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揺れ動く
神崎からもらった古い記事。
見慣れたはずの自分の部屋。
なぜか居心地が悪かった。
記事の最後。
犠牲者の名前。
『黄泉代 詩織(5)』
俺は息が止まった。
「……嘘だ。」
手が震える。
「詩織は。」
「死んだのか。」
記事の余白には、神崎の字で一言だけ。
『君は、この日のことを思い出してはいけない。』
俺は記事を握り潰した。
「どうして。」
「どうして忘れた。」
窓の外を見る。
夜空に月が浮かんでいた。
その光を見ていると。
頭の中で、小さな女の子の声がした。
『お兄ちゃん。』
『泣かないで。』
振り向く。
誰もいない。
幻聴だ。
そう分かっている。
でも。
胸の奥で確かに何かが動き始めていた。




