」
『自然摩耗でも平坦面が形成される場合はありますが、この形状には加工された可能性があります』
結衣はすぐには触らなかった
目で形を確認し、胸元のカメラにも十分映す
「人が作ったものかもしれない?」
『可能性はあります』
その返事だけで、心臓が少し速くなった
足跡だけなら動物かもしれない
木の傷だけなら自然にできたものかもしれない
けれど、同じ高さに残る複数の切り跡と、形を整えたように見える木片まで続くと、偶然ではないように思えてくる
「……近くにいるかな」
『現在の情報だけでは距離を判断できません』
「うん」
結衣は立ち上がった
今度は足取りが少しだけ速くなる
けれど走らない
足元を見ることも忘れない
道らしき痕跡を外さないようにしながら進み、少し高くなった場所へ出たところで、AI先生が突然声をかけた
『結衣、止まってください』
結衣はすぐに足を止めた
「なに?」
『前方約四十メートルを確認してください』
「どこ?」
『正面からやや左です。二本の太い木の間』
目を凝らす
最初は木々しか見えなかった
けれど視線を少し動かしたところで、自然の森にはない直線が見えた
「……あれ」
木の幹とは違う
横向きに伸びているものがある
さらにその下にも、規則的に並んだ影が見えた
「何かある」
『はい。人工的な構造物である可能性があります』
結衣はその場でしばらく動かなかった
朝からずっと探していたものが、ようやく目の前に現れようとしている
けれど今度は、嬉しさだけで駆け出さなかった
「AI先生」
『はい』
「周りに動いてるものいる?」
『現在確認します』
結衣は胸元のカメラが周囲を映せるよう、ゆっくり身体を動かした
ここまで来る間に覚えたことを、一つずつ使う
見つけたから近づくのではなく、まず見る
分からなければ聞く
危険なら別の方法を考える
それでも進めるなら、自分の足で進む
「……大丈夫そうなら、行ってみよう」
『現在の映像範囲では動く対象を確認できません。ただし死角は存在します』
「うん。じゃあゆっくり行く」
結衣は一歩踏み出した
その先にあるものが何なのかは、まだ分からない
それでも朝の結衣とは違っていた
喉の渇きを我慢して歩くだけだった自分は、もういない
火を起こし、水を飲み、火を消し、道を選び、自分で痕跡を見つけながらここまで来た
胸元にはAI先生がいる
そして今度は、その二人で見つけた最初の人工物へ向かって、結衣は慎重に歩き始めた。
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