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6 気になるキーワード

 次に映し出されたのは、司だった。司は、濃いグレーの髪に目と身につけているものはすべて黒で、肌の白さと相まってモノトーンな感じだ。優美な感じの美形で、「美しい」と「かわいい」が程良く取り混ぜられたような印象だ。

 二人とも既に幾つも衣装や小物がデザインされていた。カジュアルな感じの服装にスーツ姿、そしてファンタジー作品にありそうな中世ヨーロッパ風の衣装。そのファンタジー風衣装の足下には、筆記体で小さくそれぞれ英単語が書かれていた。巧の方は「King」、司の方は「Scholar」。もしかしたら、キャラクターの背景に関するキーワードなのかもしれない。ヤバい、俺が考えないといけないのに、もしかして鎔先生が考えてくれたのだろうか。

 前島主任が訊く。

「この足下に書いてあるのは何ですか?」

「それぞれのキャラクターのキーワードみたいなことを言ってたな。本人に会って閃いたらしい」

 次にプロジェクタに映し出されたのは周防のキャラクターだった。本人と同様、華やかな雰囲気の美男子である。口元には常に笑みが浮かんでいるが、目は笑っていない。常に何か考えている様子がある。

 周防のキャラも、鹿鳴に行ったときに鎔先生にスケッチを見せてもらっていたが、そのときはまだ色がついていなかった。今回はきちんと色が塗られている。周防もカジュアルな服装とスーツ姿と、中世ヨーロッパ風の衣装とがデザインされていた。中世ヨーロッパ風の衣装を纏った周防の足下には小さく「Magician」と書かれている。周防のイメージカラーは紫らしく、髪も根元から毛先に向けて黒から濃い紫にグラデーションになっていたり、服や小物のどこかに紫が使われていたりしている。

「周防章については、鎔が持っていた資料を見て描いた」

 社長が説明する。そう言えば周防は鎔先生に会うことを楽しみにしていたか?ちょっと記憶が曖昧だ。

 最後に写しだされたのは健吾のキャラクターだった。健吾のは、何故か中世ヨーロッパ風の衣装しかデザインされていなかった。とはいえ、そのテイストのものが何種類もデザインされてはいた。普段着とフォーマルな感じのものと、あとは甲冑姿と。健吾のイメージカラーは青らしい。

 健吾のキャラクターの足下にも小さく単語が書かれていた。

 Prince。

 うーん、健吾は少し複雑に思うかもしれないな。本当はあいつは負けず嫌いでまっすぐでがむしゃらなところがあって、見た目ほど王子様然とはしていないんだが。

 前島主任が訊いた。

「氷上さんのキャラクター、カジュアルな服とスーツのデザインはないんですか」

「今、鎔の方で描いてもらっている。大丈夫だ、間に合う」

「ライバー名はどうしますか」

 訊いたのは副社長だ。

「司と巧はそのままでいいでしょう、Twitchで既に彼らが名乗っている名だ、寧ろそれ以外はあり得ない。だが、氷上健吾と周防章は考えないといけない」

「氷上健吾の方は私に考えがある。周防の方は確かに考えないといけないな。本人に相談するか」

 社長は俺に目を向けた。俺は頷いた。

「わかりました、連絡を取ります。このデザインを彼に見せてもいいですか」

「勿論だ。というか、周防だけじゃない、他の三人にもこのデザインを見せて了解をもらえ。特に、巧はキャラクターの出来を気にしていただろう」

「わかりました」

「それで、今後のスケジュールだが、七周年ライブの後にこのユニットのデビューについて社内に情報開示をする。その後でPV公開だ」

「その前に、ユニット名が必要ですよ」

 前島主任が言う。社長は頷いて、

「ああ、そうだな。津和、考えておけよ。お前はユニットのバックストーリーの宿題もあるからな」

 俺は黙って頷くしかない。

「それでは、これでミーティングは終わりだが、何か気になっていることがあるか?」

 と一同に訊いた。俺は前島主任を見て、

「前島主任に一つ訊きたいことが。前に、健吾と周防章のバランスが悪い、と言っていましたが。あれはどういう意味ですか」

 前から確認しなければならないと思っていたことだった。


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