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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第41話 崩れる前に

ここまで読んでいただきありがとうございます。


第41話では、恒一の“力”に明確な変化が現れます。


これまで見えていたのは数字だけ。


しかし今回は、そこに意味を持つ“言葉”が加わります。


より具体的に。


より危険に。


力は確実に進化しています。


そしてその変化は、

恒一を一つの選択へと導きます。


昼下がり。


 恒一はカフェの窓際に座り、ぼんやりと外を眺めていた。


 行き交う人々。


 その頭上に、時折浮かぶ数字。


 もう驚きはない。


「……慣れって怖ぇな」


 小さくつぶやく。


 数字は、確かに意味を持っている。


 それを理解することにも、慣れてきた。


 だが——


「……これ」


 さっき見えたもの。


 あれは違った。


 数字だけじゃない。


 その横に。


 “文字”があった。



 数分前。


 一人の男。


 頭上に浮かんだ表示。


 「3 遅」


 一瞬だけ。


 だが確かに見えた。


「……なんだよ、あれ」


 思い返す。


 そして。


 その直後。


 駅のアナウンス。


『人身事故の影響で、電車が遅れています』


「……遅」


 ぴたりと一致する。


「……進化、してるのか」


 小さくつぶやく。


 数字だけじゃない。


 意味が、より具体的になっている。



 スマホを見る。


 何気なく開いたSNS。


 レイナの投稿。


 今日も仕事。


 順調。


 笑顔。


「……ほんと、すげぇな」


 思わず笑う。


 そのときだった。


 画面越しに。


 ふと、違和感。


「……?」


 目を細める。


 レイナの顔。


 その周辺に。


 一瞬だけ——


 表示が浮かぶ。


 「1 崩」



「……は?」


 思わず声が漏れる。


 すぐに消える。


 だが、見間違いじゃない。


「……崩?」


 意味を考える。


 崩れる。


 何が?


 仕事か。


 体調か。


 それとも——


「……嫌な感じだな」


 胸の奥がざわつく。


 ただの予感じゃない。


 これまでの流れから考えれば。


 “何かが起きる”



 スマホを握る。


 連絡するか。


 迷う。


 これは。


 使うことになる。


 能力を。


「……どうする」


 自分に問いかける。


 レイナのため。


 そう思えばいい。


 でも。


 確信はない。


 これが本当に安全なのか。


「……くそ」


 舌打ちする。


 考えてる時間はない。



 発信。



「もしもし?」


 レイナの声。


「……今どこだ」


「え?」


「仕事終わった?」


「ちょうど終わったとこ」


「これから、レンさんと打ち合わせ」


 その一言で。


 嫌な予感が強くなる。


「……場所は」


「ホテルのラウンジ」



 “崩”



 頭の中で、文字が浮かぶ。


「……そこ、やめとけ」


「え?」


「理由はいいから」


「人多いとこ行け」


 レイナは少し黙る。


「……なに、どうしたの?」


「……なんとなくだ」


 嘘じゃない。


 でも全部じゃない。



「……わかった」


 少しだけ、真剣な声。


「気をつける」



 通話を切る。


 恒一は立ち上がる。


「……念のため行くか」


 完全には安心できない。


 体が勝手に動く。



 ホテル前。


 少し離れた場所。


 恒一は様子を見る。


 しばらくして。


 レイナが来る。


 そして。


 神代レン。


 笑顔。


 自然な会話。


 だが——


「……出てるな」


 レンの頭上。


 数字と。


 文字。


 「2 誘」



「……誘?」


 意味は明確だった。



 2人は中へ入る。


 恒一も距離を保って入る。


 視線を切らさない。



 ラウンジ。


 会話。


 穏やか。


 だが。


 徐々に。


 距離が近づく。


 レンの手が、自然にレイナに触れる。


 その流れ。


 違和感。



「……来るな」


 恒一がつぶやく。


 そのとき。


 レンが立ち上がる。


「ちょっと上、いい?」


 軽い調子。


 だが意図は明確。



 レイナは一瞬だけ迷う。


 その瞬間。


 恒一は動いた。



 スマホ。


 カメラ。


 シャッター。


 レンの手。


 距離。


 明確な“証拠”を押さえる。



「すみません」


 恒一が声をかける。


 2人が振り向く。


「……あれ、恒一さん?」


 レイナが驚く。


 レンは一瞬だけ表情を変える。


 すぐに笑顔に戻る。


「どうしたの?」



「……仕事の話なら、ここでいいでしょ」


 静かに言う。


 スマホを少しだけ見せる。


 さっきの写真。



 レンの目が、一瞬だけ細くなる。



「……なるほどね」


 小さく笑う。


「今日はやめとこうか」


 あっさり引く。


 だが。


 その目は、笑っていない。



 レイナは状況を理解しきれていない。


 ただ。


 恒一を見る。


「……助かった?」


「……まあな」



 外に出る。


 空気が軽い。


「……なんだったの?」


 レイナが聞く。


「……勘だ」


 短く答える。


 それ以上は言わない。



 レイナは少しだけ笑う。


「ありがと」


 その一言。


 それだけで——


 十分だった。



 その夜。


 恒一は部屋で座っていた。


 頭が、少し重い。


「……ん?」


 軽い違和感。


 こめかみの奥。


 ズキ、と痛む。


「……気のせいか」


 そう思おうとする。


 だが。


 ノートを開く。


 今日のことを書く。


 そして。


 ふと気づく。


 自分の手。


 震えている。



「……使いすぎか?」


 小さくつぶやく。


 あのとき。


 かなり集中した。


 無理に“読んだ”


 その結果——



 スマホが震える。


 ニュース。


『某ホテルで軽いトラブル』


 内容は小さい。


 大したことはない。


 だが。


「……ズレたか」


 ぽつりとつぶやく。


 レイナは無事。


 でも。


 何かは起きている。



 目を閉じる。


 静かな部屋。


 だが。


 確実に理解する。



「……ただじゃ済まねぇな、この力」


第41話を読んでいただきありがとうございました。


今回のテーマは「進化と代償の兆し」です。


恒一は初めて、

自分の意思でこの力を使い、誰かを守りました。


その結果、レイナは無事でした。


ですが——


本当に何も起きていなかったのか。


ほんの小さなズレ。


小さなトラブル。


そして、恒一自身に現れ始めた違和感。


この力は、確かに便利です。


しかし同時に、

何かを引き換えにしている可能性も見え始めています。

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