22 可能性
次の日。崩落したルバガ洞窟の近くにフィオナが来ていた。持ってきたレオンの左腕と剣。そして近くの地面を村から借りてきたクワを使って、穴を下り腕を埋めて剣を差した。即席の墓。フィオナは、しゃがみ込んで黙とうした。太陽の日差しを反射する剣。
「レオン殿。一緒に居た時間は、短かったですがとても楽しかったです。突然レオン殿を失ってしまい私は、悲しいです。助けてもらった恩を返せないのが心苦しいです。一生レオン殿の背中に着いて行こうとしたのに……これから先は、私に任せてください。必ず姫様は、王都に連れて行きます」
レオンの墓に語りかけて立ち上がる。心地い風が吹き渡る。
「レオン殿。あなたは、私の最高の主でした」
その場から静かに立ち去った。
村の宿。ベットから出ようとしないシルヴィ。まだ、レオンが死んだことに信じられずにいた。出発するはずだった今日。イリスが何度もシルヴィを連れ出そうとしたがそれを拒否。仕方がなくアレシアがもう一日ここにいようと決めたのだ。
村の中央広場。イリスとアレシアがシルヴィのことについて話をしていた。
「シルヴィさんは、明日行けるでしょうか」
「もし駄目なら置いていくしかない」
「そんな!駄目ですよ。一緒に行かないと」
「今回ばかりは、難しいかなぁ。マスターがいなくなっちゃったんだもん」
「イリスさんは、平気なのですか?」
「平気なわけないじゃん。イリスだってシルヴィと同じくらい悲しんだよ。だけど、進まないとマスターが怒っちゃう。姫様を送り届けたら、屋敷に戻って……戻って……」
イリスが泣きだした。アレシアは、イリスを抱き寄せて優しく頭を撫でる。
「大丈夫。大丈夫です」
「マスター……どうして、どうして死んじゃったのぉ」
そこにルバガ洞窟からフィオナが戻ってきた。イリスの背中を摩りながら部屋に戻った。
夜。シルヴィとイリスは、ベットで静かに寝息を立てながら眠っている。フィオナがアレシアに明日のことについて話す。
「明日の朝から村を出れば昼過ぎには、着くと思います」
「……」
何かを考えてる様子のアレシア。
「姫様?」
「……」
「姫様?どうかしましたか?」
ハッとフィオナに声をかけられていることに気がついた。
「ごめんなさい」
「何を考えていたのですか?」
「変だと思いませんでした?」
頭を傾げる。
「レオンの左腕。崩落した岩であんな綺麗に斬れるものでしょうか?普通崩落に巻き込まれたら潰れてしまうのでは?もしかしたら意図的に左腕を切断したのでは?」
「つまりレオン殿は、生きていると?」
「はい。私はそう思います。レオンが洞窟の崩落で死ぬと私は思いません」
もしかしたら崩落しているのは、あの出口付近のみ。左腕だけが挟まれてそれで切断した。フィオナは、そう確信した。




