12 お呼びなさい
廃村を後にしキルトに向かうレオンたち。その途中のことだった。歩いていると前方に10人の男たちが道端に座り込んでいた。その横を通過すると、後ろから男たちがやって来てレオンたちを取り囲んだ。
「なぁ、金と持っている武器、それから女を俺たちにくれないかなぁ?」
「悪いが断わる。そこをどいてもらう」
「はぁ?お前何言ってるんだ?こっちは10人いるんだぞ。どう見てもそっちに勝ち目がないぞ~。さぁ、お兄ちゃんは、消えてくれ~。興味があるのは、金目の物と女だけだからさ、そっちのフードを被った子も女の子かなぁ?」
ケラケラ笑い出す男たち。
「貴様らぁぁぁ」
シルヴィがレイピアを手にしようとした時だった。
刹那。挑発していた男を除き周りにいた9人の男たちが、突然仰向けに倒れた。よく見ると倒れた男たちの心臓にナイフが突き刺さっている。
「お前もこうなりたいか?」
フィオナだった。瞬時に9人の心臓めがけナイフを投げたのだ。残されたその男は、足をガクガク震わせながら泣きわめいて立ち去っていた。
「もう、大丈夫です」
レオンは、フィオナがナイフを投げる瞬間アレシアを自分の身体に隠した。ナイフが刺さるところを見せないために。
「ビックリしました。お気づかいありがとうございます」
倒した男の胸元を確認しているフィオナ。
「何してるんだ?」
「雷鳴に所属していたら胸元にギザギザのタトゥーがあるのですが……この者たちは、違いますね」
「そうか、先を進もう」
キルトへの道を再び歩き出した。
「あの。レオン様?」
「何でしょうアレシア様」
「あなたたちは、どうして旅をしているのですか?」
「簡単ですよ。あちこち見て回って見たいんですよこの目で。ただそれだけです」
「それだけなのですか?」
「はい、ずっと同じ町いてもつまらないので」
「羨ましいです。私は、いつもお城の中ですし、外に出るのもすぐそこで護衛の者がずっといるので気が抜けないのです」
「だったら今この時を少しでも楽しんだらどうですか?」
「え?」
「さっきみたいな戦闘は、違いますけど。歩いてるときとか、野宿してるときとか、町中とかで。どうですか?」
「楽しんでいいのでしょうか?」
「いいんですよ。他の三人とかにも話したりとかしてもいいんですから」
「……あの。レオン様。あなたの事レオンと呼んでもいいでしょうか?私のことも呼び捨てで構いません」
「それは、駄目なんじゃ」
「呼びなさいレオン。私のことをアレシアと」
「これは、参ったな」
苦笑いのレオンにクスクスと隠れて笑うシルヴィ、イリス、フィオナだった。




