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48歳、6億当たったら人生が壊れた件 〜底辺おじさんと国民的アイドルの秘密の恋〜  作者: れいじ


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第35話 ズレ始めた歯車

ここまで読んでいただきありがとうございます。


第35話では、これまで積み重なってきた違和感が

少しずつ“形”として見え始めます。


大きな事件ではありません。


ですが、判断のズレやタイミングの噛み合わなさなど、

小さなズレが確実に積み重なっています。


それは偶然なのか。


それとも——


まだはっきりとはわかりませんが、

確実に流れは変わり始めています。


佐倉が倒れてから、数日。


 事務所の空気は変わっていた。


 回ってはいる。


 だが、どこかぎこちない。


「この案件、時間ずらした方がいいですね」


 桐谷が資料を見ながら言う。


「移動が詰まりすぎてます」


 恒一が眉をひそめる。


「……いや、このままでいけるだろ」


「いけなくはないですけど」


 桐谷は穏やかに続ける。


「余裕はないですね」


 一ノ瀬も軽く頷く。


「最近、押してる現場多いですし」


 その言葉に、少しだけ空気が変わる。


 恒一は資料を見直す。


 確かに。


 詰まっている。


 でも——


「……いや、いける」


 言い切る。


「今は止めるより回した方がいい」


「そうですか」


 桐谷はそれ以上何も言わない。


 ただ、静かに頷くだけ。


 その態度が、逆に引っかかる。



 当日。


 移動は、ギリギリだった。


「……ちょっと押してますね」


 一ノ瀬が時計を見る。


「間に合うだろ」


 恒一が言う。


 だが——


 到着した時には、すでに数分遅れていた。


「すみません!」


 急いで謝る。


 現場の空気は、わずかに硬い。


「大丈夫ですけど……」


 スタッフが苦笑いする。


 レイナは何も言わない。


 ただ、軽く頭を下げる。



 収録後。


「……ごめん」


 恒一が言う。


「ちょっと読み甘かった」


 レイナは少しだけ首を振る。


「ううん、大丈夫」


 でも。


 ほんの少しだけ、間があった。


 その“間”が、引っかかる。



 数日後。


 別の案件。


「この話、受けます?」


 一ノ瀬が資料を差し出す。


 恒一が目を通す。


「……微妙だな」


「ですよね」


「今回は見送る」


 判断する。


「わかりました」


 一ノ瀬はすぐに引く。


 その日の夜。


 ニュースが流れる。


「……これ、さっきのやつだ」


 レイナが言う。


 画面には、別のアイドル。


 同じ企画。


 そして——


 大きく取り上げられている。


「……バズってるな」


 恒一がつぶやく。


 少し沈黙。


「……受けた方がよかったかな」


 レイナがぽつりと言う。


 その一言。


 小さい。


 でも。


 刺さる。


「……いや」


 恒一は言う。


「結果論だろ」


「……うん」


 レイナは頷く。


 でも、完全には納得していない。


 その温度差が、少しだけ残る。



 さらに数日。


 事務所。


「次のスケジュール、少し詰め直しました」


 桐谷が言う。


「この方が無理ないかと」


 恒一が見る。


 綺麗にまとまっている。


「……最初からこれでよかったな」


 思わず言う。


 桐谷は軽く笑う。


「結果的に、ですけどね」


 その言い方。


 否定しない。


 でも、肯定もしない。


 微妙な距離感。



 その頃。


 別のスタジオ。


「どう?」


 レンが軽く聞く。


 桐谷が答える。


「順調です」


「少しずつですが」


 一ノ瀬が続ける。


「判断に迷いが出てきています」


 レンが小さく笑う。


「いいね」


「それくらいがちょうどいい」


 軽い口調。


 でも、計算された言葉。


「一気に崩すと気づかれるから」


「少しずつでいい」


 グラスを傾けながら。


「自分で崩れてるって思わせた方が楽しいでしょ」


 静かに言う。


 その目は、どこか冷たかった。



 夜。


 帰り道。


「……なんかさ」


 レイナが言う。


「ん?」


「ちょっとずつ、ズレてない?」


 恒一が足を止める。


「……何が?」


「全部」


 短い言葉。


 でも、重い。


「前みたいに、スッといかない感じ」


 恒一は少し黙る。


 思い当たる節はある。


 でも。


「……気のせいだろ」


 そう言う。


「そうかな」


「そうだよ」


 言い切る。


 でも——


 自分でも、少しだけ引っかかっている。


 レイナはそれ以上言わない。


 ただ、小さく頷く。


「……そっか」


 そのまま歩く。


 少しだけ、距離が空いた気がした。



 見えないズレ。


 小さな違和感。


 まだ壊れてはいない。


 でも。


 確実に、噛み合わなくなり始めている。


第35話を読んでいただきありがとうございました。


今回のテーマは「ズレと確信」です。


これまで曖昧だった違和感が、

徐々に“おかしい”と感じられるレベルになってきました。


恒一の判断。


レイナとの温度差。


そして、少しずつ積み重なるミス。


どれも小さいものですが、

確実に流れを狂わせています。


そして裏では、

それを意図的に動かしている存在がいるということも

見え始めてきました。


ここから先は、

ただの成功物語では終わりません。

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