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気が付くと

「おい。」

(……ん?)

何やら声が聞こえる。

「起きろ!」

目を開く私。どうやら無事朝を迎える事が出来たらしい。確かあの時私が目にしたのは

(熊だったはず。)

(前足で思いっ切り顔面を。)

までは覚えているのだが、それ以降の記憶は無い。寺の修行僧に助けられたに違いない。

「ありがとうございます。」

の私の発言に。

「えっ!?」

の返答が。

「熊から私を助け出していただきまして。」

「熊!?でありますか?」

「えっ!?前夜洞穴で熊に狙われた所を……。」

「いえ。ここには熊は居ません。」

「えっ!?」

「いつもより起きるのが遅かったので、起しに来ただけでありますが。」

(ん!?状況が呑み込めない。)

「私は寺に……。」

「いえ。昨夜はずっとここにいらっしゃいましたが?」

「ここは寺では?」

「敷地内に無いわけではありませんが。」

「えっ!?」

ふと頭に手をやると

(前髪が無い。)

驚く私が手を更に後ろにやると

(……これはちょんまげ?)

「どうした?」

の声に目をやると、そこに現れたのは

(甲冑に身をまとった侍。)

(えっ!?まだツアーが続いているの?)

「今は大事な時期にある。上司が寝過ごしては士気に関わる。慎んでいただきたい。」

(上司?)

寝坊はいけない。遅刻もいけない。それは承知している。しかし私は上司と言う立場には無いし、今はツアーに参加中。そんなわけが無い。そうか。これは私を現実に引き戻すためのアトラクションだな?と思っていた矢先。

「軍議を始める。すぐ行くぞ。」

の声が。

(軍議!?とはいったい……。)

「決まっておろう。この局面を如何にして打開するかの軍議に決まっている。」

(この局面?)

「おぉ。徳川に囲まれたこの状況を何とかしなければならぬ。それはそちも同じであろう?」

「……すみません。まだ寝起きのため状況を飲み込む事が出来ていません。」

「酒でも飲んだのか?まぁしょうがない。私でもそうしたい所である。しかし私はこの城の総責任者である故我慢しておる。そう言う其方も目付であろう?目付は殿の目だ。つまり皆は其方を殿と同じと位置付けている。斯様な深酒や寝坊はそのまま殿への忠誠心を揺らがせる事になる。慎んでいただきたい。」

(殿と同じ?)

「以後気を付けます。」

「うむ。」

「1つ教えていただきたい事があります。」

「何だ。申して見よ。」

「はい。私は……。」

いったい誰なのでありますか?


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