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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第40話 数字と気配

ここまで読んでいただきありがとうございます。


第40話では、これまでとは少し違う形で

“力”の本質に触れていきます。


これまで恒一が見ていたのは、

はっきりとした「結果」でした。


しかし今回は違います。


見えるのは数字。


そして、その意味を読み解く必要がある。


同じ力でありながら、

まったく違う性質を持っていることに気づき始めます。


その違和感と発見を描いた回です。


昼過ぎ。


 駅前のベンチ。


 恒一は何もするでもなく、ただ座っていた。


 人の流れを眺めている。


 誰も気にしない風景。


 誰も意識しない動き。


 だが——


 恒一の目には、少しだけ違って見えていた。


「……またか」


 小さくつぶやく。


 一人の男が横切る。


 その頭上に。


 数字が浮かぶ。


 「4」


 一瞬。


 本当に一瞬。


 気を抜けば見逃す程度の、かすかな表示。


「……4」


 口の中で転がす。


 意味はわからない。


 でも。


 わかることが一つある。


 これは“無意味じゃない”


 競馬のときと同じだ。


 あのときも、最初はただの数字だった。


 だが。


 必ず“結果”に繋がっていた。


「……じゃあこれは」


 考える。


 何の数字か。


 何を示しているのか。


 答えは出ない。


 だが——


 視線を追う。


 男はコンビニに入る。


 少しして。


 中から声が聞こえる。


「すみません、これで4回目なんですけど」


 恒一の目が、わずかに見開く。


 レジ越しのやり取り。


 返品か、交換か。


 細かい内容までは聞こえない。


 だが。


「……4回目」


 つぶやく。


 さっき見えた数字。


 「4」


 ぴたりと一致する。



 恒一はゆっくりと立ち上がる。


 コンビニの中をちらりと見る。


 男はまだ店員と話している。


 少し困った顔。


 少し疲れた顔。


 その上には——


 もう何もない。


「……消えるのか」


 小さく言う。


 数字は、ずっと出ているわけじゃない。


 “見える瞬間”がある。


「……タイミングか」


 条件がある。


 発動する瞬間がある。


 ただ、常に見えるわけじゃない。



 店を出る。


 またベンチに戻る。


 座る。


 そして、深く息を吐く。


「……わかってきたな」


 ぽつりと言う。


 数字は。


 その人の“何か”を示している。


 回数。


 進行。


 積み重ね。


 結果ではない。


 “途中”


「……ヒントか」


 つぶやく。


 答えじゃない。


 読み解くための材料。


「……面倒だな」


 苦笑する。


 でも。


 嫌じゃない。



 スマホを見る。


 何気なくニュースを開く。


 レイナの名前が並んでいる。


 露出。


 増加。


 評価。


 順調。


 どの記事も、同じような言葉だ。


「……すげぇな」


 正直に思う。


 別世界だ。


 もう、自分がいた場所じゃない。


 でも。


 そのときだった。


 画面に映るレイナの写真。


 ふと——


 違和感。


「……?」


 一瞬だけ。


 何かが“出そうになった”気がした。


 だが。


 すぐに消える。


「……なんだ今の」


 目を細める。


 数字は見えない。


 だが。


 確かに“感覚”があった。


 出る直前のような。


 引っかかる感じ。


「……やめとけ」


 小さくつぶやく。


 直感だった。


 まだ触るな、と。


 この領域は。


 軽く踏み込んでいい場所じゃない。



 ポケットにスマホをしまう。


 少しだけ、考える。


 もし。


 この数字が。


 すべてに存在するなら。


 人。


 仕事。


 タイミング。


 成功。


 失敗。


「……全部読めるのか?」


 可能性がよぎる。


 だが。


 同時に。


 別の考えも浮かぶ。


 それを読んで。


 利用したら?


「……」


 言葉が止まる。


 その瞬間。


 ほんのわずかに。


 胸の奥が重くなる。


 理由はわからない。


 でも。


 感覚が言っている。


 それは——


 “ただじゃ済まない”



 恒一はゆっくりと立ち上がる。


 空を見上げる。


 特に意味はない。


 ただ、少しだけ整理したかった。


「……まだだな」


 小さく言う。


 この力。


 まだ全然わかっていない。


 触れていい範囲も。


 触れちゃいけない範囲も。


「……ちゃんと見るか」


 もう一度、つぶやく。


 軽く使うものじゃない。


 理解する。


 読む。


 そこからだ。



 歩き出す。


 いつもの道。


 変わらない風景。


 でも。


 恒一の目には、もう違って見えている。


 人の上。


 何もない空間。


 そこに——


 いつかまた。


 数字が浮かぶ。


 そのとき。


 何を読むのか。


 何を選ぶのか。


 それは、まだわからない。


 ただ一つ。


 確かなことがある。


 この力は。


 “ただの便利なものじゃない”


第40話を読んでいただきありがとうございました。


今回のテーマは「ヒントと境界線」です。


数字は見える。


意味も、ある程度はわかる。


ですが、それをどう扱うか。


そこにはまだ、はっきりしない“線”が存在しています。


使っていいのか。


踏み込んでいいのか。


そして——


その先に何があるのか。


まだ答えは出ていません。


ですが恒一は、確実に気づき始めています。


この力は、ただ便利なものではない。


扱い方を間違えれば、

何かを失う可能性があるということに。

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