5 奴隷商人
「着いた。ガルザス大陸!」
船で二日を過ごし波に揺れて隣の大陸、ガルザス大陸。ミリザート帝国の領地の港に辿り着いた三人。
「う~。気持ち悪いぃ」
「しっかりしなイリス」
港に着くとそれほど人の姿がなく静かだ。船を下りて辺りを見渡す。
「シルヴィ。近くに村がないか聞いてくれ今日は、そこで一泊する」
「分かりました。聞いてきます」
今にも吐きそうな青ざめた顔をしているイリスを背中を摩り介抱するレオン。
「大丈夫か?吐きそうか?」
「うぅ~。大丈夫だよ。マスター」
しばらくしてシルヴィが戻ってきた。
「ここから東に5キロほど歩いたところに村があるそうです。宿もいくつかあるそうです」
「分かった。とりあえずそこを目指そう。イリスいけ……」
振りかえると下を向いて海に吐いていた。
港を出て村があると言われた方角に道なりに歩く。吐いた直後で一言も話さないイリスの前を並んで歩くレオンとシルヴィ。周りには、何もなく広大な大地が広がっている。
「殺風景ですね。何もないですね」
「馬とかあったら移動がもっと楽なんだが」
「そうですね。村についたら馬がないか聞いてみましょう」
歩いて、歩いて少し丘の所にきたときだった。歩く先に三台の馬車が止まっていて、その近くに何十人って人が座っている。
「レオン様。あれは」
「伏せろ二人とも!」
急なレオンの指示で伏せる。気分が悪かったイリスもレオンの隣で伏せる。
「あれ、恐らく……奴隷商人だ」
「……奴隷商人」
馬車の死角からその商人と思われる人が三人出てきた。
「ミリザート帝国は、奴隷制度がまだあると聞いたことがあるが、まさかその一団に遭遇するとは」
「どうしますか、指示があれば私が」
「奴隷制度がある以上、商人を殺しては駄目だ」
「ですが、このままでは!」
「分かってる。殺さなければいいんだよ。
「え?」
「俺たちがやっても奴隷制度がなくならないが、あそこにいる人たちを助けることはできる」
「じゃ気絶させます」
レイピアを手にして、立ち上がろうとしたらレオンが止めた。
「いや、出て行ったら殺されてしまうかもしれない。ここは、イリス」
「はーい。私に任せてマスター。イリスお手製のスペシャル弾くれてやるよ~。シルヴィーは、大人しくしてて」
悔しそうに唇を噛み大人しく伏せるシルヴィ。伏せたまま手早く左利きのライフル銃の準備をして弾を一発装填し、一発は、口にくわえてもう一発は、右耳に挟む。
「準備完了。さて、片付けますか」
さっきまでの体調の悪さが嘘のようになくなっていた。




