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憑依代行黄泉代 死者憑き高坂編 第四幕


「習志野……」


 不動はリングを見つめていた。


 かつての弟子。


 今はもう、この世にいない男。


 その習志野が。


 目の前にいる。


 正確には――


 習志野の姿をした高坂が。


「……俺が相手をする」


 不動が一歩、前へ出た。


 その時だった。


「不動さん」


 リングの外。


 観客席の奥から声がした。


「アンタが出る幕じゃねぇやい」


「……誰だ!?」


 会場がざわめく。


 すると。


「――どすけぇ!!」


 大歓声。


「うおおおおおおおおお!!」


「来たぁぁぁ!!」


荒法師(あらぼうし)だぁぁぁ!!」


 観客席から、一人の大男が姿を現した。


 巨大。


 あまりにも巨大。


 身長――194センチ。


 体重――155キロ。


 不動にも劣らない大巨漢。


 裸の上半身は分厚い筋肉で覆われ、腰には黒いまわしを思わせるコスチューム。


 男はゆっくりとリングへ向かって歩いてくる。


「……荒法師(あらぼうし)


 不動が笑った。


鉄山(てつざん)……!」


 リングへ上がる。


 ドスン。


 その一歩だけで、リングが揺れた。


「どすけぇ!!」


 再び会場が沸く。


 鉄山は不動を見る。


「不動さん」


「なんだ?」


「習志野の相手は、俺に任せてもらいやす」


 不動はしばらく鉄山を見つめ――


「ガハハハ!」


 豪快に笑った。


「習志野!」


 高坂が振り向く。


「死ぬなよ」


「……!?」


 不動はリングを降りた。


「後は任せたぞ、鉄山」


「へい!」


 鉄山は掌を構える。


 高坂と向き合う。


 身長178センチの高坂。


 決して小柄ではない。


 だが。


 194センチ、155キロ。


 荒法師鉄山と並ぶと――


 まるで大人と子供だった。


「……」


 高坂は鉄山を見上げる。


「でけぇな……」


「お前が、不動さんの一番弟子――」


 鉄山が腕を組む。


「地獄の習志野か」


「……」


「随分、ちいせぇな」


 高坂の眉が動く。


「……」


 鉄山はニヤリと笑う。


「ほざいてろ」


 高坂が吐き捨てる。


「……デブ」


「…………」


 会場が一瞬、静まった。


 鉄山の額に青筋が浮かぶ。


「……今」


 一歩。


 リングが揺れる。


「なんつった?」


「デブって言ったんだよ」


「…………」


 鉄山の肩が震える。


「どす……」


 拳を握る。


「どすけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 会場が爆発する。


「うおおおおおおおお!!」


「鉄山いけぇぇぇ!!」


「地獄の習志野をぶっ飛ばせぇぇ!!」


 リングサイドの男が立ち上がる。


「両者、中央へ!」


 高坂と鉄山が歩み寄る。


 巨体と細身。


 まるで勝負にならない。


 しかし。


 高坂は怯まない。


 鉄山も笑っている。


「……習志野」


「なんだ」


「お前が本物かどうか――」


 鉄山が構える。


「俺が確かめてやる」


 高坂も拳を握った。


「来いよ」


 鉄山が腰を落とす。


「――どすけぇ!」


 高坂が身構える。


 観客が息を呑む。


 そして――


**カァァァァン!!**


 ゴングが鳴った。


 地獄の習志野。


 対するは――


 荒法師鉄山。


 今。


 異様な一戦が始まった。


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