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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第52話 距離

ここまで読んでいただきありがとうございます。


第52話では、新たな創作のスタートとともに、

レイナの活動が次の段階へと進んでいきます。


仲間が増え、作品が形になり、

少しずつ“流れ”が生まれ始める。


そんな前向きな空気の中で、

2人の関係にも静かな変化が訪れます。


大きく動くわけではないけれど、

確かに距離が変わる——


そんな回になっています。


2人が出会ってから2年が経とうとしていた。


 新しい拠点での生活は、少しずつ形になってきていた。


 広めのリビングには機材が並び、簡易スタジオとしても機能している。


 撮影用の部屋。


 レイナの部屋。


 もう一部屋は、来客や休憩用。


 3人で決めた場所。


 ここから、もう一度始める。



「そろそろ、ちゃんと仕上げたいよね」


 レイナが、ノートを閉じながら言う。


「今のままでもいいけど……やっぱり“作品”にしたい」


 佐倉が頷く。


「アレンジャーを入れましょう。ツテがあります」


「お願いします」


 迷いはなかった。



 数日後。


 スタジオに現れたのは、水無瀬 蓮。


 無駄のない動きと、淡々とした口調。


「曲、聴かせてもらいました」


 レイナが少しだけ緊張する。


「……どうでした?」


 水無瀬は一瞬だけ考える。


「素材はいい」


 それだけ。


 そして続ける。


「歌、強いな」


 短い評価。


 だが、その一言で十分だった。


 レイナの肩の力が、少しだけ抜ける。


「じゃあ、やりますか」


 それ以上は語らない。


 もう仕事は始まっている。



 数日後。


 デモ音源が届いた。


 オケが乗った曲。


 レイナはイヤホンをつける。


 再生。


 音が広がる。


「……え」


 思わず声が漏れる。


 同じ曲なのに、全く違う。


 深さも、感情も、全部が増幅されている。


「……全然違う」


 隣で恒一も聴く。


「……すげぇな」


 素直な言葉だった。


 曲が“作品”になった瞬間だった。



「これ、映像つけたい」


 レイナが言う。


「イメージがあるの。ちゃんと見せたい」


 佐倉が頷く。


「SNSで探しましょう」



 数日後。


 レイナはスマホを見ていた。


 短いアニメーション。


 フォロワーは多くない。


 でも——


「……この人いい」


 つぶやく。


 雨宮ソラ。


 色と空気の使い方が、どこか似ていた。


「この人にお願いしたい」


 DMを送る。


 少しして——返信。


『ぜひやらせてください』


 レイナは、少しだけ笑った。



 数週間後。


 完成した動画。


 曲と映像が、完全に一つになっていた。


「……これ、いけるかも」


 レイナが言う。


 佐倉も頷く。


「まずは一本、流れを作りましょう」


 投稿。


 数分、反応なし。


 数時間後。


 再生が少しずつ増える。


 コメントが一つ。


『なんかいい』


 たったそれだけ。


 でも——


 確かな手応えだった。



 夜。


 作業が終わり、リビングには2人だけが残る。


 静かな時間。


「……どうだった?」


 レイナが聞く。


 少しだけ不安そうに。


「良かった」


 恒一は答える。


「ちゃんと届くと思う」


 レイナは小さく息を吐く。


「よかった」


 少し沈黙。


 いつもより長い。


 距離が近い。


 レイナが、ゆっくり一歩近づく。


「……ね」


「ん?」


「私、頑張るから」


 真っ直ぐな目。


「ちゃんと上に行く」


「うん」


「……見ててくれる?」


 ただの言葉じゃない。


 もっと深い意味。


 恒一は少しだけ息を吐く。


 逃げることもできた。


 でも——


「……ああ」


「ずっと見てる」


 その一言で、レイナの表情が崩れる。


 安心したように、少し笑う。


「よかった」


 そして——


 レイナが、そっと近づく。


 距離が、ほとんどなくなる。


 恒一は動かない。


 避けない。


 ただ、受け入れる。


 そのまま——


 レイナが抱きついた。


「……ありがと」


 小さな声。


 恒一は一瞬だけ迷う。


 でも。


 ゆっくりと、抱き返す。


「無理すんなよ」


 低く、静かに言う。


 それだけだった。


 それ以上は言えない。


 でも——


 腕は、離さなかった。



 その夜。


 恒一は一人、ソファに座っていた。


 静かな部屋。


「……50、か」


 ぽつりとつぶやく。


 現実。


 重い数字。


 そして——


 レイナは24。


 26歳差。


 普通じゃない。


 わかっている。


 全部。


「……でもな」


 小さく笑う。


 さっきの温もりが残っている。


 あれを、なかったことにはできない。


 したくもない。


 そのとき。


 視界に浮かぶ。


「……57」


「距離」


 短い言葉。


 恒一はそれを見つめる。


「……距離、ね」


 縮めるべきか。


 保つべきか。


 答えはまだ出ない。


 でも——


 もう、離れることはできない気がしていた。


第52話を読んでいただきありがとうございました。


今回のテーマは「距離」です。


仕事としての距離。

仲間としての距離。

そして、2人の距離。


近づいたからこそ見えるものと、

近づいたからこそ悩むこと。


恒一は受け入れながらも、

その内側で葛藤を抱えています。


年齢差、立場、これからの未来——


どれも簡単に答えが出るものではありません。


それでも、レイナの想いはまっすぐで、

その温度が少しずつ恒一の心を動かしています。


また、創作面では新たなチームが動き出しました。


曲、アレンジ、映像。


すべてが重なったとき、

どんな景色が見えるのか。


次回、第53話。

この「距離」がどう変化していくのか、ぜひ見届けてください。

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