表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男性Vtuber四人の担当になったが、全員普通ではなかった話  作者: 弓園千尋
第1章 社長、無茶振りをする。
PR
7/30

7 突然のゲームのお誘い

 呆気にとられる俺をよそに、健吾が巧に話しかけた。

「こんにちは、巧さん。初対面の人がいるのに、いきなりそれはないでしょう」

「そうだよ、巧。まずは挨拶でしょ」

「でも、それって必要か?俺らがライバーの話を蹴ったらもう関わることはないだろ」

 巧の言葉に俺は背筋を正し、腹に力を込めて名乗った。

「あの、初めまして。ライバー事務所Postnuvila Worksの津和徹和と言います。よろしく御願いします」

 すると、巧は一瞬意表を突かれたような顔をしていたが、次の瞬間には笑い出していた。

「面白いな、お前。うん、気に入った。俺は巧。こいつは司。そこの氷上健吾の知り合いだ。で、もう自己紹介は終わったんだし、ゲームをやろうぜ、VEM。そっちとこっちでデュオ戦な」

 VEMとは、正式タイトル「Vivere est militare」の略で、VR方式のFPSだ。

 司が呆れたように言う。

「巧、紹介が雑」

「えー、これ以上口で細々言ってもまどろっこしいだろ。ゲームやればいろいろとわかるんだし」

「それはゲームをやりたい口実でしょ。同じチームでやるんならともかく、デュオ戦で対戦してたらわからないんじゃない?それとも、巧は津和さんと組むつもりなんだ?」

「んなわけないだろ。俺はお前と組む。これは決まってる話だ。そうじゃなくて、敵として戦ってるのを見てるだけでもわかるもんがあるだろ。あと、設定で近接ボイスチャットをオンにしておいたから、交戦中に話したりできる」

「もしかして、もうこのために試合のセッティングまでしたんだ?珍しく初対面の人に会うつもりでいるなと思ったらこれとはね」

 二人のやりとりをきいていた健吾が小声で俺に言った。

「多分、ゲームをしないと巧さんとはこれ以上話ができませんよ。どうします?」

「勿論プレイする。ただ、Twitchの配信動画を見た限りだと、俺は二人のレベルに及ばない」

「僕なんかもっと足りてないですよ。大丈夫です、多分、ゲームが下手だからという理由でデビューの話を蹴られるということはないと思うんで。そういうのは分けて考えられる人なんで」

「おーい、話はまとまったか?」

 画面の向こうから巧が呼びかけてきた。健吾が答える。

「はい。試合をやるのはいいですよ。何時からにしますか」

「面子揃ってるんだし、今すぐだろ」

「でもこっちはゲームができる環境じゃないんですよ。僕たち、ツカズさんの会社の会議室にいるんです。使ってるパソコンもゲームができるようなスペックはないし、VRゴーグルだってないし」

「そんなの知るかよ。ライバー事務所なんだろ、事務所からライバーが配信するための機材とか揃ってるんじゃないのか」

 機材は確かにある。が、

「会社の機材は使えない。ライバー用のだから、俺が使うわけにはいかない」

「じゃあ何とかしろよ。俺は今すぐゲームがしたいんだから」

 巧は明らかに機嫌を損ねていた。司がとりなそうとするが、駄々をこねる子どものように受け付けない。

 司がそっと画面越しに健吾に視線を送ってよこした。健吾が何かに気づいたような表情をし、それから俺に訊いてきた。

「ツカズさん、この社内にゲームができる環境が、ライバー用以外にもあるんじゃないですか。例えば、社長さんはゲーム好きですよね。社長さんが会社にも機材を置いているとか」

「あ」

 俺は思わず声が出た。確かにある。社長室にはそれこそ最高性能の機材が揃っている。

「わかった。ちょっと社長と話してみる」

 俺はすぐにスマホで社長に電話をした。

 すぐに電話に出た社長に、俺は経緯を話した。例の男性アイドルプロジェクトのための面接をしていて、その面接相手から今からゲームをしようと誘われていること、相手が気分屋で、それに応じないと面接自体も打ち切られそうなこと、それを避けるためにマシンを貸してほしいことを。

 社長は訊ねてきた。

「ゲームねえ。何のゲームだ?」

「VEMです」

 すると社長は大きく頷きながら言った。

「わかった。貸してやる。ただし、私も試合に参加させろ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ